ダンジョンの戦闘
ステータス表示の書き方を変えました。
何故か聖女様が俺の許嫁みたいな立場になってしまって、俺はまた逃げるようにリーサの元に戻った。
彼処にいたら護衛達が起き出して、面倒な事になっていただろう。
こう言うときは逃げるに限る。(嫌なことは後回し)
もう一度ダンジョンに潜り、モンスターが出てきても完全に無視してリーサの元に急いだ。
運んでいる間、ほったらかしにしていたから、怒っているかもしれない。
いや、怒ってるだろう。
ステータスを結構押さえているため、今の俺ではリーサに太刀打ち出来ない。
このステータスで命に関わるダメージを受けると全て解除されるとは言っても痛いものは痛いのである。
急いだ甲斐あって、10分も掛からない内に、戻ってきた。
そこに広がっていたのは正に地獄絵図だった。
木の枝に魔物が突き刺さり、血が滴り落ちて、葉が真っ赤に染まり、地面が焼け、抉れて、異臭がする。
焼けた死体がそこらかしこに落ちていて、絶望の表情を浮かべたホブゴブリンが氷漬けにされていたりしていた。
『?????』
放心していると近くから不機嫌オーラ(殺気や敵意よりも威圧感は無いが粘りつくような感覚)が漂ってきた。
ブスッと顔をしかめさせたリーサは俺を見るなり、子供のように喜んで抱きついてきた。
「はあ~、優が居なくなって私はとても寂しかったのよ。」
うん、見れば分かる。
憂さ晴らしも程ほどに。
リーサの頭を撫で回し、そしてそのまま階段を降りて行く。
この下は11階層になるので、ボスがいる筈だ。
「ここにボスがいるみたいだな。何かそれっぽい。」
降りた先にあったのは、20メートル近い高さの鉄の扉だった。
結構な威圧感を醸し出している。
何か空気も暖かくなったり、冷たくなったりしている。おそらく、演出だろう。
あの人、そんなこと好きそうだったし。
扉の前には、鎧を身に着けたまま熟睡している一人のおっさんと身体を休めている複数の若い(13 14歳位)少年少女達がいた。
此方に気付くと、少年達は先ずリーサの美しさに見とれて、俺の姿を見て、溜め息をつく。
おそらくこの集団は、近くで熟睡しているおっさんを教官とした若い冒険者の教育と言うことだろう。
「ん?あんたら初心者だな。
このダンジョンは初めてか?」
一人の男の子が声を掛けてきた。
「ああ、ここで何をしてるんだ?見たところ休憩しているようだが体力は十分残っているみたいだが、入らないのか?」
そう言うと男の子はチラリと熟睡しているおっさんを見て、俺の方を向き直した。
「いや、俺達はそこでグースカ寝ているおっさんの付き添いでここまで来たんだ。
実はそのおっさんはギルド職員で、ここで死なないかを見ている仕事をしていてこれ以上は進め無いんだ。」
好奇心旺盛な子供に何が入っているか分からない箱を見るなよ!と言っているようなもんだ。
良く我慢できてるな。
まあそう言う俺もそこまで年取ってないんだけどな。
「そうか。それなら俺達が先に入っても問題は無いよな?」
「そうですね。どうぞどうぞ。」
終始リーサの方をチラチラと見ていたが、基本的に俺にくっついているので希望は一切無い。
それ以前に元魔王だしな。
俺は扉を開こうと手を掛ける。
すると一切力を入れて無いのにゴゴゴゴゴッと重量感のある音をたてて、自動で開き始めた。
知識が無いやつだと、気後れしそうだ。
リーサはそんな様子を興味深く見ていた。
「優。これは一体どういう仕組みなの?」
「う~ん。多分周りに充満している魔力で動かしてるんじゃないの?
長く生きてるだけあって知識は豊富だったし。」
「ふーん。私がまだ魔王だったらこれを作った者を魔王軍に引き込んでいたかもしれないわね。」
そう言いながら、扉をバンバン叩く。
本人は軽くやってるつもりかもしれないけど、ヒビ入ってるから止めよう。
中に入ると、そこにいたのは鎧を身につけた目も鼻も口も無い顔の騎士だった。
それもそのはず、身体は透明に透き通っていて、後ろの様子まで見える。
スライムが鎧を着て、剣を持って構えているのだ。
森林と言うべき自然が広がっていたから、ここのボスは植物を司る木の魔物かと思っていたが違かったようだ。
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名前 無し 種族 ナイトスライム
状態 通常
Lv35
体力 2500
攻撃 2000
俊敏 3000
防御 3500
魔力 300
魔耐 300
スキル
エクストラ
変身 粘液発射
アクティブ
突進 剣術
パッシブ
物理耐性 身体変形
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「‥‥‥何これ、キモい。」
薄暗い灯りに照らされた、スライムの身体は妙に反射して薄気味悪さが漂っていた。
物理耐性と剣術は分かるけど‥‥‥普通だし。
だが、身体変形と粘液発射と変身って何?
身体売る商売の人に使われそうなスキルだな、もしや娼館にはお抱えのテイマーがいたりするのかも。
「そう?それにしてもスライムってこんなことも出来るのね。
魔物の中でも最弱故に成長すると厄介だって言うのは間違ってなかったようね。」
え?そうなの?取り合えず俺は取る事の出来るスキルは全部取ってるから、面白いスライムでも見つけたらテイムしてみるとしよう。
このスライムも結構面白いけどテイムする気はおきない。
ステータスが偏りすぎだと思う。
魔法使えば一瞬じゃね?
まあ、普通の人はステータスなんか見えないから分かんないかもだけど。
まあ、このダンジョンでは1~10層は剣だけ、11~20層は魔法だけ‥‥‥と繰り返していくと決めていた。
あ、緊急事態は別だよ。
聖女の件とかはノーカウントね。
まあ、その制約のせいで物理攻撃耐性が高いスライムに剣で挑む訳なんだけどね。
ボーッと眺めていると、何の予備動作も無しに飛び掛かってきた。
それにすぐ反応した俺は、取り合えず剣を打ち合わせて力任せに吹き飛ばす。
だが、スライムとは思えない俊敏さで体勢(?)を立て直し、再び襲い掛かってくる。
そこから放ってきた素早い連激を刃で反らし、叩きつけ、剣を振るう。
剣を叩きつけられ、バランスを崩したスライムは咄嗟に剣を離し、鎧の中からピュッと粘液を浴びせてきた。
直ぐに避け、一瞬で距離を詰めて剣を叩きつける。
俺の剣は切れ味も一切なく、頑丈さだけはオリハルコンに匹敵する。(造る時はセーブを解除した。)
それをセーブしているとは言え、10000近くのステータスで攻撃したのだ。
物理に強い耐性を持っているスライムでも結構なダメージを負ったらしく、原型が分からなくなっている。
ボコボコと動いた後、何故か巨大化して復活した。鎧と剣もそれに応じて大きくなっている。
「何ででかくなるんだよ‥‥‥。」
「何でって、スライムは身体の大きさを自由に変えられるのは当たり前よ?」
おお、思わぬところから答えが返ってきたな。
そうなのか‥‥‥。昔はオーガより弱い魔獣とは戦ったこと無かったからな~。
大きくなったスライムはその巨体を活かして、溜めに溜めた上段斬りを放ってきた。
そして俺はその剣を技も何もない力技で迎え撃った。
でかくなると技が無くなる代わりに筋力が上がるみたいだ。
「オラアアァァァァッ!」
列泊の気合と共に繰り出した剣は大騎士スライムが持っていた剣を弾き飛ばす。
「そして【飛剣】!」
間を待たず、跳び上がり、鎧が覆っていない場所を音速に近い速度の【飛剣】(剣劇を飛ばす技)で細切れにした。
「更に~、剣技【波打】」
俺が使う技の1つで物全体の細胞にダメージを与える技だ。
この技でスライムは力尽きたのか、べチャリと鎧と剣を残して消え去った。
「ふう、やっぱりセーブはいいな。実力が開きすぎない。少しはスリルのある戦闘が出来る。」
俺は残ったナイトスライムの武器を拾って、調べてみる。
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媚薬剣ローション 品質 中級
刀身から微量の快感を感じやすくなる薬が分泌しており、戦闘中に傷を負うと快感になり、戦闘狂やドMを量産するが、夜の相手に使うと強力で快感により、失神しやすくなる。
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「‥‥‥‥鎧の方は。」
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拘束鎧サルグツワ 品質 中級
抵抗する相手にこれを着せると、行動を阻害し、尚且つ内側から滲み出る薬によって快感が増す。
放置プレイやその他、拘束系プレイをするときに便利。
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「よし、これは俺が全力で封印しておこう。」
わざわざ口に出してまで決意した。
そして更に下へと階段を下りた。
「おお‥‥‥、壮大だな。」
ボコボコと溶岩が吹き出し、地面が溶け、空気が熱され喉を焼く。
火山エリアだ。
そんな中を俺とリーサは悠々と進んでいる。
だが、汗をかいていない。
周りに熱を遮断する結界を張っている。
風の魔法で押し潰し、吹き飛ばし、貫いたりして、あくび混じりに進んでいる。
【風散弾】
風の弾が襲ってきた炎舞人を穴だらけにして、同じように襲ってくるモンスターを魔法で瞬殺している。
「優、ここの魔獣も弱いわね。もういっそのこと氷で殲滅したら?」
「相変わらず、容赦ないな‥‥‥。でも却下。冒険の醍醐味が無くなる。」
「そう。まあ優と一緒なら何処でもいいわ。」
気恥ずかしくなって、顔を反らす。
そこでリーサがピクリと(身体能力が化け物の優がわかる程度に)動いた。
咄嗟に確認してみると、魔力の波長から考えて念話と呼ばれるスキルのようだ。
ばれないように念話に介入する。
『すいません。リーサウェル様。実は魔王様から伝言を承っております。』
『何?』
『はいっ!攻めてきた国を潰してほしいとのことです。』
『そんなのは、奴でも出来るだろう!なぜ私が殺らなければならないのよ!』
『ひっ、す、すいません。ですが魔王様の言葉をそのまま伝えますと、全部燃やすぞ‥‥‥とのことです。』
魔王‥‥‥、リーさを脅すとはいい度胸してるな‥‥‥。何の事か全く分からんが、リーサの弱味か何かだろう。
そう言えば、リーサが直々に選んだって聞いたな。
これくらい出来なければ、とうに滅ぼされているだろうからな。
そんな考えを巡らしているとリーサが折れたようで、此方に向かって来て、「今聞いた通り、私は仕事が出来たようなのよ。
優と離れるのはもう嫌だけど、少しばかり殲滅したら直ぐ戻ってくるわ。」と言った。
「あ‥‥ああ、頑張れよ。」
俺に言えるのはそれだけだった。