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応戦

 アンジュも周りを囲まれていることに気づいたようだ。


「計画的犯行ということか」


 それでもアンジュは冷静に現状を分析しているようだ。


「そうでしょうね。これだけの人数で襲撃してきたんですから、計画していたんでしょう」


 アンジュの考えに琉海は頷く。


「それにしても、厄介ですね」


 静華もいつでも魔法を放ている状態で構える。

 そんな警戒状態の中、エアリスが琉海に近づいてきて耳打ちしてくる。


「ねえ、ルイ。あいつら、魔薬を飲んでいるわよ」


「ほんとかッ!?」


 魔薬と聞いて、琉海は驚きを隠せなかった。

 魔薬の力の凄まじさを琉海は知っている。

 一対一の状況だったから、倒すことができた。

 だが、この人数――ざっと15人を相手だと全員無事でいるのは難しいかもしれない。


「それにしても、なんで魔薬を摂取した奴らがこんなにいるんだ」


「わからないわ。でも、前にルイが戦った奴よりかは、マナ生成量が少ない気がする。多分、濃度の低い魔薬を飲んだんだと思うわ」


「それでも、自然力を無制限に吸収してるんだろ」


「ええ、厄介なのは変わらないわね。濃度が低い分、魔物になりきれてないみたいだから、人間の思考も残っていて、前よりも面倒かもしれないわ」


 エアリスの説明に、琉海はため息を吐く。


「試合までの時間もそこまで多くない。エアリスにも手伝ってもらうぞ」


「ええ、わかったわ。マナを多めにちょうだいね」


 エアリスはそう言って静華の隣に立つ。


「静華先輩は魔法で援護をお願いします」


「わかったわ」


 静華が返事をすると――


「私が前衛をします」


 アンジュは剣を構えたまま、琉海に言う。

 後ろ姿しか見えないが、何を言っても引かない雰囲気を感じた。

 正直、アンジュも後衛でサポートをやって欲しかったんだが、説得は難しそうだ。


「わかりました。ただ、相手に掴まれないように気をつけてください」


 一瞬、アンジュが何を言っているんだと後ろに視線を向けてきた。

 琉海は真剣な表情を崩さず、アンジュの目と視線が合った。


「わかりました。気を付けます」


「お願いします」


 マナで強化された身体能力は馬鹿にできない。

 掴まれてしまったら、もう逃げられないだろう。

 琉海が言い終わると、フードを被った者たちは数名が武器を取り出し走りだした。


「作戦もないみたいね」


 静華が構えた手の前に魔法陣が浮かび上がる。

 魔法陣から放たれたのは数十本の火矢。

 何本かが敵に当たる。

 体に当たるとフードに引火し、燃えてなくなるも突き進んでくる。

 ダメージはないようだ。

 オートでマナを生成し続け、それを身体強化に回しているのだろう。

 知性などないパワープレー。

 敵たちの顔は獰猛な動物のように目が血走っており、敵意むき出しだった。

 牽制用の魔法だったのか、効かないとわかると――


「なら、これならどう!」


 再び魔法陣が現れ、特大の大きさの火球を敵に放つ。

 数人まとめて火球に飲み込まれた。

 だが、火の中から姿を現してくる男たち。

 全く効いていないようだ。

 マナと魔力の差が顕著に出た結果だろう。

 そうしているとアンジュのほうでは――


「くッ!?」


 早くも前衛を担っているアンジュが敵の一人と剣を交えていた。

 相手の膂力に完全に押されてしまっている。


「エアリス。あっちを頼めるか」


「わかったわ」


 静華に迫る敵をエアリスに任せ、琉海はアンジュを助けにいく。

 琉海は刀を《創造》し、アンジュが後退した瞬間、間に割り込んで加勢した。


「なッ!?」


 力負けした相手を難なく受け止める姿にアンジュは驚く。

 試合でも力は見せていたので、そこまで驚かれる要素はもうないと思っていたのだが、そうでもないようだ。


(一人に時間を取られたら、他に被害が出るな)


 他の奴らも近づいてきている。

 刀で受け止めていた剣を滑らせ、相手の体勢を崩す。

 崩れた瞬間を逃さず一閃。

 男の首を落とした。

 魔薬に飲み込まれた人間を助ける術はない。

 無限に吸収し続ける自然力と魔力が混じり、マナが作られ、次第に魔物になっていく。

 殺すしか方法はない。

 転がる死体を一瞥し、琉海は次の敵に視線を向けた。

 襲いかかってくる敵に琉海の銀閃が蹂躙する。


「すごい……」


 アンジュは琉海の刀を持って戦う姿に見惚れてしまう。

 三人を切り倒すと他の奴らが襲うのを躊躇しはじめた。


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