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遺物ナンバー2 河童伝説に隠された幻の調味料を追え 6

お待たせしました。リアルが忙しくて時間がかかってます。すいません。


さて、今回は前半にミコトがからんでくる部分は緊迫した中でコミニュケーションがかみ合わない様をギャグっぽく、後半はヤスと男の心理戦を描いてます。


会話文多めです。


あとザマア展開に挑戦してみました。


男がイヤな奴だということと作品世界の背景として国盗り合戦が行われていることを伝えたくて男に非道いことを発言させています。気分を害される方がいらっしゃるかもしれませんので先にお詫びします。すいません。


ミコトを恐怖に陥れた男へのヤスの静かな怒りが炸裂する様がうまく描けていたら嬉しいのですがいかがでしょうか。


それではお楽しみください。


「動いちゃだめだよ。お嬢ちゃん。動くと余計痛くなるから」


 男は口をぼんやりと開け振り上げた鎌に目を奪われているミコトに告げた。その声は冷静でありかつ勝ち誇る響きがあった。男がさらににじみよると後ずさることもできずにミコトはぺたん地面に腰をつけてしまった。魅入られたように鎌を見つめながら、その足はむなしく地面を撫でる。


「さて、なにもそう怯えることはないさ。お嬢ちゃん。君の肉体は偉大なるカッパー様に永遠にお仕えするんだ。光栄に想いなさい」


 にじりよる男に顔には笑顔が張り付いている。ミコトの背筋に寒気が走り小刻みに体が振るえ始めた。声を出そうにもまるで肺が押しつぶされてしまったかのように微かな空気が口から漏れるだけだ。


「寂しくないよ。逃げちまったちっちゃな子も必ず捕まえて一緒に捧げてあげるから」


「いや、お前、もう詰んでるんだけど」


ヤスの声。静かだが怒りが溢れている。男の後ろから聞こえた。ミコトは堰を切ったように声が出た。。


「た、た、たたた助けて。ヤス」


「うん、絶対助けるから、しばらくそのまま我慢して。ちょっとだけこのおっさんと話をさせて」


 ミコトは小刻みに何度も頷いた。


 その様子を見ていた男はゆっくりと両手をあげながら、己の肛門に加えられた一点の圧力の正体を見極めようとしていた。背後のヤスに揺さぶりをかけることにした。


「ははは、お姉ちゃんを置いて逃げなくていいのかい?」


「自分だけ助かっても意味がないもん。それよりさ。なんで両手をあげてくれたの?」


「当たり前でしょ。ヤスはね、いつだってあたしのことを助けてくれるの」


「ちょ、ちょっと、静かにしててよ」

ヤスの囁くような困惑声とは対照的にミコトの声は力強さを増していった。


「大丈夫。ここはお姉ちゃんに任せて」


「いや、無理だから。腰抜かしてる女子に任せられることじゃないからっ」


相変わらずヤスの方は声を潜めている。


「いい? おっさん。ヤスはね。ピストル、バンバン撃ってくる人たちから命がけであたしのこと救い出してくれたわけ。そんな鎌なんてぜんぜん怖くないんだからね」


そういうととうとうミコトは立ち上がった。その瞬間。ミコトの足下の畦道から膝丈ほどの土煙が舞う。思わずまた尻餅をついた。轟音の残響が耳に届く。


「え?なに、なに、なに? 今の? 妖怪カマイタチ?」


ヤスはすかさずミコトの声に重ねるように言った。


「うん、そう、そうだから。じっとしてれば大丈夫だから。とりあえずこのおっさんと話をさせて」


「ははは、私は、少し油断してしまったねえ。もう少し丁寧に罠を仕掛けるべきだったよ。まあ、こんな時のためのスナイパーだ。いつでも君たちを狙っているぞ?」


男は余裕を崩さない。笑顔のままミコトを見下ろしているが意識は背後のヤスの動きに向けていた。ミコトの質問は予想外だった。


「スナイパーって? バカな男子が言ってたけど、よく河原で落ちてるふやけた雑誌でしょ? それが狙ってる? 意味わかんないんですけど」


「いや、それはっ・・・・・・」

 

 ヤスはツッコもうとして、否、言い掛けて言いよどんだ。なぜならミコトの言葉からヤスの脳内で連想された古代の雑誌、それは決して10歳の男児が知っていることは決して自然なこととは思えなかった。


 そう、お父さんのエッチな古代の本を漁っていたときに表紙を見ただけで、自分にはまだ早い、と畏怖の気持ちを起こさせ、そっと見なかったことにしてしまった雑誌だったのだ!


 男の反応は違った。ヤスに尋ねた。


「なるほど。私のお尻に挿されているもの。てっきり拳銃と想定してしまっていた。いかんな。人間、どうしても自分に馴染みがあるものを連想してしまいがちなことはわかっているというのに」


「へえ、じゃあなんだと思うんです?」


「まあ、君の指だろう? 銃なら頭、もしくは背骨横から心臓を狙うのが一般的だからね。人を支配するのは恐怖だけではなく快楽も有効だ。残念だったな。私にとっては、まるで小鳥の雛のように幼い君の指がお尻にささっているとういのはただのご褒美に過ぎないのだよ。いつまでこの体制を続けてくれるのだね?」


「え、いや、ちょっとよくわかんないですけど。それよりこっちの話を聞いてもらえます?」


「言っただろう。スナイパーが狙っている。君たちは詰んでるのだ。私の合図一つで君たちは死ぬ。あの幌馬車に潜んでいるウェスコス人も君たちを助けにくる前に死ぬ。主導権はこちらにある。今はね。戯れの時間なのだよ」


「わかりました」

ヤスの答えに男は気をよくした。


「ほう、素直だな。うらやましいな。君のような美しい雛を仕込んだ者が。嫉妬を覚えるよ。このまましばらく楽しませてもらおうか。いつかはカッパー様に捧げなくてはならないからね」


「あの、どうして捧げるんですか?」


「我々はこの島国全土を支配するという大任を負っている。そのためにはカッパー様のお導きが必要なのだよ。悲願が叶うその日まで、全てをカッパー様に捧げてお力をお借りするのさ」


「へー、すごーい。カッパー様ってどんな方なんですか?」


ヤスはあえて明るく無邪気な声を出した。


「言い伝えにある見えない雷による大災害を乗り越え今でも活躍されている生きた神様だよ。我々がこの島国の先住民族などよりも遥かに優れていることを教えてくださった。我々にこの島国を統治するという使命とそれに必要なお力とお知恵をお貸しくださるかたさ」


「すごーい。でも、そんなにすごい方なのにどうして私たちの力が必要なんですか?」


「違うな」


「え?」


「君たちの力が必要なのではない。所詮、君たちウェスコス人に雇われたこの島国の先住民族なのだろう? 君たちの力など必要ない」


「あ、ごめんなさい」


ヤスは感情を抑え込み、落ち込んだ声を出した。


「わかればよろしい」


 男は出来の悪い生徒が理解を示したときの教師のような声を出した。


「さて、必要なのは君たちの肉体が必要なのだ。カッパー様の知恵と力の元としてな。上陸してから先住民族を狩ってきたかいがあった。カッパー様はますますお元気に成られた」


「あ、じゃあ私たちのことなんか狩らなくてもよくないですか?」


「そんなことはないさ。あの幌馬車には金髪碧眼のウェスコス人がいるのだろう? 」


ヤスは男が最初にウェスコス人と口にしたときから道中の関所で警備に当たるナントネ兵たちにこの男たちとの内通者がいると見当をつけた。だが男が気持ちよく、自分の力、状況に陶酔しなが喋り続けるように先を促していた。


「すごーい。どうしてわかったんですかぁ?」


「我々は大きな組織だ。あらゆる組織に同胞が潜入している。なんでもお見通しさ」


「なるほどぉ。すごいんですね」


「まあね。さ、話を戻そう。カッパー様はまだウェスコス人は召し上がったことは無いのだ。君たちは行きがけの駄賃、という奴さ。私の趣味でね、先住民族のメスや雛を狩るのは。ま、そういうわけだ。おとなしくしなさい。この私が君たちの野蛮な先祖にならって首を切り落としてやろう。ますは君だ。私の前で土下座をしなさい」

 

「え? イヤ・・・・・・」


事態を見守っていたミコトが横に首を振りながら微かな声を出した。


「いいからしなさいっ!」


男が再び鎌を振り上げた。二人が視線を交わす。静寂が訪れた。そのつかの間の静寂をヤスの声が破った。


「はい、これから、ある液をこのおじさんのお尻の穴に入れていきたいと思いまーす」


 ヤスの声は淡々としていた。むしろ軽くふざけるような響きがあった。大声を出して怯えるミコトを驚かせたくなかった。男へ怒りをぶつけることよりも優先すべきことはある。二人の身の安全、そしてかなうことならミコトの笑顔を守ること。


「なに?まさか、貴様ぁ!」


男は肛門から何かが逆流してくることを感じた。


「こんな状況でお尻の穴に指ツッコむわけないでしょ? ま、拳銃つきつけてもよかったんだけどさ」


「で、で、では、なぜ拳銃をつきつけなかった? こ、こんな細い口径の銃などある訳ないと思ったから指だと判断したのに」


 男は脱力し腰を曲げた。両手を膝の上にのせ、ヤスの方に尻を突き出す格好になっている。ヤスは興味本位で注射器のピストンを惹いてみた。


「あっ、だめだめだめだめ。腸、出ちゃう。腸、出ちゃう」


ヤスはピストンを止めた。そして、言った。


「おじさん服の中に防弾チョッキ着てるよね」


「だ、だだ、だからどうした、クソっ。最初から見抜いてたってことか」


ヤスのほうへ振り向いた男の顔には脂汗がうかんでいる。


「ううん、鎌を振り上げたから戦おうとしただけ。それってスナイパーさんからの弾から守れる?」


「な、なにをする気だ」


「たぶん、無理だよね。頭とか狙われた意味ないし」


「な、なにが言いたいんだ」


「一緒にあの幌馬車のところまで行こうよ」


「な、なんだと? 行ってどうする?」


「それは行ってからのお楽しみ」


「ふん、なめるな。たかだか脱糞くらいで貴様等のような下等民族の言うことなど聞けるか」


「じゃあ、ここでスナイパーさんに見守られながらウンコ漏らす?」


「ああ、構わんさ」


「カッコつけてるけどカッコ悪いよ」


「ふん、くだらん。私が合図すれば途端に貴様の頭が吹き飛ぶぞ」


「なるほどね、強気だね。でもさ、スナイパーって隠れてるから怖いんでしょ? 一度撃ったら場所バレちゃうし」


「ふん、だからどうした」


「ねえ、なんで思わないの? あの幌馬車からこっちのスナイパーが狙ってるって」


「ふん。女だろ? できるわけがない。つまらんハッタリだ」


「そっか。バレちゃったね。さすが」


「ああ、わかったら大人しくしろ。貴様等そう簡単には殺してやらないからな覚悟しろ。貴様たちは詰んでると言ったはずだ。あきらめて大人しくしてろ。用を足したら戻ってくるからな。スナイパーが狙ってることも忘れるな」


 男の脂汗は量の頬を通り顎で結びつきしたたり落ちた。だが、虚勢からか笑っている。その肩で息をする男の笑顔に向けてヤスは言った。


「ねえ、なんでそう決めつけるの? 今お尻に入っていったのがただの浣腸液だって」


男は目を見開いた。その男の耳元でヤスは囁いた。


「毒だよ。ちなみに幌馬車に行けば解毒剤があるけど」


男はただヤスの瞳を見つめてくる。その顔に向けてヤスは告げた。


「さて、これはハッタリでしょうか?」


男は口を開きかけたがなにも言葉を出せずに、瞳を振るわせていた。ヤスは再び耳元で告げた。


「ところでさ。カッパー様は教えくれなかったの? 古代から女が人を殺すときは毒を使うことが圧倒的に多いんだよ? 優秀民族のおじさん」


男の口から空気が漏れたような音がした。それは、わかった、俺の負けだ、と言う言葉に聞こえた。


ヤスはミコトに声をかけた。


「もう大丈夫。おじさん、わかってくれたから。馬車まで一緒に来てくれるから」


ミコトは立ち上がりヤスに笑顔を向けた。


「よかった。ありがとね」


「うん」


「でもさ。別によくない? 置いてけば。妖怪カマイタチにおそわれちゃえばいいんだよ。こんな奴。助けてやる必要なんかないって、もう帰ろう?」


ヤスは、思った。


『え? そこからなのぉ? っていうか、俺とおっさんの心理戦、なんだと思って見てたんだろう?』


ただ、こう言うことしかできなかった。


「そ、そそそそ、そうだね。で、でも、アリッサさんに相談してから決めようか・・・・・・」






 

読んでくださってありがとうございます。


お楽しみいただけましたでしょうか。


ザマアですっきりしていただければいいのですが。緊迫した状況の中で男と女の違うところがはっきりする感じがコミカルに表現できていたでしょうか。


また、お待たせしてしまうかとは思いますが次回も読んでくだされば嬉しいです。


それでは、また。





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