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プロローグ

 村に襲撃者が現れた。

 悲鳴が村全体から聞こえてくる。

 逃げ惑う村人たちを襲うのは同じ人間。

 襲う側の人間の武装は高価なものに見える。

 鎧を着た男たちが馬に騎乗し、剣や槍を振り回している。

 村人たちはなすすべなく、切り殺されていた。

 そんな村で一人の少年が襲撃者の中で装飾の多い鎧を着た男と対峙していた。

 男の顔には、下卑た笑みを浮かべ、少年に剣を向けている。


「ほら、その女を早くよこせ」


 剣先をちらつかせて、少年を脅す。

 だが、少年は少女を庇うように立ち、動こうとしない。


「自分の命とその女のどっちを選ぶ。いまなら、お前の命は助けてやらないこともないぞ」


 男が少年に選択肢を与えるが、そんな選択肢はないだろう。と少年は心の中で呟く。

 それは正解なのだろう。

 だが、少年が男を退けることはできなかった。


「少しは穏便に済ませようと思ったんだが、返答がないなら――」


 男は少年の胸部へ剣を突き刺す。

 少年は何もできず、気づいたときには、刺されていた。

 服が赤黒い色が滲んでいく。


「がはッ!」


 内臓から逆流してきた血が口から零れ出す。


「――――ッ!」


 後ろにいた少女はその光景を見て声にならない悲鳴を上げた。

 男は乱雑に少年の体から剣を抜き目的の少女へ近づく。

 少年は支えになっていたものがなくなり、倒れる。

 少年が見た最後の光景は男に腹を殴られ、気を失う少女。

 そして、男が担いで連れ去る姿だった。

 少年はこのときのことを後悔し続ける。

 少年こと、才偽琉海(さいぎるい)は何もできなかった自分を責めながら、意識を手放した。


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