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河童伝説に隠された幻の調味料を追え 13

お久しぶりです。


少し気軽に書かせていただきました。言葉遊びと新キャラの背景説明回です。

「ところで、お前等、単車って知ってるか。鉄でできた馬みたいな乗り物だ。」


「ええ。」


首を傾げるミコトを横目にアリッサが答えた。


「そうか。運転はできるか? 」


「大丈夫よ。何回か乗ったことあるから」


「オフローダーだ。スクーターじゃないぜ? しかもガソリン車」


「大丈夫。楽しみなくらい。最近は大人しい子にしか乗ってないから」


「そうか。ならいい」

 

 アリッサは、まるで真意を隠しているということを伝えるかのような微笑みを浮かべて訊ねた。それからケンに質した。


「ところでちゃんと準備はできてるの? 油を挿して動きをよくしたりするんでしょう?」


 ケンは無防備な笑顔を見せると若干早口になり語り出した。


「まあ、そんなシンプルじゃないがな。整備していなきゃ、提案しない。奴ら貴重な古代日本の単車を適当に扱ってたからな。たっぷり可愛がってやったぜ。まあ、くわしく教えてやるよ。まず、整備の基本はな整理整頓からって言ってな・・・・・・」


「ちょ、ちょ、ちょっと、待って」


「なんだ? 一生使える知識だぞ?」


「ごめんね、ちょっとトイレ。ほら、みんなで話し合いたいし」


「ああ。3分待つ。あ、お前ら腕時計は知ら・・・・・・持ってないか。まあ、そのときが来たらイクミを呼びに行かせる」


「わかった」


 アリッサは答えるとミコトを誘い女子トイレに向かった。トイレには個室も含め扉がいっさい外されている。教室の臭いから想像した物と違ってトイレは清潔に保たれていることに気がつくと、アリッサは一つ身震いした。


 ケンの話を信じるならば自転車漕ぎをさせられている者たちは食事や睡眠さえあの機械の上で行うという。ならば当然排泄もだ。どのような仕組みで回収されているのかは想像の枠を出ないが、その事実を突きつけられた。自分も捕まればあのような目に遭うはずだ。しかも、それは良い方の扱いであろう。悪い方の想像は始まりけたときに頭を軽く降って打ち消した、


「さて、どうする? 二人とも」


 ミコトはアリッサと目が開うと視線をはずした。ミコトの脳裏には自分たちに向けられた銃口、そして火に焼かれていった男たちの姿が浮かんでいた。そして、ケンの『お前もあいつらと同じなのか?』という言葉を思い出し唇を歪めた。


「でしょ? ここはいったん帰ろ? 危ないし。で、花子ちゃんは? もう、顔出しても大丈夫だよ」


 反応はなかった。


「来てないか? とりあえず二人の意見、まとめとこっか」


アリッサの言葉にミコトは頷いた。


 その頃、ヤスはケンとイクミの様子を観察していた。ミコトとアリッサがこの場を離れてどのような態度をとるか、信用に足る人物か見極めてからトイレにいくつもりだ。遺物屋の父から教わったことと半年間の避難生活の間に古代の知識を活かす。


『ケンの腕時計、いっぱい針がついてるから、きっとクロノグラフってやつだ。時計みたいな小さい奴はバッテリーがダメになってるはずだから機械式だ。自分で整備できるのかな? それとも腕のいい技術屋を知ってるのか? あと、イクミの方だ。やせっぽちで色も黒いし・・・・・・ まるでごぼうだな』


 そう考えながら見ているとイクミが不安げにケンに言った。


「ねえ、ケンさん。おにい、元気かな?」


 ケンは少し考えてから答えた。


「大丈夫だよ。ゼンゾウはいい腕を持ってるからな。鈴木組だって、あいつが死んだら死神を復活なんかさせられないからな。ひどいことなんかしないさ。」


ケンに頭を撫でられるとイクミは笑顔を取り戻して明るい声で言った。


「うん、そうだよね」


「それよりお前、いくら油が欲しいからって自分からこんなところに潜り込むなんて」


「違うって。あたしが手に入れようとしたのは作り方だよ。ここらの奴らエンジン式の単車や四つ輪乗り回してるからさ。絶対作ってるんだろうと思って。」


「だからって、お前。まあ、無事でよかった。もう、心配かけんじゃねえぞ? お前を無事に嫁にやるってのがゼンゾウの夢なんだから」


「別に、お嫁になんかいかないもん。ずっとお兄と古代のマシンいじってたいしさ。それに、お兄だって言ってたよ? いつか古代人が作ったっていうお日様を自分で作りたいって」


 ケンは胸に苦い物が広がるのを感じると努めて明るく言った。


「ああ、早いとこ頼むぜ。お日様が増えて暑くなったら女どもが裸で暮らすからな」


「ははは、ケンさんエローい」


「おう、お前も大人になったら裸で暮らすんだぞ?」


「あたしはこんなところにいないもーん。お日様持って氷の島に行くから丁度いいんだもん」


「残念。お前大きくなったらべっぴん間違いなしなのにな」


そして、イクミとケンは顔を見合わさせると二人してケタケタと笑った。


それを見ていたヤスは思った。


『まるで純文学だな。あんな風に大の男と俺ぐらいの年齢としの女子がエローいとか言ってきゃっきゃうふふしてるなんて。』


 ヤスは父が残した書庫を漁っているときに、表紙に、ときめきを予感させる文字が書かれた書物はこの半年ほどですべて目を通した。ちなみに、何度自分に気をつけるように言い聞かせてもSFXと書かれた書物には飛びついた。

 


そのような過去を思い出しながら布団の上でこ転がり足をバタバタと動かしているミコトの足首に光るものを見つけた。


『まるでビッチだな。古文書で読んだもん。確かクールキャット通信の1985年のこの夏、絶対エッチな夏にする号に書いてあったもん。まあ、そんなことはいいんだけど材質とか作りをちゃんと見なくっちゃ。遺物探索の勉強になるかもしれないし』


 言い訳でもするかのように自分に語りながらアンクレットをよく見ようとイクミに近づきはじめた。バレないように透明スーツで被われた右手で両目を隠しながらゆっくりと慎重に近づく。


「あー、笑ったら汗掻いちゃったよう」


 そういうとイクミは体を起こし、両足を器用に動かすとその足の間に尻をすとんと落とした。


『チャンスだ』


ヤスはイクミの後ろに立ち、足首のアンクレットを見下ろした。するとイクミは無造作に髪を後ろでまとめた。


『ふーん、ポニーテールにするんだ? あ、耳にもなんかつけてる。銀なのかな? なるほどね。こうやって耳の上の方で挟んでるんだぁ』


ヤスが後ろからイクミの耳を見ていたときだった。


イクミは頭の後ろで髪をまとめはじめた。あわててヤスは立ち上がる。


 教室の窓から注ぐ日差しが、そのなんの凹凸も、皺も体毛すら感じさせない腋を白く染め上げた。そのことに気づく素振りなど見せることなく、揺れる髪をケンに見せつけるように、頭を軽く、断続的にイクミは振る。


 当然の帰結としてヤスの股間をイクミの毛先が数回撫でた。驚きに声を上げずにいた自分を誉めることができたころ、ヤスは思った。


『まるで、ラノベだな・・・・・・』


 ヤスが図らずもラッキースケベを満喫しているときにケンが口を開いた。


「お前、あいつらどう思う?」 


「二人ともきれいだよね。ケンさんは? なんか整備の話とかして照れてたんじゃないのぉー?」


「ガキに興味ねえよ。あの女が試すような口聞いたから気がつかねえ振りしたのさ」


『まるで、ラノベだな。鈍感系主人公かよ?』


 ヤスは心の中でつっこめるほどに意識を取り戻した。さらに意識を向けざる終えない発言をケンがする。


「あの女、みんな、って言っただろ?」


「だからどうしたの?」


「二人のことみんなって言わないだろ? あいつら、どこかに仲間がいるんだよ。それを隠してるってことはちっと信用ならねえかもな」


「そっか。ケンさんすごーい」


「別に大したことじゃねえよ」


 ヤスは息を呑んだ。そして、このことを報告しようと抜き足、差し足で歩き始めた。数歩進んだところで動けなくなった。そして言われた。


「ずいぶんとご立派な銃を隠し持っているじゃねえか」


 ケンだ。ケンに後ろから抱きすくめられていることに気がついた。見てみると腹の上、隠し持った粉末を積めたホースを握られている。何も言えないでいるとケンは続けた。


「舐めるなよ? 妖怪尻舐め。俺たちだって光学迷彩ぐらい知ってるんだよ。」


 何も言えずにいるヤスにケンは続けた。


「さっき、イクミがやけに軽かったからな。なんとなく予感はしてたんだよ。そんでちょっとカマ掛けて見りゃこれだ。まあ、助けようとしてくれてたらしいからな。素直に言うことを聞けば何もしない」


 ヤスは観念した。


「わかりました」


 そう言って体の力を抜いた。そして透明スーツのフードとマスクの部分をはずし顔を表した。そして尋ねた。


「どうして居場所までわかったんですか?」


 ケンは不適に笑って布団を指さした。


「あわてたな。布団にだって足跡はつくんだぜ?」

 

 ヤスは目を見開き尋ねた。


「もしかして、この布団の部屋に誘い出したのも?」


 ケンはうなずいた。


 思わずヤスは口にした。


「まるで将棋だな・・・・・・」

お読みいただいてありがとうございます。


現在、俺は小説に関して考えすぎて身動きとれなくなってしまっている感じす。


お約束はできないのですが、読んでくださった方のために完結させたい、と思って、力を抜いて書いてみました。


楽しんでいただけたならよいのですが、いかがでしたでしょうか。


また、書けましたら次の話も公開したいと思います。

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