アンリ
「ねえ、この村には何で来たの?」
アンリは後ろを歩く琉海に話しかけた。
「なんでと言われてもね。行く当てがなくて、近くに村があったから、立ち寄ったって感じかな」
「ふーん。でも、こんな村じゃなくてもよかったんじゃない。三、四日歩けばもっと大きな町があったのに」
「へえ、そうなんだ」
琉海はいい情報を手に入れたと忘れないようにする。
まあ、忘れることはないけど。
「どっちに行くとその町はあるのかな」
「西の方にまっすぐよ。それにしても、あなたってこの国の出身じゃないの?」
「ま、まあね。この国の出身じゃないかな」
「そうなんだ。私はこの村から出たことがほとんどないから、外のことは村の人か外から来た人から聞いたことしか知らないけど、何か聞きたいことがあったら聞いて。私も色々とお話ししたいし」
「その時はよろしく」
話をしていると、目的の部屋に着いたのか、アンリが足を止める。
「ここが客室。好きに使っていいわよ」
アンリがそう言って扉を開ける。
十畳ぐらいはある部屋だった。
和式の部屋で、田舎のおばあちゃんの家を思い出させる内装だった。
「何か必要なものがあったら言って、用意できるものならするから」
「ああ、ありがとう」
「それじゃ、私は仕事に戻るね」
アンリはそう言って去ろうとしたが、
「ああ、そうだ。自己紹介してなかったね。私はアンリ。よろしくね」
アンリが手を琉海の前に出す。
「俺はルイ。よろしく」
琉海はそう言ってアンリと握手した。




