表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/195

出会い

(俺は死んだのか)


真っ暗な意識の中、琉海はうっすらと覚えている最後の記憶を思い出す。

走馬燈のように飛行機でのことが思い出せた。

そんな意識の中、夢から覚めるかのように体の感覚が呼び起こされる。

暖かい気候にそよ風が流れる。

その風が自然特有の草木の匂いを運んでくる。

その匂いで意識を失っていた琉海の体が覚醒に導かれた。


「ん……」


意識が戻り、琉海は瞼をゆっくり開くが、日の光に顔をしかめる。

それも徐々に慣れていき、視界が開くと自分が森の中に倒れていると理解する。


「ここは……どこだ? 死後の世界……か?」


大自然の中で琉海は周囲を探ろうとしたとき――


「目を覚ましたわね」


 突如、少女の声がした。

琉海は声がした方に顔を向けた。

 そこには、樹齢100年と言われても疑いもない大木の枝に、黒髪の一人の少女が座っていた。

外見だけだと同じぐらいの年齢だろうか。

 周囲には小鳥やリスなどの小動物が集まっており、おとぎ話の妖精のようだった。

 しかし、その感慨も彼女の黒いドレスのような服装が、自然の神々しい雰囲気と真逆の存在のように感じられてしまう。


「君は誰だ……? いや、それよりもここは……?」


「聞きたいことは山ほどあるようね」


 少女はそう言うと地面に飛び降りた。

 鳥たちは飛び立ち、リスたちも別の木々に逃げていく。

 地面に素足で着地する少女。


「体はどう? 問題はないと思うけど、不調があれば言ってちょうだい」


 琉海は立ち上がって、軽く体を動かしてみる。


「いや、問題ないかな……?」


 不意に記憶がフラッシュバックし、腹に大きな傷を負ったことを思い出し、自分の腹部を触り、目で何も傷がないことを確認する。


「ここに傷があったと思ったんだが……」


「死にかけだったからね。でも、私が直したわよ。いや、直したというのは正確じゃないか。そうね。複製したといった方が正確かしら」


「複製……?」


「あなたの体はズタボロであそこに倒れていたのよ。助かることのないほどの重症だったわ。私の近くに落ちてきたのは幸運だったわね。ああ、ついでに服も複製しておいたから」


「いや、複製についての答えになってないと思うんだが……」


「複製についてね。それには、私のことと今のあなたの状態を説明する必要があるかしら。長話になるだろうから、場所を移しましょう。そういえば、あなたの名前を聞いてなかったわね」


「俺は、才偽琉海だ」


「サイギルイ。変わった名前ね。私はエアリス」


「エアリス。よろしく。俺のことは琉海でいい」


「そう、ではルイ。末永くよろしくお願いね」


「ん? あ、ああ、よろしく」


 少女の言い回し若干引っかかる部分はあったが、黒髪の少女エアリスは話が終わると、森の中にどんどん行ってしまうので、聞くこともなく後を追った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ