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怪しい影
琉海が賊の情報を集めはじめてから、三日が経った。
「お客さん。こちらの宿に泊まっていきませんか?」
ミリアが店前で客引きを行っていた。
琉海の客引きに成功してから、ミリアは自信をつけていた。
新顔の人には積極的に話しかけ、めげずに客引きを続けていた。
「こちらの宿では朝夕食が付きまして銀貨二枚となっています」
そんなやる気に満ちているミリアに黒い影が近づく。
そして――
「…………ッ!?」
突然、現れた男に驚くも、すぐに意識を失ったミリア。
ミリアは声を発することなく、その場からいなくなった。
誰にもそこにいた少女が消えたことに気づかなかった。
奇しくも、周りにいた者たちは別の場所に視線を奪われていたのだ。
誰にも知られることなく姿を消してしまったミリア。
彼女はどこへといったのか知るものはいなかった。




