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遺物ナンバー2 河童伝説に隠された幻の調味料を探せ11

お久しぶりです。考えすぎて書けなくなっていました。力を抜いて楽に書くようにしますので雰囲気が変わっていくかも知れません。


今回は少し言葉遊びというか映像ではなく言葉を綴る小説という媒体ならではの表現というか遊びみたいなものに少しだけ挑戦してみました。


楽しんでいただけると嬉しいです。それでは本編をどうぞ。

 ミコトたちがローションまみれで倒れている部屋の入り口、そこからのアスリート体型の者たちがのぞき込んでいる。ヤスは透明スーツに身を包んでいるとは言え慎重にそっと近づき観察した。

 

 入り口の前で部屋の中に向かって何やら声をかけているのが三人。そのうち一人は槍を中に繰り出している


「ほらほら、ワンと泣いて見せろ。ウェスコスの飼い犬どもめ」


「この愚かな豚どもが貴様等にもわかっただろう? カッパー様はすべてお見通しなのだ」


「我々はおまえ等に何をしても許される存在であることを忘れるなよ」


その後ろから一人、クロスボウを持つ者が指示を出している。


「まだ体に傷つけちゃやばいよ。心だけ折ってやりな。金髪の方はカッパー様のよりしろ候補として献上するからね」


 ヤスは四つん這いになると少女たちの足の間から息を潜めて部屋の中をのぞき込んだ。網に捉えられ身動きできずにいるミコトとアリッサ。槍でつつかれたのであろう透明スーツはところどころ引き裂かれ、顔も体もそのほとんどが露出している。うつむくミコトの顔をアリッサが抱き寄せ励ましていた。


 息を呑んだ。怒りは熱となって体を貫く。


『落ち着けっ! 落ち着けっ! 落ち着けっ!』


 声を上げてしまいそうな自分をなだめる。


『観ろっ! 聞けっ! 嗅げっ! 触って感じろっ!』


 リーダーとおぼしき少女を見た。クロスボウを片手に冷酷な笑みを浮かべている。他の少女たちは力を合わせて網のを引っ張り初めていた。抵抗むなしくローションでヌルヌルのアリッサとミコトはあっさりと部屋から引きずり出された。気丈にふるまいミコトを励ますアリッサ。目を赤くして、しおらしくうつむくミコト。それぞれところどころ透明スーツは破かれ、肌が覗いている。予想以上に白い。


 『くそっ、見とれてる場合じゃないぞ、俺』


 ヤスはエロ目線になってしまう自分を叱り飛ばした。これからの段取りが紙芝居のように脳裏に浮かぶ。数多ある選択肢から選び出した。その成功のイメージを頭に残しながら、両手を合わせそれぞれの指を精密機械のように合わせていく。


『確か、伝説のラグビー選手がやってたはず。ルーティンっていう必殺技』


 人差し指と中指をたたせ他の指は絡ませ密着させていく。そしてリーダー格の女の臀部の隙間、ぴたっと尻に張り付く下着のようなトレーニングウェア。その隙間に狙いを定めた。


 そして、所謂、カンチョーを、決めた。全力で。


 ぐへっと言葉にならない声をあげてつんのめるように前に倒れ込むリーダー格の女。両手をついたところにはローションの水たまり。体を支えきれずにそのままミコトたちの方へ滑り込む。まるで蛙のような姿で床に突っ伏す女。


 呆然としている他の女たちのすぐ後ろに立った。そして叫ぶ。他の女たちの行動をとらせまいとした。脅し文句だ。ミコトは泣くまで脅された。仇を討つ。そんなきもちが過激な言葉を選ばせた。


 「動くなっ! 動いたらケツの穴から指つっこんで奥までひぃひぃ言わせてやるからなっ! 俺のルーティンでっ!」

 

  ヤスはエキサイティングしていた。


『ケツから手ぇつっこんで奥歯、ガタガタ言わせたるぞ』と言うつもりでは、あった。間違ったことにも気がついてはいない。


  だが女たちはその脅しに屈することなく、否、考えることなく体の反応に身を任せた。声のする方をめがけて拳を、蹴りを繰り出した。だがヤスはすでに距離をとっており、再び二人の背後に回った。透明人間スーツとジャンピングシューーズがあるとはいえ、鍛え上げられた女兵士の攻撃は絣もしない


「今夜は悶えて眠れっ!」


『今夜は震えて眠れ』そう言うつもりでは・・・・・・以下略。


 ヤスが間違った脅し文句とともにカンチョーの会心の一撃を繰り返した。女たちは武器を手放し両手を挙げる格好で苦痛に顔を歪め床にはいつくばる。ヤスは二人が戦意を回復させるまでにやるべきことをやることにした。までにその隙に二人の服、胸と腰を隠す布切れをはぎ取った。エロ目的ではない。


 『二人とも服やぶれてるし、ローションでヌルヌルだから着替えさせなきゃっ!』

 

 行動を制限される可能性の排除、が目的だ。むしろエロ目的で女子の服をはぎ取る様な男を軽蔑していた。 


「いやーっ! カッパー様ぁっ! 汚されるーっ!」


 おびえて喚きながら自らリーダー格の女たちの元へ駆け寄りローションまみれになる女たちを冷静に観察した。すると女たちは三人で支え合いながら生まれたての子鹿のように四つん這いで立ち上がるために奮闘を始めた。

 

 ヤスはリーダー格の女の一人の背中を踏み台に跳んだ。グへっと言う言葉にならない女の呻きを無視してローションに侵されていない場所を探す。丁度ミコトたちを越えた場所は侵されていない。さらに万能ナイフが転がっていることにも気がついた。ジャンピングシューズの力でミコトたちを飛び越えナイフを網のとりつく。そして必死で網を切りミコトとアリッサを網から脱出させた。


 拾ったクロスボウを女たちに向けながらヤスはアリッサが女たちを縛り上げているところを見ていた。そうしながら横目で少し離れたところで座り込んでいるミコトに尋ねた。


「大丈夫?」


「あ、大丈夫です」


「ぬるぬるは取れないし、服も破けちゃってるから、あれに着替えたら?」


 ヤスは女たちからはぎ取った顎で示した。目は女たちから離さなかった。


「あ、大丈夫です。私、これで大丈夫なんで」


「大丈夫じゃないっての。その服、すごい破けてるしヌルヌルだろ? 動けないなら手伝おうか?」


「あ、いや、全然、大丈夫です。一人で出来ますから」

 

 よそよそしい含みが、その言葉にはあった。それはヤスも感じた。だが、女たちへの脅し文句をミコトも聞いていたことにまで想い至らなかった。


『ま、いっか。いつかはナデポやニコポもできるだろうし』


 こんなことを考えていた。未来のナデポを想像しちょっとニヤケた。ミコトは着替えを急いだ。


 アリッサも着替え終わりミコトとアリッサは古代の陸上選手のような胸と腰を隠す服とジャンピングシューズという出で立ちとなった。三人は相談した結果、保健室を目指すことにした。


 ここで自転車を漕いでいる少女たちを助けようにもゴーグルの中の映像世界に心を奪われヤスたちの騒ぎには目もくれずに相も変わらず自転車を漕いでいる。そんな少女たちから急激にその映像を奪ったらパニックが起こると結論を出した。下手をすれば逆恨みをされて彼女たちも敵に回ってしまうことを危惧した。


 そこで、カッパーから彼女たちに動画視聴を止めて家に帰るように命じさせることをにした。その映像を彼女たちのゴーグルに配信させそれから映像と音楽を遮断させる。武器としてクロスボウや槍を手にし、ミコトとアリッサはカッパー親衛隊の姿にもなった。そのことがヤスとミコトにこの計画の実現性を大きく感じさせていた。アリッサは引き上げることを提案していたが二人の勢いに説得をあきらめ、手伝うこととした。そして、提案した。


「まずは保健室に連れて行かれた女の子を助けに行かなきゃ」


 そこで、女の子一人を連れて四人で脱出を再度提案することにした。アリッサにはヤスとミコトの考えは甘いようにしか思えなかった。


 保健室の前までは特に怪しまれずに来ることができた。軽くはしゃぐ二人にアリッサは言わないでおいた。


 『男なんてどうせ体しか見てないでしょ?』

 

「よし、じゃあ、俺が中の様子を見てみるよ」


ドアを開けた瞬間だった。声が聞こえてくる。忍び足で透明な姿とは言え慎重に忍び足で中に入っていく。ベッドに腰掛ける先ほどの少女と白衣を着た巨体の中年男が向かいあっていた。男は仁王立ちして向き合っていたが顔を横にむけ目線をちらちらと少女に送っていた。


 ヤスはいったんミコトたちの元に戻った。入り口で三人で二人の会話に聞き耳を立てることにした。


「すごーい。じゃあ、その、油を作ってるっていうプール見たーい」


さきほど倒れた少女。顔色もよくなっており声に弾んだ響きを含ませている。


「ぐふふふ、その油を精製するとねいろんな種類の油になるからね。それで古代の機械が沢山動かせるからウェウコスなんか目じゃないし。っていうか飛行機もそろそろ動かせるし。セスナだけど。でも、それでいずれ世界に打って出るし。一時的な補給炉が絶たれても平気だし。君も僕のペットの一匹としてここで暮らすのが正解なのだぁ」


 男は早口だった。


「わーい。うれしいー。ねえ、で、そのせいせい? とかした油はどこにあるのぉ」


「ぐふふふ。あとで連れて行ってあげるよ。そうだ。ドライブにも行こう。オープンカーだし。ヒャッハーしよう。ウェスコスなんて怖くないし。トキオの連中だって、黙ってないし」


「トキオってなぁに? 教えてぇ」


「グフフフ。古代では東京23区って呼ばれてた街だし。宇宙線大障害のときにほかの街とつながる橋を爆破して自分たちだけで生き残ろうとした連中さ。そのときの重要な施設があったからそれを守る兵士たちも武器もいっぱいあったし。だけど、結局、中で殺しあったらしいよ。それで生き残った奴の末裔だからね。野蛮で愚かな連中だよ。さあ、それよりもさあ」


「ふふ。なあに。先生はどうしたいのぉ」


「グフフフ。それは君ぃ。診察だよ。診察。早く服を脱いでもらわないと」


「ええ、でも、わたしもう大丈夫だと想うんでぇ、発電に戻りますね?」


「発電? だと」


 男の声音が変わった。


「どうしてあれが発電だと気がついたっ? そういえばさっきからいろいろ聞いてきたな。お前、まさかっ! いやもういいっ! 体に聞いいてやるっ」


 ミコトは目を見開きヤスを見た。ヤスは一つ頷くとクロスボウを手に中に駆け込んだ。その後にミコトとアリッサも続く。男は少女に多い被さっていた。


「やめろおっ!」

 

 男に向けて叫ぶ。男は答えなかった。その代わりに少女が答えた。


「あ、大丈夫です。なんでか、この人、もう動かないんで」


 動けなかった。


「あのー。助けてください。動けないんです。この人が重くて。この人をどかしてください」


 三人は顔を見合わせていた。それぞれの表情が語っていた。保健室に血と硝煙の匂いが漂っていることにお互いが気がついていることに。





お読みいただいてありがとうございます。


後半は説明台詞になってしまったかな、と少し反省もしているのですがいかがでしたでしょうか。あと、不穏な空気を残して終わらせる感じになりました。


若い登場人物には激しい暴力は振るわせないようにしてきたのですが、それぞれの戦いを描く中で俺には難しい挑戦だったようです。書く進度が遅れた理由の一つでもあります。リアルが忙しいというのが一番の理由ではあるんですが。


この先どうなるかわかりませんが、肩の力を抜いて続けていきたいと想います。

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