異物漁りの探索者 河童伝説に隠された幻の調味料を探せ8
お待たせしました。
本来は前書きで作者としての意図の説明などはしないほうがよいのかもしれません。
ただ、なんとなく俺の作品の読者様は作者様でもあるような気がしていて、それなら少しでも読んでくださった方の作品づくりに生かしていただければ嬉しいなと思いました。
そこで作者としての意図を知ってくださった状態で読んでいたくと多少はお役にたてるのかな、なんて想いながらこの前書きを書いてます。
もし邪魔くさかったらとばしてください。
それでは今回は・・・・・・
まず前半をシリアスにリアルに救出の是非を議論させています。そして、そこで終盤のオチに持って行くための前振りなんかも入れています。あと、前半で提示した問題をクリアする方法ですね。
少しジャンケンの後出しのような気もしたのですがせっかく古代の文明がすごかったという描写を入れているので古代のテクノロジーで物事を解決してもいいのかな? なんて思いました。
終盤でクスっとでも笑っていただけたら嬉しいです。
「ところで、アリッサちゃん。どこに向かってるの?」
ミコトの質問に馬車を操るアリッサは答えた。
「このあたりに何があるかは古地図よで頭に入れてあるから。さらった女の子たちを隠せそうなおっきな建物を片っ端から当たるつもり」
「あ、その中に小学校ってある?」
「うん」
「じゃあ、ソコ最初に行くのはどう?」
「いいけど。どうして?」
「なんかファントムが見えたの。泣いてる女の子。教室から星を観ながら泣いてる子。あたしと同じくらいの。さっきのイヤなおやじの荷物を馬車からおろしたときに」
「え? もしかして昨日、煙、吸っちゃった? 兵隊たち騙すのにちょっとだけ幻草を燃やしたんだけど。ほら、燃やしたあとがあった方があいつら幻を見たって勘違いしやすくなるかなって。フラッシュバックって言って効果が消えたと思っても何か見えちゃうことがあるんだけど」
心配げなアリッサにヤスは笑顔で説明した。
「あ、違うの。お姉ちゃんはね。サイコメタリーができるみたいなんだ。ちょっと変わり者なの。ハピネスチャージとかつぶやきながら人のお尻の穴に指をツッコんでみたり、人が夜のトイレを怖がってるところをさらに怖がらそうとしたり」
「は? サイコパスじゃねえし。ウチ。っていうか、女子がしたうんこを拾ってそのうんこ投げつけてくる男子の方がよっぽどサイコパスっぽいんですけど」
冷たい目を向けてくるミコトにヤスは説明した。
「サイコじゃないって。サイコメタリー。何か物に触るとその物に宿った記憶、っていうか記録っていうか、よくわかんないんだけどそれが幻みたいに見える超能力があるんだって。古代の本に書いてあったの。そのこと言ってるんですけどっ」
「ファントムは幻だけじゃありませーん。幽霊って意味もあるんですぅ。幻かはっきりしないからファントムにしようって、あたしを助けてくれて食べ物とかくれてた超親切で超イケメンの素敵なおじさまに言われたんですぅ」
口をとがらせにらみ合う二人の間でアリッサがとりなした。
「ごめん。二人とも。ちょっと落ち着いて。情報が渋滞してるし。とりあえず小学校に向かえばいいのね。でも、小学校って花子ちゃんくらいの子が行ってたところなんじゃないの? ミコトちゃんくらなら中学校か高校ってところなんじゃない?」
「あ、あたし、こう見えて十二歳だから。小学校でだいじょぶ、だいじょぶ」
「え。そうなのぉ。見えないー。あたし十六だけど同じくらいだと思ってたぁ。まあ、でもなんとなく納得」
「納得って?」
ミコトの問いにアリッサは答える。
「ごめんね。怒らないでね。なんとなくだけど、ミコトちゃん、年の割には若いなーって思ってたから」
「うん、自分でも知らない間にこんなにおっきくなっちゃって」
「うっわ、成長期ヤバっ」
とアリッサ。
「うん、あたしの成長期ヤバっ」
とミコト。
「え、なんか植物人間とかだったんでしょ」
とヤス。
「いいの。わけわかんない悲しい理屈よりもタイムマシンに乗ってる間に成長しちゃったってほうがなんか明るい感じがするでしょー?どうせ本当のことは誰にもわかんないんだし」
口振りに反して水分をましたミコトに瞳に気がついてしまったらヤス。
『そっか。正しいかどうかってことよりもミコトは元気を出せるほうが大切なのか。でも、本当のことを知りたくならないのかな。俺、お母さんが生きてるって知っちゃってからずっと俺を捨てた理由が聞きたくてしょうがないし・・・・・・ お父さんにも無理だったっぽいけど。俺は絶対会ってやる』
ヤスが決意を固めているとアリッサは民家の陰に馬車を止めると飛び降りて物陰から双眼鏡を除いた。もう少しで小学校に到着するという位置だった。偵察を追えるとアリッサは口惜しげに言った。
「やばいね。校門の前に警備兵がいる。武器は槍。あと、建物の屋上にも見張りがいた。弓を持ってる。銃を持ってる奴もいるかも」
うなずく二人にアリッサは続けた。
「あそこで間違いはないと思うけど。うちらだけであそこを突破して。しかも、建物のどこにいるかわからない女の子たち探して連れ出すなんて無理だと思う。残念だけど」
「え。じゃあ、どうするの?」
ミコトの言葉にアリッサは横に首を振った。
「帰りにそれとなくナントネ兵たちに伝えてあとは任せるしかないと思う・・・・・・ほら、ナントネ兵たちにはウェウコスがついてるし。ね、やれることはやったし」
ミコトはうつむきながらもアリッサに同調した。
「そっか。わかった。しょうがない・・・・・・よね?」
ミコトはヤスの瞳を見た。
「行くよ。二人は帰って」
即答だった。
ミコトとアリッサは目を見開き口々に引き留めた。
だが、ヤスの決意は変わらない。
とうとうアリッサは叱った。
「いい? 助けたいって気持ちはわかるし、あたしだって。ミコトちゃんだって、できることなら助けてあげたいって思ってる。でも、人にはできることとできないことがあるの」
「うん。それはわかるよ」
「ううん、わかってない。ねえ、花子ちゃんもそれなりに修羅場くぐってきたみたいだけどさ。殺し合いになるよ。村のヤクザ者とかとはレベルが違うから兵隊ってのは。人を殺すために訓練してるような連中なんだよ?」
「そんなの知ってる。住んでた村でも戦はあったし。人が殺されるところも殺された人も見てきた。いつか自分も人を殺さなきゃいけない日が来るとは思ってた」
『俺には拳銃だってあるし粉塵爆発だってあるんだ。それに古代の異物で使えそうなものも沢山積んだし』
「ねえ、これはあたしが師匠に教わったことなんだけどさ。自分でやらなくていいことは人に任せろって。ナントネとかウェスコスだって女の子たちを助けたいだろうしさ。彼らの方が強いだろうし」
「でも、兵隊たちの戦いに捕まった人たちが巻き込まれたら?」
アリッサはひとつ大きく息を吐き首を横に振った。
「昔ね。あたしを守ろうとして師匠が人を殺した。そのときに言われたの。お前に殺しは無理だから殺し合いになる前に手を打てって。あたしはその教えを守って一人で生き残ってこれた。正直、他人のことなんか構ってられない。花子ちゃんだってそうでしょ? さっきの話って、言い換えれば自分が生き残るために誰かを見殺しにしたことがあるってことでしょ?」
「うん、そうだよ?」
「だったら、ここで無理しなくてもよくない? 今さら言うのもなんだけどさ。奴隷なんて別に珍しくないんだし。考えてみたらここまで無事にこれたのだって奇跡かもしれないよ? そりゃ、ウェスコスの一員だって思わせることはできたし、あのおっさんのバッテリーとかトランシーバーとかもちゃんと。変に刺激しないようにはした。それでもうまくいきすぎだと思うもん」
「うん。わかるよ。でもね。したいことはしたいし。できるかどうかはやってみなくちゃわかんないし。それにさ」
「それに?」
「たぶん人にはやるべことってのがあるんだと思うんだ。もし、やらなかったらずっとそのことばかり考えちゃってさ。死ぬまであのときこうしてればって思い続けて生きるなんてイヤだもん」
頭には最期の別れ際の顔が浮かんでいた。
「どうして捕まった子たちを助けるのが花子ちゃんのやるべきことになるの」
ヤスは少し考えた。そして言った。
「昔だったらアリッサちゃんと同じ風に思ったと思うんだ。だけどね、この半年くらいでいろいろ知っちゃったからだと思う」
「何を?」
「運命に逆らわない人もいれば逆らう人もいるってこと。当たり前だけど」
「どういうこと?」
「どっちが幸せになれるかなんてわかんないけどどっちにするかは自分で選べないといけないと思っちゃって」
「うん。それはわかるけど・・・・・・」
「別に言わなかったけどさ。お母さんはどこかの領主の人の奥さんになっちゃったし、お父さんはその領主の人を殺しに行って返り討ちにあっちゃったみたいなんだ」
「そう・・・・・・なんだ」
「うん。一人になっちゃうって運命だったけど。ちょっと頑張ったら二人と仲良くなれたし。だからさ。ここに捕らえられた人たちのここで非道い目に会って死んじゃうっていう運命を変えてあげられたらな、と思って。ウェスコスがなんとかする前に死んじゃう人もいるんだろうし。少しでも助かる人は助けてあげたい」
アリッサの顔を見てほほえんで見せた。アリッサは笑顔にも少し困ったようにも見える顔をしてみせた。そんなアリッサにヤスは続けていった。
「二人はさ、帰っていいよ。一応、手は考えてあるし」
『粉塵爆発決め手、「なでぽ」と「にこぽ」でもっと素直なヒロインをゲットするぜ! そうなるとこの二人、ちょっと邪魔だし』
ヤスはエロに目がくらんだちょっぴりサイコな男の子! これから起こるであろう奴隷救出イベントを想像して夢心地。だが端から見たらただの真顔で考え事をしているようにしか見えないのだ。
そんなヤスを見て珍しく黙って話を聞いていたミコトが言った。
「しょうがないにゃあ。アリッサちゃん。あたしは手伝うことにする」
そしてミコトは服を脱ぎ出す。
それを見たアリッサもあきらめたように笑うと服を脱ぎ始めた。
「え? な、な、ないやってんの? 二人とも」
ヤスの問いにミコトは平然と答えた。
「運命を変えたげるんでしょ。囚われた女子たちの」
ミコトの言葉にアリッサも続いた。
「まあ、師匠から言われてたしね。俺に恩返しとか考えるくらいなら自分より若い奴の面倒を見てやれって」
理解できずにいるヤスにミコトは言った。
「ほら。花子も服脱いで」
「え? だ、だ、だからなんでなの?」
ミコトは満面の笑みで告げた。
「ほら、花子が倉庫から荷物持ち出してるときに、二人でいいもの見つけたの。ホントの名前はわかんないけど、あたしたちは透明人間スーツて呼んでる。ほら、見えてないでしょ?」
あれよあれよという間に二人は顔と手足の先端しか見えなくなっていた。
「普通の服の下に着込んでたんだ。すごいぴったりした服だからさ。肌の上にすぐ着なくちゃいけなくって、お風呂上がりに二人で着たんだぁ・・・・・・ でも、すごいよね、あたしもこんな服が作られてたなんて知らなかったもん」
ほらほら、と見せつけるようにクルクルと回転してみせるミコト。言った。
「花子のも用意してるから着替えなよ。ここで。女の子同士だし、平気でしょ」
「え?」
満面の笑みのミコト。
珍しい生き物を観察するような目でヤスを見続けていた。
そんなミコトはちょっぴりヤキモチ焼きな女の子。
ヤスはミコトに手渡された透明人間スーツを見つめながらアソコを見られずに着替える男子特有の秘技『パンツ大作戦』の成功を祈り続けた。
お読みくださりありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
当初はたくましい十歳児がワイルドに活躍していくアクション活劇を描こうとしていたのですが、どうにも子供に人殺しとかさせちゃっていいのだろうか? みたいな疑問が沸いてきてわりとそこが悩みの種だったんですよね。
すいません、ちゃんと設定を練り込んでいないからこんな風になっちゃいました。
ただ、悩んでいるうちに、あらすじを読んでくださった方のご期待ってなんだろう? と思うようになって、ちょっと思ったのが、緩やかに文明が崩壊した世界でチート級の古代文明の技術で10歳児が物事を解決していく様子を楽しむ・・・・・・みたいな。
当初は2018年現在で実用化のめどが立っている技術だけ描こうと思っていたのですが、そこはもう少し柔軟に考えてもいいかなと思い直したところです。
あ、ちなみにドラえもんみたいにならないようにしようとは思ってます。
とりあえず、エロガキがなんだかんだで必死になって生きようとするところをベースに悪い奴と戦うだけじゃなくてもっと探索っぽいこととかもさせたいなあ、なんて思ってます。
次回はいつになるかわかりませんが更新できたらまた遊びに来てください。
ではまた。




