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オーレル号
「遅いよーー!」
カサンがブンブンと手を振ってこちらに走ってきた!
「ほら!あれが僕らが旅する船!!オーレル号だよ!!」
彼の指す方をみると、そこには小さいが美しい装飾の施された船が海に浮かんでいた。
「おい、カサン!どうやって父上からこの船くすねてきたんだ?」
ルアンが訝しげな顔で船を見回す。
「くすねたって人聞き悪いなぁ……。ちょっと頼み込んだだけだよ。」
そう言ってカサンは苦笑いした。
「この船そんなにすごいんですか?」
「我が国の最新技術を駆使した船だ。自動操縦、大砲ありとあらゆるものが揃ってる。」
俺はあまりの衝撃にあんぐりと口を開いた。
「……。俺、中を見てみたいです。」
「よし、案内してやるよ!!」
それから俺たちは船内を一通り回った。落ち着きのある食堂、何一つ不自由しない個室、機械仕掛けの操縦室。どれをとっても素晴らしいこの船に乗って世界中を旅するのかと思うと、心が踊った。
「じゃあ、船内巡りもこれくらいにして、ケンとエルバルドを待つとしよう!」
二人が準備を済ませ船にやって来たのはちょうど夜ごろのことである。