騎士武闘大会開催!
琉海のいるブロックに並ぶ名前たち。
そして、エリザの視線を辿ると、一つの名前が――
琉海には、その名前が誰のことを指しているのかわからない。
しかし、その名の下にある括弧書きには『ホルス騎士団』と書かれていた。
この騎士団の名前から連想できるのは、今日の朝にアンジュから聞いた話だった。
アンジュより強い騎士三人の内の一人が同じブロックに。
決勝まで進めば、当たることになる。
最初のブロックでいきなり当たるとは運が悪い。
「予選で当ててきたわね」
「代表をルイ様にしたことで、隙を狙っていたどこかの貴族が、裏工作したのでしょうか」
「それか王族の誰かが、私たちを疎ましく思っているのかもしれないわね」
エリザとティニアが神妙な顔つきで対戦表を眺めていた。
(ああ、そういうことか)
代役を立ててまで出場させた貴族は、本選に勝ち上がれなければ、謗りを受けることは免れないと言っていたのを琉海は思い出した。
つまり、スタント公爵家を貶めたいと思っている貴族がいて、裏から手を引き、対戦表を弄らせたとティニアたちは考えているのだろう。
「こうなると、ルイ様には勝って頂きたいと思うのですが……」
ティニアがこちらに視線を向けてくる。
「全力は尽くさせていただきます」
琉海はそう言うしかなかった。
相手がどれだけ強いのかわからない。
また、この世界で自分がどれだけ強いのかもわからないのだ。
勝てると豪語することはできなかった。
こんな組み合わせになるとは、思っていなかったのか、ティニアやエリザ、アンジュも他のブロックの組み合わせもじっと見つめて、状況を確認していた。
そうこうしていると、会場の屋外席から大きなざわめきが聞こえてくる。
そして、男の司会の声がした。
『さあ、今年もやってきました。騎士武闘大会! 今年はどこの騎士が優勝するのか! 皆さんも気になるところでしょう。
では、さっそく、国王陛下に開会の言葉を賜りたいと思います!』
司会は魔道具の拡声器を持っているらしく、琉海たちのいる個室までしっかりと声が届いていた。
司会者が舞台から降り、一人の初老が舞台に上がる。
「諸君、この日を待ちわびていた者も多いだろう。儂もその一人だ。この大会で優勝した者たちは、皆伝説となっている。
今年も血沸き肉躍る戦いを見せてもらおう!
これより騎士武闘大会を開催する!」
国王の言葉に歓声が湧き起こる。
毎年見ている者たちは、この大会が伝説の始まりであり、目撃者になると知っているのだろう。
国王が舞台から降りても、歓声は止むことはなかった。
『では、開会式はこの辺で終わりとします。組み合わせ表はもう配られているので、参加者でまだ確認していない方たちは、目を通すようにお願いします。また、賭けにも参加できるのでどんどん参加してください。では、明日からの激闘を楽しみにしましょう』
司会者は言い終えると、舞台から降りていく。
屋外席にいた人たちが続々と動き出す。
「それじゃ、私たちは先に会場に行ってるから、後から来なさい」
エリザがそう言うと、アルディが扉を開け、エリザとアルディは部屋から退出した。




