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遺物ナンバー2 河童伝説に隠された幻の調味料を追え プロローグ

今回は下品な言葉が頻発しますので苦手な方はお控えください。


今回はタイトルにある調味料の話は一切でません。すいません。具体的な探検は次話以降の予定です。あと、もしかすると別のネタに変わるかもしれません。っていうか、もう遺物の名前って感じではなくなってますね。


ちなみに今回はミコトがヤスと暮らすための理由を補強して説明する回です。ひとりぼっちが二人になる過程の話を二人の会話を中心に描きました。悪い奴らから逃げ切って二人で暮らしました、っていうのもいいとは思ったのですが、考えている内に一緒に暮らすってちょっと早いかなー、なんて思ってしまいました。


というのとミコトが人間であるという設定をきちんと説明しなくちゃ、ということを思いながら書きました。


では、お楽しみいただければ嬉しいです。

 森の空気が震えた。ミコトとヤスを乗せ、駆ける白馬の遙か後方から轟音が轟いた。今までの銃声とは違う音。それは破裂や炸裂などではなくもはや爆発とさえ思えた。銃を撃ちならしながら追いかけてくる暴漢どもを出し抜き、逃げ切れた、そう思った矢先のことだった。馬はさらにスピードを上げた。ミコトは跳ね上がった鼓動におののきながら手綱を懸命に握っている。ヤスは後ろを振り返り追っ手がいないことを確かめた。


「だ、大丈夫。追っ手は来てないから。たぶんやけくそででかい拳銃撃っただけだよ」


「わかった」


 ミコトは前を見据えたままそう答えた。徐々に馬のスピードが緩んでくる。二人は落ち着きを取り戻し始めた。ヤスはミコトに後ろからしがみついていたことに気がつく。ミコトの細い腰は思いの外、頼りがいがあるように思われた。ミコト自身は十二歳と称しているが見た目は十代半ばころである。


 ヤスがいた村では十代半ばで子を産む女も珍しくなかった。遅い者でも二十歳をすぎた頃には嫁に行くのがヤスの村の風習だった。


 思わず頬をミコトの背中に重ねてみた。熱いほどの温もりを感じる。


「おんぶしてもらうってこんな感じなのかな?|


 ヤスは母の顔も知らない。育ててくれたのは父である。その背中を見て育った。行商用の大きな荷物で覆われた父の背中におぶってもらえる隙間などなかった。


 ふと頬に冷気が刺す。涙が流れた跡だと知った。


「あ、あれ。俺、泣いてる? ミコトには気づかせない方がいいよな。俺が平気な顔してなくちゃミコトも不安になっちゃうもん」


 ほんの少しの寂しさとそれを忘れさせるのに十分な誇りを胸にヤスはミコトの背中で瞼を数回擦り、あとちょっとだけ、と己に言い訳して顔を押しつけた。温もりを感じた。


 そして、気がつく。顔とは別に冷気を感じる箇所に。心臓が跳ねた。先ほどの轟音が耳を襲ったときよりも急激に、強く。


(う、うそだろ)


 前進から汗が噴き出す。冷や汗だ。馬上で風を受けて体が一気に冷えていく。特に尻のあたり。


(うんこを漏らしたというのか? この俺が?)


 片手をゆっくりとゆっくりと尻のあたりに手を伸ばす。指先が微かに、だが確実に。濡れた。


(う、うそだろぉ?)


 認めたくなかった。自分がウンコたれであることを。


(ああ、でもこれ絶対うんこだよな。間違いないよ)


 指先を見つめ、においをかぎ、顔をしかめ、またにおいをかいだ。そして、この指先は洗うまで何も触れられないことに思いいたる。


(くそ、ミコトに気づかれる前になんとかしなくちゃ。でも、飛び降りるわけにも行かないし)


 拳銃を持つ暴漢に追いかける危機感も同世代の女子にウンコを漏らしたことが知られる危機感も大差ない年頃だった。


 ヤスはあふれる木漏れ日を目に入れることも、ミコトの温もりを感じることもなくただ事実を隠蔽することにその全思考を振り向けた。


(このままミコトを隠れ家まで連れて行って、どこかの部屋に入って着替える、っていうのがウンコの存在すらなかったことにできるからいいんだけど、臭いでバレるかもしれないし、汚れたパンツも洗ってるところでも見られたら隠そうとしたことまでバレちゃうし・・・・・・ すると、やっぱり、ここはあえての、ウンコを見せるパターンでいったほうがいいのか。馬から降りた瞬間に、わざと尻餅をつく。そこで、やっべー、犬のウンコの上におっこっちちゃった、って騒ぐパターン。ああ、どっちが正解なんだよ。ああ、事件は存在しなかったパターンでいくか、あえての目撃者を用意して被害者は犯人だったパターンでいくのか)


 ヤスの無理矢理にミステリに彩られた思考はエンドレスで回る。女子の前でウンコを漏らすのは犯罪、そんな年頃のヤス。そして彼は選択した。


「もう、犯人はヤス、だなんていわせない。被害者は犯人だったパターンだ!|


 決断を下すと周囲を見渡す余裕が生まれた。 木漏れ日があるとは言え薄暗くひんやりとした空気が漂う森の中を馬に任せるままに進み続けていることに気がついた。端から見た二人を想像する。馬上でのんびりとにた揺られているだけに見えるだろう。たとえ、ウンコを漏らしていたとしても。


 特にヤスはミコトに馬を急がせるようには言わなかった。ミコトも急がせる必要を感じなかった。銃を持った悪漢たちはすでにもう遠い彼方である。


 危機は去った。それなら少し休みたい、それが彼らの率直な気持ちだった。しゃべることも億劫でただ揺られながら森の風が汗を冷やしていくのを感じていた。


 そうこうしているうちに馬が歩みを止めた。ミコトは空を見上げた。森の終わりは急に現れた。開けた空が見える。なにかを始めるには遅いが何かを終わらせるに早すぎる、そう思わせる春の午後の日差しが空の青に薄く黄色を混ぜ始めたことに気がつく。


 顔を降ろし改めて正面に目をやる。予想していた荒廃した砂色の大地、ではなく、そこかしこからアスファルトを割り草木が生えている。建物を覆うようにツタがまとわりついている。


 かつては大いに栄えたであろう街並みだった。真っ直ぐ続く片側二車線の道路とそれを挟むように立つ商業施設や高層マンション、大抵の部屋の窓は割れており、ツタに絡まれ荒れている。


 整えられた街路樹であったろう木々の枝は伸び放題で、その幹は迫力ある太さに変わっていた。両側には窓が割れ、ツタにからまれてた荒れ果てた建物が並んでいるのが見て取れる。


 ミコトはしばしその景色に見入った。


 ヤスはミコトが何か言うのを待った。ミコトの肩が落ちているのに気がついていた。ただ、なぜミコトが肩を落としているかはわからなかった。しばらく思いを巡らしたがそのうち、ミコトの肩が小刻みに揺れているのに気づくと鼻をすする音が耳に入り始めた。


(え、泣いてるの? どうしよう?)


 何かしなくてはならない。そんな思いに駆られた。


 ヤスはミコトに馬を降りることを伝えると便がついてしまった指先がミコトや馬に触れないように拳を握って慎重に馬上から降りた。そして、ミコトから背中のリュックが見えるように立つと言った。


「リュックの中に干しいもが入ってるから。俺、ちょっと手が汚れてるから自分でとって食べなよ。うまいよ」


(こう言ってから神様みたいにほほえんでみせる。それからは言われたとおりにしておけばいいんだっけ、確か、ラノベのどれかにそうすれば女子を慰められるみたいなこと書いてあったよな)


 そう思いながら振り返る。


 ミコトは馬上で泣いていた。作り物の用に整っていた顔立ちの面影はない。瞼を、頬を赤く染め、両手で鼻と口を押さえ、涙が流れるままにヤスを見ていた。そして、しばらく見つめ合ったのちに、こくんと頷くと涙を手の甲で拭い、馬から降りた。


 そして、ヤスの後ろ側に回りリュックを開けた。荷物が詰め込まれたその中に、ウェットティッシュの袋を見つけるとその中から一枚取り出しヤスの後頭部に告げた。


「ヤス君。手、出して|


「え? ああ、うん|


 ミコトは差しされた強く握り込まれた拳を己の手のひらに乗せると言った。


「広げて。手|


「え? ああ、うん|


 ミコトはヤスの手を丁寧に拭った。


「はい、じゃあ、ズボンとパンツ脱いで、拭いてあげるから|


「え? 動機は?」


「漏らしちゃったんでしょ? うんち」

「え? 誰が?」


「隠さなくていいよ。あんなに危ない目にあったんだもん。私より小さいんだし、漏らしちゃったってあたり前だよ」


 ヤスの顔が火照った。ただ、目を見開きミコトの瞳を見ながら唇が戦慄くのを感じている。そんなヤスにミコトは言葉を続けた。


「すごいんだよ。君は。今だって。自分がそんなことになってるのに私を慰めようとしてくれたんでしょ?」


 泣き笑いの表情のミコト。機械仕掛けのように頷くだけのヤス。


「わたしも君のためになにかしたいの。恥ずかしくなんかないでしょ。召使いのロボットにお尻拭かせるだけなんだから。さあ、脱いじゃって」


 ヤスは一つうなずくとリュックを背中から降ろして靴下もズボンもパンツも脱いだ。そして、ミコトにされるがままに拭き清められた。そして、予備の下着とズボンに履き替えると言った。


「あ、ありがとう」


「こっちこそ。それにごめんね。泣いちゃって。私、目が覚めてからあの廃病院やこの森から出たことなかったからさ。おじさんに話を聞いても信じられなかったの」


「おじさんって? 前のご主人様ってこと?」


「ううん。ちょっと歩きながらにしない?」


「あ。じゃあ、馬に乗って俺んちまで行っちゃおうよ。暗くなる前に」


「うん」


 そして再び馬に乗った。しばらく進むとミコトが口を開いた。


「あのさ。わたしね。ホントは人間なの。ごめんね、うそついて。おじさんが今の人間は古代のロボットだっていうとおそれて変なことしなくなるからって言われててね」


「え?」


 ミコトの話を要約するとこのような内容であった。気がついたら狭い入れ物に閉じこめられていた。中から叩いているとその入れ物を開けてくれた者がいた。それがミコトの言うおじさんであり、それから数ヶ月ほどの間、その者の世話になり生きていたということであった。


「それでね。わたしが年齢くらいしか自分のことがわからないって相談してたらね、そのおじさんはこういってたの。おそらく何かの原因で十二歳から十六歳くらいまで、植物人間として過ごしていたんじゃないかって」


「植物人間って」


「何かの原因でずっと眠ったままになっちゃっうこと」


「ふーん、怖いね」


「うん、そうだよね。でね。当時の人たちは未来の医療技術に望みをかけて冷凍保存装置に入れたんじゃないかって言うんだけどね。この景色見たら、バーッて頭の中にいろいろ浮かんじゃって」


「うん」


「ホントに私がいた時代とはぜんぜん違うんだなーって思ってさ。おじさんも、もうこれなくなっちゃうって言ってたし。わたしほんとにひとりぼっちなんだって思ったら泣いちゃった」


「そっか」


「でもさ。目の前に君がいた」


「うん」


「いてくれてありがとう」


「俺もミコトに会えてよかった。俺も一人だったから」


「うん」


 そして二人は静かに白馬で運ばれた。


 隠れ家についたことろには夕焼けが空を染めていた。


 ヤスは隠れ家にいつもより多めにろうそくに火を灯した。ミコトは明るさを取り戻して探検と称して隠れ家の中をいろいろ見て回っていた。ヤスがベッドに寝転がりながら夕飯について段取りを考えていると血相を変えたミコトがやってきた。


 その様子に思わずたじろぎながら尋ねた。


「どうしたの?」


「ねえ、なんで水が出ないの? 病院は出たよ?」


「ああ。タンクの水がないからだよ? だから俺、外でしてるもん。 病院はたまたま残ってたんじゃないの?」


「ちょっと、それ先言ってよ」


「え、だって、聞かれなかったし」


「ああ。もういやっ! 出してよ。ねえ、水、出してよ。もうしちゃったの。ヤスに見られるのイヤなの」


 激しく首を振りながら子供みたいにだだをこねるミコトを見ながらヤスはそっと干し芋を差し出した。やれやれ、というセリフは胸にしまうことにした。

お読みいただいてありがとうございます。


ちなにみネタとして河童がでてきたのはこんな流れでした。



なんか、映画のタイトルをもじったサブタイトルにしたいなぁ

レッドオクトーバーを追え、っていうタイトル、かっこいいなぁ

レッドホットチリペッパーとレッドオクトーバーってちょっと似てるよなぁ

でも、まんま使えないよな、固有名詞だもんなぁ

あ、レッドホットチリカッパーってなんか河童の強キャラとかレアキャラっぽいよなあ

でも、これもダメっぽいなぁ

はい、映画のタイトル風にするのやーめっぴ。 ←いまここ。


ってなかんじです。


では、また、次回で。

ありがとうございました。

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