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二日目

 翌日。

 騎士武闘大会の二日目が始まる。

 本選出場を賭けた予選準決勝と決勝が行われる日だ。

 準決勝は小さいコロシアムでの試合。


『本日二日目。予選準決勝の試合が行われる。最初の試合は、グラム男爵家代表のテムジン・ラファエロだ。ここまでの試合では、冷静沈着な試合運びで相手の隙を逃さず決めてきている』


 舞台に銀白の鎧を着た青年が登場する。

 歓声が起こり、それに応えるように手を振るテムジン。

 日本人が見たら、ハンサムな西洋風の騎士に見えるだろう。

 彼も名のある騎士団で戦績を積んでいる強者のようだ。


『そして、白銀の騎士に挑むは、ここまでの二試合をなんと一撃で終わらせてきた少年。スタント公爵家代表のルイだ!』


 力の入った司会者の言葉が終わると琉海が舞台に登場した。

 すると、大歓声が琉海を包み込んだ。

 周囲一帯が歓声の嵐となる。


「いけ!」「やれ!」「テムジンも一撃だ!」


 数多の声援が琉海に向けられていた。


『さあ、両者が出揃ったので、オッズを見てみよう。なんと、テムジンが100倍! そして、ルイは1.3倍だ! おいおい、これじゃ賭けになんねえぞ。誰か、テムジンに入れてやれ。まあ、無理か。二試合とも一撃で勝利している奴と比べたらな』


 司会者の琉海贔屓がひどい。

 テムジンと琉海が中央である程度の距離を開けて立ち止まる。


「君は人気のようだね。まさか、僕がオッズ100倍なんて経験するとは。初めての経験だよ」


 にこやかに笑みを作るテムジン。

 爽やかハンサムと言ったところだろうか。


「別にオッズは強さに関係ないと思いますけど」


「確かに、そうかもしれないね。でも、勝利を期待されているのが、どちらなのかは明白になる。この試合は君が勝つことを求められているようだ。まあ、勝ちを譲る気はさらさらないけどね」


 テムジンはそう言って、腰に差している剣を抜き放つ。

 剣はブロードソード。

 正眼に構えて琉海を待ち受ける。

 琉海も無手で構えを取る。


「噂に聞いていたが、本当に素手で戦う気なのか」


「…………」


 テムジンの質問に琉海は沈黙で返す。

 前の二試合でも同じようなことを言われて答え、逆ギレされてきた。

 わざわざ答える必要もないだろう。


「そうか。だんまりか。まあいい。後悔するなよ」


 お決まりのようなセリフを言い放つテムジン。

 それは負けフラグだぞと内心思いながら審判の合図を待つ。

 テムジンと琉海が構えたのを確認すると、審判が前に出てきた。


「それでは――はじめッ!」


 審判の合図で先に動いたのは、琉海だった。

 精霊術の身体強化で距離を一瞬で潰す。


「なッ!」


 眼前に現れた琉海に驚きを露わにするテムジン。

 琉海は一気に勝負を決めるべく、腹部への掌底を放とうとした。

 しかし、驚きつつも、テムジンの体は防御体勢を取る。

 琉海の狙いを察知したのかブロードソードが盾のように阻む。

 そんなものでは、精霊術で強化した威力には対抗できない。

 だが、このまま掌底を放てば、剣の破片がテムジンに刺さり殺す危険性もあった。

 琉海はすぐさま標的を変更。

 回し蹴りで剣を持つ腕に強襲した。


「ぐッ!?」


 剣はテムジンの手から離れ、高らかに舞った。

 腕ごと剣を蹴り飛ばされたテムジンの体は横に流れる。

 そこを琉海は逃さず掌底を放った。

 完璧に鳩尾に入り、意識を刈り取る。

 白目を剥いて吹き飛ぶテムジン。

 壁にぶつかり空を舞っていた剣が地面に突き刺さった。

 すぐに審判が近寄り、確認を取る。


「勝者、ルイ」


 審判が琉海の勝利を告げると――


『決まったああああぁぁぁ!!』


 司会者の声と観客の歓声が同時に轟く。


『テムジンすらも圧倒。さすがに一撃とはいかなかったようだが、圧倒的強さで瞬殺! これでルイは予選決勝進出だ!』


『今回は二撃でテムジンを倒しちまった。こりゃやばいダークホースを連れてきたなスタント公爵家。さあ、予選決勝はあの大会場だ』


 司会者がまだ色々と騒いでいるが、琉海は舞台を後にした。

 舞台を降りて、会場の外に出ると静華、エアリス、ティニアやアンジュ、メイリの面々が集まっていた。


「ルイ様、決勝進出おめでとうございます」


 ティニアが一礼すると、アンジュとメイリも同じように一礼した。


「ありがとうございます」


「大会場までは馬車でお送りしますので、乗ってください」


 ティニアが後方にある馬車を手で指し示す。

 ここから、一番大きいコロシアムまでは、距離がある。

 歩いて行ってもいいのだが、せっかくなので、琉海は馬車で向かうことにした。


「色々とありがとうございます」


「いえ、私がお願いして出ていただいているので、私にできることは、協力いたします」


 ティニアはそう言って、若干顔を赤くする。


「それでは、お言葉に甘えて馬車に乗らせていただきます」


 琉海たちは馬車に乗って大会場へ向かった。


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