夕食のひと時
夕飯は、肉料理や野菜のサラダ、果物を使ったデザートと様々な種類の料理を味わうことができた。
村で食べていた食料とは雲泥の差。
まず、使用している材料の種類の多さが違った。
それだけ、この町が豊であることがわかる。
食事時の時間もあってこの宿の食堂は混んでいた。
そんな中、琉海も食事をし終え、頼んだ柑橘系のジュースを飲みながら、食後の休憩をしていると、時間が過ぎていくに連れ、徐々にお客を掃けていく。
お客が少なくなり、ミリアが琉海の元にやってきた。
「どう、うちの料理は美味しかった?」
「色々と種類があってどれも美味しかったよ」
「それは良かったわ」
ミリアが笑顔で答える。
「ああ、そうだ。この町って結構活気があるけど、皆どんな仕事してるんだろう?」
琉海はいま思い出したかのように言う。
「うーん、私は他の町を知らないから、活気があるのか比べようがないけど、うちのお客さんは大体が冒険者かな?」
ミリアがまだ残っている客に視線を向けて言う。
「冒険者……」
琉海もその視線を追った。
そこには軽装だが、革鎧に剣と斧を壁に立てかけている二人組の男が顔を赤らめて談笑している。
あの二人も冒険者なのだろう。
冒険者は、ヤンばあにやめておけと忠告された職業だったなと思う。
「他にはないのかな?」
「うーん、どうだろう。やっぱり冒険者じゃないかな。この町には大きい冒険者ギルドもあるし」
「冒険者ギルドか……」
(ヤンばあは冒険者ギルドのことも言っていたな)
冒険者ギルドに加入すれば、恩恵はあるが、縛られることにもなる。
正直、アンリを探すのに足枷はいらない。
邪魔になるだけだ。
でも少し気にはなる。
そして、人が集まる場所には情報も集まる。
「冒険者ギルドってどこにあるのかな」
「この宿を出た道を中央に向かって真っすぐだけど、冒険者なの?」
「いや、冒険者ギルドにちょっと興味が湧いただけ」
「お金になるけど、命がけみたいだから、冒険者になるなら、気を付けてね」
ミリアはそう言ってキッチンのほうへ行ってしまった。
「別に冒険者になるつもりはないよ」
彼女の背中に呟いて、琉海は立ち上がる。
明日の予定は決まった。




