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金の稼ぎ方

「ふう……」


 頭の中での整理がひと段落すると、大きく息を吐いて体を弛緩させる。


「さてと、聞きたいことは早めに済ませるか」


 琉海はエアリスに何か言われる前に済ませてしまおうと立ち上がる。

 部屋を出て誰かいないか家の中を探す。


「ほ、どうかしたのじゃ?」


 琉海を見つけた村長が声をかけてきた。


「村長さん、ちょっと色々聞きたいことがありまして」


「村長なんて呼ばなくてよい。お前さんはこの村の住人ではないからな。ヤンばあと呼びなされ」


「ヤンばあですか」


 琉海は言いよどみつつも声にする。


「まあ、慣れればでよい。それで聞きたいこととはなんじゃ」


「ああ、そうでした。この村では、お金とかってあるんですか?」


「そりゃ、あるさね」


 ヤンばあは、懐から数枚の硬貨を取り出す。


「いまは、銅貨と銀貨しか持っておらんが、この他に金貨や大金貨といった硬貨もある。まあ、一般的に使われているのは銅貨と銀貨の二種類かの。金貨になると、使っておるのは、貴族や商人ぐらいかの」


 ヤンばあは琉海が聞きたかったことを教えてくれた。

 平均、銅貨五枚ほどで一食分になるらしい。

 銅貨一〇枚で銀貨一枚相当。金貨一枚は銀貨一〇〇枚に値するらしい。


「お前さんの知りたいことはこんなものかの?」


「いえ、あとお金の稼ぎ方を教えていただければと思いまして……」


 琉海は不躾な質問であるだろうと思いつつ、聞く。

 正直、教えてもらえる確率は低いだろう。

 いや、怒らせてしまう可能性が一番高いだろうか。

 どんな反応が返ってくるか内心ビクビクしながら、ヤンばあの返答を待つ。


「そうかい。金を稼ぎたいのか」


「ええ、現在一文無しなもので」


「まあ、仕事を選ばなければ、金の稼ぎ方はいくらでもあるがの」


「例えば、どんなことですか?」


「そうじゃの。強ければ、冒険者になるのが一番金を稼ぐことができるかもしれんの」


「冒険者ですか」


 琉海がその言葉で連想したのは、元の世界でアニメや漫画で登場する役職だ。

もし、想像する冒険者が同じものならば――


「まあ、これは命がけじゃ。あまりおすすめしないかの。それに、冒険者ギルドに所属する必要もあり、ギルドの犬になりかねないしの」


「冒険者について詳しいですね」


「ん? そりゃの、こう見えて昔は冒険者をやっておったからの」


「冒険者をですか?」


「ひひ、儂も昔はやんちゃじゃったからの。命知らずな冒険者をやっておったのじゃよ。経験者からの言葉じゃ、あれはおすすめせん」


「じゃあ、他にもあるんですか?」


「ふむ、冒険者以上に稼ぐのは難しいかもしれんの。商人やどこかに定住して店を構えれば、安定して稼げるかもしれんの」


 ヤンばあの話を聞いて琉海は思考する。

 正直、定住するのは難しいだろう。

 エアリスの目的はまだ、うっすらとしかわからないが、常に移動する必要があるだろう。

 その条件だと、冒険者か商人が適役なのかもしれない。

 しかし、商人となると、最初の元手が必要になる。

 冒険者は力さえあれば問題ないようだが、危険も多い。

 そして、そこまで強くないと自覚している。

 琉海は正直、金のために命を賭けるつもりはなかった。


「そうですか。少し考えてみます」


 琉海はそう言ってこの場を辞そうとした。


「そうかい。まあ、考えることも必要かもしれん。じゃが、まずは働き方を教えたほうがいいかもしれんの。明日の早朝に玄関で待っておれ」


 ヤンばあも言うだけ言って行ってしまった。


「明日の早朝に何があるんだ?」


 ヤンばあが去った方を見て琉海は呟いた。


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