起床
翌朝。
琉海は朝日が昇った頃に起床した。
昨日の夕食も豪勢なもので歓迎された。
酒も進められたが、遠慮して食べるだけ食べた。
ちょっと食べ過ぎたせいか、まだ若干、腹の中に残っている感じがする。
寝苦しくて目が覚めたのかはわからないが、二度寝したいと思うほど眠くはなかった。
ベッドから降りて、寝室を出るとソファに転がっているエアリスがいた。
「なにやっているんだよ。エアリスの部屋はここじゃないだろ」
「私に部屋なんて不要なのよね。それにルイと離れているとマナの供給効率も減るし」
「そういうことか……」
琉海以外の人と会話するのをエアリスが喜んでいたので、常にマナを生成しエアリスに供給し続けていた。
今では、無意識にマナを生成できるほど上達している。
「それにしても、早いじゃない。まだ朝日が出たばかりよ」
「ああ、ちょっと体を動かそうと思ってね」
「そういえば、今日は大会だったわね」
エアリスの言葉で思い出し、琉海はため息を吐く。
「まあ、今日は開会式と貴族の顔合わせのパーティーがあるだけだから、大会本番は明日からみたいだけどな」
「そんなことを昨日の夕飯に言ってたわね」
「それにしても、どうしたものかな」
「何を悩んでいるのよ」
「いや、精霊術のことだよ」
「別に気にしなくていいと思うわよ。原理は魔法と一緒なんだから、魔力の高い人だと思われるぐらいじゃない」
「身体強化は何とかなると思うけど、《創造》をどうするかなんだよな」
琉海の懸念しているとこはそこだった。
騎士武闘大会のルール上では、相手にダメージを与える魔法は禁止とされている。
つまり、強化魔法や琉海の使える《創造》は使用可能ということだ。
琉海にとってそこは嬉しいとこなのだが、《創造》を使ったら周りからどんな反応があるのか、不安があった。
「そうね。私のオリジンは誰にも真似できないから、皆驚くんじゃない」
エアリスはその瞬間を想像したのか、口元がにやけている。
「いや、下手に注目されたら、今後の動きに支障が出るかもしれないだろ」
「それもそうね。じゃあ、無手でいいんじゃない?」
「…………なるほど、それでいいか」
騎士武闘大会という名前から、武器を持つ必要があると思ってしまったが、別に武器を持つ必要はないはずだ。
「ありがとう。エアリス」
琉海は礼を言って、エアリスの頭を撫でた。
エアリスは目を細めて猫のように気持ち良さそうにする。
「さて、そうと決まったらちょっと体を動かすか」
琉海はそう言い、部屋を出る。
エアリスもその後を追った。




