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復讐

「あのガキは来ると思うか?」


 黄髪の男が手元でナイフを弄びながら言う。


「ははは、ディックは馬鹿か? 来るしかないんだよ」


 青髪の男が笑いながらも、視線には怒気を孕ませて、黄髪の男――ディックを睨む。


「サルスは血気盛んだね。俺はこの()が手に入れば、別にいいや」


 青髪の男――サルスにやれやれと首を振る緑髪の男。

 彼は気を失って床に倒れているミリアの髪をすく。


「ははは、バカスは腕を折られたことをもう忘れたのか」

 

 緑髪の男――バカスを挑発するサルス。


「折れた腕ならもう治ったよ。痛かったけど、欲しいものは手に入ったし」


 琉海に折られたほうの腕をひらひらと動かして答えるバカス。


「ははは、それは高い金払ってポーションを買ったから、治ったんだろ。あのガキに金を払ってもらうぐらいのことをしねえと気が済まねえ」


「まあ、そのぐらいはしないと気は晴れないかもな」


 ディックはサルスに賛同する。


「俺はどっちでもいいかな」


 バカスはミリアのことで頭がいっぱいなのか、二人とは温度差があった。


「ははは、お前を先に殺す!」


 笑顔を貼り付けたまま、剣を抜こうとするサルス。


「おい、少し黙れ」


 静かに殺気を放つ赤髪の男――イーゲルが三人を睨む。


「「「…………」」」


 怒っているイーゲルの怖さを知っている三人は沈黙を選ぶ。

 イーゲルは剣を眺めることで心を鎮めようとする。

 だが、怒りはふつふつと湧き上がってくる。


(あのガキのせいだッ!)


 町を歩けば、他の冒険者に蔑んだ目で見られる始末。

 ライセンスを剥奪される前は、何も言わず、視線も合わせなかった奴らも今じゃ、大っぴらに陰口を言ってくる。

 だが、こちらから殴ることもできない。

 指名手配されれば、狩る側だったのが狩られる側になってしまう。

 そんな行く当てが無くなったイーゲルたちに救いの手を差し伸べた者がいた。

 その時のことをイーゲルは思い出す。

 イーゲルたちを掬い上げた男はフードを深く被り顔を隠していた。

 そして、とある提案をしてきた。


「君たちをどん底に落とした男に仕返しをしたくないか?」


 最初はどん底に落ちたという現実を突きつけられ、イラっとしたが、その原因を作ったあのガキへの怒りの方が勝っていた。

 第三者から見れば、明らかな逆恨みだ。

 だが、そんな感性を持っていたら、このような結果にはなっていなかっただろう。

 イーゲルはその者の提案に乗ることにした。

 元凶の少年を誰にも邪魔されず嵌めることのできる場所があると言われ、場所を聞くイーゲル。

 しかし、そこには魔物が住み着いていると教えられる。

 その場所を確保するためにイーゲルたちの力を借りたいと言われた。

 イーゲルたちは意気揚々と屋敷に入っていき、魔物を蹴散らした。

 元C級冒険者四人で行った魔物討伐は危なげなく完遂された。

 腐っても元C級冒険者であるということだろう。


「早く来い……」


 両刃の剣の腹にイーゲルの怒気の孕んだ瞳が写る。

 雨音が外から聞こえてきた。


「雨が降ってきやがったか」


 ディックが外を覗いて呟いた瞬間――

 屋敷の玄関の扉が吹っ飛んだ。

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