フラマルテ到着!!
この人は突然何を言い出すんだろう。一瞬時が止まったように感じた。彼の母は不慮の事故で死んだと言われていて、彼の国でもそういう扱いになっていた。まさか、殺されていたなんて思いもしなかった。
「誰に……殺されたんですか?」
恐る恐るそう問うと、彼は
「親父だ。」
と答えた。そのあと、王子はその日見たことを事細かに説明した。聞き終えた俺は何もいうことができず、何と声をかけるべきかも分からなかった。幸い王子は話終わるとそのまま眠りにつき、俺はそっと部屋を出て、自分の寝室へと戻り眠った。
「……きろ、起きろーーー!ローイースーー!」
やかましい声に目を覚ますとそこには昨日の顔色の悪さが全く見当たりないカサンが俺を揺さぶっていた。
「ついたよ。フラマルテに!」
その言葉に急いで船の甲板に出てみると、そこには見たことのない美しいジャングルが広がっていた。
「まず、この森を治める長老の所にいかなければならないな。」
「場所わかるんですか?」
「ああ、昔一度ここには来たことがあってな。」
そう言って王子はすいすいとジャングルの中を進んでいくため、俺たち4人はついていくのに必死だった。一時間後、王子はやっと足を止め、
「あそこだ!」
と少し開けた場所にある集落を指差した。
「こんなに遠いなら最初に言ってよー‼」
「文句を言うな。親衛隊がこれくらいでへばってどうする‼」
「そんなこといってーー。君たち体力お化けと一緒にしないでよねー。そう思うよね、ロイス、ケンー!」
「本当ですよ。」
「いや、僕は楽しかったですよ!」
「そりゃ悪かったな、今から村長に会いに行くからくれぐれも失礼なことはするなよ‼」
「「はーーい」」
そう言って王子は一番大きなテントの入口を開き
「イルネルダ村長、いらっしゃいますか?」
と声をかけると、中からいかにも長老と言った雰囲気の老人が、
「こんな忙しいときにだれじゃ?」
と言いながら出て来た。しかし、王子の顔を見ると嬉しそうに目を細め、
「おー、お前さんか。久しぶりじゃのう。何しに来なさった?」
と温かく迎え入れてくれた。王子も猫かぶりを発揮して、
「みなさんどうしていらっしゃるかな、と思って。あと、折り入って頼み事があるのですが……。」
「おや、珍しい。なんですか?言ってみなされ。」
「実は女神の雫を探しているのですが、どこにあるかご存じですか?」
「なりませんな。」
「ご協力ありがと……えっ??どうしてですか?」
「あれはとても危険なところにありましてな。とても王子には行かせられません。つい先日も…」
「先日?」
「あ、いや……。まあ、とにかくお引き取りくだされ。」
そう長老がそう言うと、思いの外あっさり王子は引き下がり、そのテントから出た。
「一旦作戦を練り直すぞ」
そう言って俺たちは船へと戻ろうとしたとき、小さな男の子が走ってきて、俺たちの前に立った。