親衛隊もお供します!(2)
「女神の雫はこの世界にバラバラに飛び散ったらしい。一つ目は海上都市テノスシラン、二つ目はジャングルの辺境にあるフラマルテ、三つ目は桃源郷と名高いジンパング、四つ目はこの国の地下深くで厳重に管理されている。」
「はーい、質問!どこから集めにいくんですかー?」
「それを今からみんなで決めるんだ」
じろりと王子が睨むとカサンはあちゃー、まだ根に持ってるよーと言いながらエルバルドに目配せするが、彼はそれを無視して、続きを頼みますと王子を促した。
「俺は最初にフラマルテに行った方がいいと思う。」
王子は真剣な顔をして俺たちを見回してそう告げる。
「どうしてですか?」
王子がそんな顔をするからには何かあるのだろう。
「聞きたいか?」
「聞きたいです。」
俺たちは王子の言葉を固唾を飲んで待った。そして王子はふっと笑い口を開いた。
「何となくだ。」
「何でそんなに溜めたんですか?!!!」
思わず俺が大声をだすとカサンたちはまたか、といった様子でルアンを見ていた。
「お前らの視線が集まったのが気持ちよくてつい…な?」
「バカじゃないんですか!!?このナルシスト野郎!!」
「いや、俺の美しさはナルシッソスにも勝るぜ?」
「本当にバカだな!!」
「てめぇ、さっきから人のことをバカバカバカバカ言いやがって!バカって言った方がバカなんだぞ!」
「バーーーーカ」
これ以上やると本当に殴りあいになりそうだったので、カサンとエルバルドが止めに入り、一旦その場は落ち着いた。
「今僕たち話し合いしてるんだから、下らないことで喧嘩しないでくれる?」
王子も俺も不服そうな顔でカサンを見る。エルバルドがその場を取り繕うように話を戻した。
「要するに最初の行き先はフラマルテでいいんですね?」
「ああ」
こうして俺たちは結局話し合いという話し合いもせず、王子の勘で最初の行き先を決めたのであった。