女の正体
「知ってる人?」
「ああ、学校の先輩だ」
エアリスの質問に答えたが、正直理解できなかった。
なぜ、この異世界にうちの生徒会長――藤堂静華がいるのだろうか。
異世界に飛ばされたのは、飛行機から落ちた自分だけではなかったのか。
様々な疑問が頭の中を駆け巡る。
黙考して十数分。
ある過程に辿り着く。
もし、飛行機の中にいた静華が異世界にやってきているとしたら、琉海の幼馴染――雫や刀香もこちらの世界に来ているかもしれない。
だが、日本人がこの世界で生き残るには、奇跡的な巡り合わせがないとすぐに死んでしまう。
生きていたとしても、最初に出会った相手が悪ければ、奴隷にされていることもあるかもしれない。
雫たちがどうなっているのか焦燥感に駆られるが、急いても仕方のないことだ。
心を落ち着かせようと深呼吸した。
「ルイの知り合いがこの世界にいるってことは、一緒にこっちに来たってこと?」
「そういうことになるのかもな。詳しくは会長に聞かないと何とも言えないけど」
「そう」
エアリスは興味があるのか、静華をまじまじと見ている。
何はともあれ、目を覚ますのを待つしかない。
じっと待っていてもどうしようもないので、琉海は夕食を食べるために一階に下りた。
女将さんに再びお礼を言われ、今日の夕飯はちょっと豪勢だった。
お礼を兼ねた料理を振舞ってくれたようだ。
おいしい料理に舌鼓を打つ琉海だった。




