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ダンジョン創造 (上)

ダンジョンを作るにあたって、まずは大まかな内容を決める事にする。


場所(人が多くて、周りにダンジョンが無い)

強さ(心体のどこを攻めさせるか)

相手(冒険者、国、勇者、魔族のどれを相手にするか)

階層数(階層数によって危険度が決められる)

種類(物理無効、魔法無効、不意討ちが得意等のモンスターの種類)


それを決めて行こうと思う。


前提として、俺の姉と幼馴染をある程度まで鍛える事が先決だ。

彼女達が弱いままだと、心配で楽しめるものも楽しめなくなる。

ついでに周りにいる奴らも強くなれば安全性は上がるだろう。


そのために、場所を王都近くに造って、勇者しか入れないようにする。

階層は一先ず20階層で、外での死亡確率を減らす為にあらゆる状況と魔獣を用意して経験させる。

もちろん魔獣も魔物もちゃんと殺す気でけしかけるつもりだ。

少なくとも格下は居ない。


力と防御に極振りの魔物や、速度と正確性に極振りの魔物、気配感知系能力を抜けてくる魔物、SAN値をゴリゴリ削るグロい見た目の魔物。

そんな厄介な魔物魔獣であらゆる経験を積んで、せいぜい死なない様にして欲しいものだ。


貰ったコアに少しの魔力を流して、一先ず一体だけゴブリンを創り出そうとすると、俺の目の前に透明な板が現れた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ゴブリン(変質種)Lv100(固定)

素質値21000

最低値1


体力 (設定可)

攻撃 (設定可)

防御 (設定可)

速度 (設定可)

魔力 (設定可)

魔耐 (設定可)


種族的スキル

夜目、悪臭、不潔、繁殖


取得可能スキル一覧(30P可)

体術(5P)剣術(5P)投擲術(5P)棒術(5P)短刀術(5P)弓術(5P)盾術(5P)騎乗術(10P)使役術(10P)身体強化(10P)硬化(10P)属性魔法(10P)魔力増加(10P)無音(5P)暗殺術(15P)隠密(20P)毒調合(20P)薬調合(15P)ヒール(10P)連携(5P)


備考

魔力の質が高品質な為、DPは必要無し。

スキルレベル、レベル共に成長しない。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最初こそ驚いたものの、その板をいじっていくと取得可能スキルと素質値は好きに設定出来るようだったので、元々考えていた力と防御に極振りの魔物を作ることにした。


攻撃と防御と魔耐に2:1:1の割合で素質値を振って、スキルも近接戦闘特化のスキル構成にして創造してみる。

するとコアがピカッと光ってダンジョンの床にヒビが入って、ゴブリンが生えてきた。


そのゴブリンは普通の茶色っぽい色とは違っていて、肌が赤黒く光沢があって、普通よりももっと短足だった。

身体中が引き締まった筋肉に覆われており、ずんぐりした体型の

おそらくステータスが近接戦特化なのでそれに身体も合わせたのだと思う。


改めてそのゴブリンを神眼で見てみる。


名前 無し  種族 ゴブリン

Lv 100(固定)  保有魔素量 21000(固定)

体力 1

攻撃 10497

防御 5250

速度 1

魔力 1

魔耐 5250


スキル

夜目Lv5、悪臭Lv5、不潔Lv5、繁殖Lv5、体術Lv5、棒術Lv5、身体強化Lv5、硬化Lv5


ゴリッゴリッの肉体強度の高い物理特化だった。

一先ず、迷宮の壁を思いっきり殴らせてみることにした。


音が漏れて零華を起こしたりしないように真空の壁を作ると、ゴブリンは身体強化を使ってステータスを上げ、体術を使って最適で比較的無駄の無い動きでパンチを繰り出して、壁に当たる瞬間に硬化を使って身体を硬くしてそのスペックで出せる最高の一撃を叩き込んだ。


ドゴンッと硬質な音が真空壁の中で響き渡り、壁をほんの少しだけ凹ませる。

一瞬で元に戻って跡形も無くなるが、冒険者の中ではダンジョンの壁は不変不壊の圧倒的硬度を持っていると思われているらしく、ゴブリンでも肉体特化であれば凹ませられる事が可能ならば冒険者相手ならば余裕で潰すことができるだろう。


だが相手にするのは幼馴染と姉、ついでにクラスメイトなので戦闘を日常的にこなしている冒険者達よりも弱いし知恵も無い。

その上、格下しか相手にしていないのだ。

格下を多く狩っても、レベルは上がるが経験は無い。


なので経験と知恵と死力を絞って強くする。(無理矢理)

異世界ではよくある修行イベントをひとっ飛ばしして、早く持ってきただけだ。

これである程度までサクサク進めるだろう。

トラウマになるかもしれないけど‥‥‥。


とまぁ、とりあえず新しく魔物でも産み出そうかと考え、取り敢えず魔力を流した。

数秒で上級魔族100人分程の魔力を注入した途端、コアがいきなりに光を放ち、勝手に魔物を形作り始めた。


「‥‥‥‥おい。」


ここには居ないコアの元の持ち主に文句を言いたい気持ちを抑えて、その様子を見守る。

そして産み出された魔物を見て、困惑した。


「は?」


産みだされたのは、控えめに言ってもスタイル抜群の美女、男の情欲を誘う様に胸元の空いて、スタイルを強調するように肌に張り付く材質で、最低限の場所しか隠していない服を身に着けていた。


「ふぅ〜。」


男の本能を刺激する様な甘い声と匂い、そして赤い髪の左右から生えたヤギに似た角と腰から生える翼、それが目の前の魔人の種族を示していた。

サキュバス。

淫魔と呼ばれる男の精を吸って生きる魔人が何故か産まれた。


「ご主人さまぁ〜♡」


サキュバスは俺を主人として認識しているのか、身体を擦り合わせる様に擦り合わせてくる。

首に当たる甘い吐息と身体に当たる柔らかさに、少しドキッとするが引き離す。


〘スキル【身体変化】が開封されました。〙


人差し指がゴムの様に延ばし、グルグルに巻いて拘束した。

ウーウゥーと口をモゴモゴさせながら、もがくので唯でさえ布の面積が少ないのに、きつく締まって更にスタイルが強調されて目に毒な光景が出来上がった。


「落ち着け。別に絞め殺したりしない。

はぁ、全くなんなんだよ。」

そう言った途端に背後から、色とりどりの光と共に転移の魔術で奴がやって来た。

頭にシルクハットを載せて、タキシードに身を包み、目だけ隠れる仮面をつけたその姿は、まるで奇術師のようで、一応似合っているだけにイラッとする。


「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンッ!!」

「誰も呼んでねぇ。」


転移から出てきた瞬間クルクルッとターンを決める。

周りが少し暗くなり、やつにだけスポットライトの様に光が降り注いでいる。

ダンジョンの機能をここまで無駄な事に使うか‥‥‥と半ば呆れながら縛っているサキュバス指差した。


「で?お前が来たってことはこれもお前の差し金だろ?」

「フッフッフッ。知らないな〜。でも普段から持て余していた性欲の捌け口ができて良かったじゃないか!」

「持て余して無い。」

「またまた〜。そんな事言っちゃって〜。はっ!もしや優って俗に言う特殊性癖の持ち主?

大丈夫!サキュバスって相手の性癖に合わせる事ができる種族なのさ!

しかもダンジョンから産まれた子は、主に絶対服従のうえ開発しやすいよ。」


顔をニヤニヤさせながら、グッ!と親指を立ててサムズアップする。

無言で延ばしていた指を解いて、元に戻した。

浮いていたサキュバスがドチャッと地面に痛々しい音を立てて落ちる。


「おやおや?縛りプレイは終わりかな〜?」


やはりニヤニヤしながら、問い掛けてくるのがカンにさわる。

後ろでは状況が分かってない様子でキョロキョロと周りを見回して痛むお尻を押さえている。

その姿を見て、再びニコッと黒い笑顔を浮かべた。


「あ!もしかして〜、優って女の子が痛がる姿を見て興奮する性癖を持ってるの?

あ〜、ごめんごめん。」


微妙に殺意を紛れ込ませたジト目を向けると、慌てて目を逸らしながらパタパタと両腕を振る。


「それで何の用だ?」


呆れた声で俺が問いかけると、クルッと見事なターンを決めてシルクハットの縁を人差し指でクイッと上げる。

何時の間にか、やつが立っている場所だけ一段上がっていた。


「フッフッフッ!」


決めポーズを決めながら不敵な感じで笑う声が響く。


「ダンジョン管理者の先輩として優を手伝ってあげようかと思ってね。」


態度はふざけているが、悪意も屈託の無い笑顔で言ってくるので責めにくい。

だがそれとサキュバスを魔力を強引に吸い取ってまで産み出させた事は関係ない。

チョリースパーク、エビ固め、をギブギブと言う声を無視して締めながらその事を問いただす。


「ギブ〜!ヘルプ!あいたたたたたっ!?このドS〜!鬼畜変態〜!鬼〜!」

「で?このサキュバスは?」


俺の所に来た目的じゃ無くてわざわざ2回目に俺の魔力を勝手に吸ってサキュバスを創り出そうとした理由が分からない。

この仕打ちは聞き出す為に重要な事だ。

俺にSっ気は無いし、そもそも奴には効いてないだろう。

とりあえずジタバタと暴れて叫んで煩いので放す。


「痛った〜。」

「‥‥‥で?」


先程と同様に自然に軽い殺気を混ぜる。

俺をおちょくるのを諦めて、少し表情を強張らせながら、淡々と話し始めた。


「実は‥‥‥かの」

「フッ!」

「へ?」


そこに俺のアッパーが見事に顎をとらえて奴は天井に2メートル近くのクレーターを作ってめり込んだ。

天井も壁も等しく硬いので、先程のゴブリンと比較して、威力の違いが分かると言うものだろう。


「シリアスっぽい話し方するな!」


コイツはシリアスな話もいつも同じ感じで話す様な奴だ。

死ぬ寸前でも笑って自分を殺そうとする相手を煽るだろう。

つまり、まだふざけているという事だ。


「じ、実は‥‥‥彼女‥‥‥サティと呼んでるんだけど、サティはね‥‥‥」


天井に埋まったまま話し始める。

呆れて、ため息をついた俺は、諦めてその状態で話を聴くことにした。

その後の話はいきなり感情を込めたり、身振り手振りで大袈裟に表現したりしたせいで、ダンジョンの外の時間にして朝に回ってしまった。


「あ〜うんうん。分かった。」


どうやらそのサキュバスはコイツがダンジョンマスターになった比較的最初のほうに産み出されたらしい。

未熟だったコイツは魔力が足りなくて、サキュバスを不完全に産み出してしまった。

その時のコイツにはサキュバスの様な上位の魔物を産み出せる程の魔力を持っていなくて、腰の翼が片翼しか無かったり、能力が十全に使えない不完全な状態で産み出してしまったと言う。

その為、サティは経験を積んでレベルも技量も不器用に長い時間を掛けて上げてきたが、それでも後から産み出された魔物達には敵わなかった。

それを悪く思ったコイツが考えたのが、図々しく俺を利用することだった。

俺に渡すコアにサティを収納して、その上に蓋としての役割として魔物を一体普通に出来上がるように設定した。

話を纏めると割と図々しいが納得の理由だった。


「ど、どうか!お怒りにならないで下さい!主様は悪くないんです。怒りをぶつけるのならば私が!」


サティが土下座しそうな勢いで謝るが、正直ヤツの演出や仕草がウザったかったから殺意をむきだしにしているのであって、利用した事については特に何とも思ってない。

国の上層部なんて目的の為に他人を犠牲にしたり囮にしたりするのに罪悪感すら感じないような連中の集まりだ。

今更そんな事で怒りは無い。

だが、相手が罪悪感を持っているのだからそれを利用しない手はない。


「何を出せる?」

「え?」

「なにを誠意として出せるか?と聞いてるんだよ。」


理解していなかったサティに分かるように言ってあげると、オロオロと忙しなさげに首を動かしている。

恐らく何があるのかを考えているのだろう。


「この身と!私が長い間掛かって貯めた貯金です!」

「貯金?ダンジョンで使い道なんて無いだろ?」


そう問い掛けたのは目の前のサティでは無く、後ろで面白そうに見守っていたヤツにだった。


「知性のある子達に限って、階層の侵入者撃破数に応じて給料制を採用してるよ!

そういう子達は人に化けるのが上手いからね。

化けれなくても化けれる子にお金を渡して、希望する物を買ってもらうっていう手も取れるからね。」


ドヤ顔をしながら、自慢げにニヤッと笑う。

ヤツの上半身は壁にめり込んだ。


「どっちも要らん。」


金は有り余っているし、サキュバスなんか一緒にいたらリーサが問答無用で塵にしてしまうからそんな手は取れない。


「じゃあ優と僕のダンジョンのメッセンジャー役にする?」

「断る。」


ヤツから出た提案をバッサリと断る。

メッセンジャーなんて、両方のダンジョンを自由に行き来することが出来る存在はあまり作りたくない。


「え〜なんで〜?なんで〜?」


不満顔で子供のように喚くヤツを無視して言う。


「転移門で十分だろ。」

「え〜、じゃあ転移門の門番でいいよ。」


転移門はクラス全員を国の裏門の前に飛ばしたのと同じ物だ。

あれは神山から一方通行に幾つもの場所に行けるが、こいつの言う転移門は一つの場所を繋げる扉だ。

そんな簡単に個人で使える魔法では無いのだが、俺は魔力量でゴリ押しできるし、ヤツはダンジョンに関係する事なら万能に近い。


「それなら‥‥‥俺も同じく知能を持った人型の魔物を生み出したほうが良いか。」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

吸血鬼(変質種) レベル(設定可)

初期素質値18800(Lv1↑)

体力(設定可)

攻撃(設定可)

防御(設定可)

速度(設定可)

魔力(設定可)

魔耐(設定可)


種族的スキル

吸血、霧化、操血術、血闘術、蝙蝠変化、増血、急速回復、日照脆弱、飛行


取得可能スキル一覧(250P可)

鬼化(50P)身体強化(10P)身体装甲(30P)硬化(10P)格闘術(10P)毒体質(20P)転移術(50P)超知覚(30P)思考加速(30P)狂鬼(30P)粉砕破壊(10P)誘惑(10P)武装早熟(30P)狂桜華(70P)再生(20P)念話(20P)魔力操作(20P)気配探知(20P)瞬歩(20P)‥‥‥


備考

耐性、武器、魔法スキルは自力で習得可。

レベルが上がる毎にスキル習得率減少。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

俺は素質をほぼ均等に振り分けて、スキルを選び、大量の魔力をコアに流し込んだ。

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