72/195
襲撃⁉
馬車の中で揺られる琉海たち。
大会場に向かっている馬車が突然止まった。
「どうしたの?」
ティニアが車内から御者に声をかける。
しかし、返答はなかった。
首を傾げるティニア。
「私が見てきます」
アンジュが馬車の外に出て、御者台へ向かった。
瞬間――
「何者だ!?」
アンジュの警戒する声が聞こえてきた。
琉海と静華、エアリスは何があったのか確認するために外へ出た。
馬車から降りると、アンジュの前方には、フードを被った人が立っていた。
アンジュの横には、モノを言わぬ屍となって転がっている御者の姿があった。
首の切り傷と地面に転がる投げナイフからして、刃物を投げて斬ったのだろう。
アンジュはすでに剣を抜いて警戒態勢を取っていた。
「何があったんですか?」
静華がアンジュにゆっくりと近づいて聞く。
「わかりません。ですが、犯人はあの者でしょう」
フードの男に剣の切っ先を受けるアンジュ。
怪しさからそいつが犯人の可能性は高い。
だが――
「そうかもしれないですけど、一人とは限りませんよ」
琉海は周囲の物陰から出てくるフードを被った奴らを見回す。
フードの隙間から、口元が見える。
皆、歯をむき出しにして、唸っていた。
まるで、獣のように。
「ちょっと面倒そうだな」
琉海は小さく呟いた。




