表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界でラーメン作ることになりました

作者: 西谷東

息抜きに書いてみました。

暇つぶしにどうぞ。

「……ラーメンが食べたいのじゃ」

玉座に座る金髪のツインテールの少女が呟いた。

若い騎士団長の青年は

「しかし、アリシア姫様。ラーメンなら宮廷料理長が……」

「あんなよく分からないものが、ラーメンといえるわけがないであろう。聞くところによれば、隣国の王子はニホンという異世界からラーメン職人を召喚したらしいのじゃ」

「……は、はぁ」

アリシアは騎士団長に視線を向け

「騎士団長クロウよ。ニホンとやらに行って、ラーメン職人を連れて来るのじゃ」


♦︎♦︎♦︎


ラーメン専門店コバヤシ屋

「いやー、店長さん。若いのに、対したものだね」

「うちの自慢は、魚介ラーメンですからね」

とっくに成人のはずだが、下手をすれば高校生並みに若いコバヤシ屋の店主・小林奏多(こばやしかなた)

一人で切り盛りしてることもあり小さな店舗だが、味の虜になったリピーターは多い。

「お兄さん、鎧って近くでコスプレパーティでもあったんですか」

奏多に言われ

「……こ、こす?」

クロウは眉を寄せた。

異世界はどうも勝手が違う。

魔法使いに依頼して、異世界のニホンとやらに飛ばしてもらったが

(どこをどう歩いていいか、さっぱりわからない……)

クロウの腹の音を聞いて

「見たところ、外人さんみたいだし……そろそろ閉店だけど、食べていきなよ」

一杯ぐらいは作れる、と奏多は言った。

「これは?」

黄金のスープの上に輝く細い麺。

香ばしい香りは、食欲を倍増させる。

「ラーメンだよ。ひょっとして、ラーメン知らないの?」

人生の半分は損してると言った奏多に

「ぶほっ、ラーメン? もがっ、お前は、ラーメン職人か!?」

「食べるか喋るかどっちかにしなよ」

「う、美味いではないか……我が国のラーメンといえば、乾燥麺の入った袋に湯を注ぐだけ」

「それって、インスタントラーメン?」

クロウは奏多の方を掴むと

「とりあえず、我が国に来てはもらえぬだろうか」

「はい?」


♦︎♦︎♦︎

店ごと異世界に行くことになりました。


「ほう、そなたがラーメン職人か」

玉座の幼女を見て

「女王が幼女って……ラノベとかアニメ以外にあるんだな」

「こやつは、何を言っておるのじゃ?」

「お気になさらず」

向こうはかなり変わった国でした、とクロウは語る。

「貴様に作ってもらいたのはラーメンじゃ」

アリシアがパチリ、と指をならす。

すると、豪華な食材を持って来た兵士たち。

その食材を見て、奏多はため息をついた。

「どれもダメですね」

その言葉にアリシアは動揺すると

「な、なぜじゃ?」

「お姫様は分かってません」

奏多はため息をつくと

「いい素材を使えばいいものができるのは当たり前です。しかし、ラーメンとはそういうものではありません」

奏多はクロウの方に視線を向け

「ここに来る途中の市場、結構いいものがあったんですよ」

「し、しかし、庶民の食べ物を姫様には」

渋るクロウに

「ラーメンは、みんなが食べて美味しいものなんです」

それを証明します、と奏多は言った。


市場で買ったものを仕込みに使い、翌日、城でラーメンが配られることになった。

「なんじゃこのスープの輝きは……」

まさに芸術品、とアリシアは言った。

そして、口に運ぶと

「おいしい……これが、庶民の市場の材料で?」

「はい、これがラーメンというものです」

「……」

ほんのり頬を赤くしたアリシアに

「お姫様、熱でもあるんじゃないですか?」

「ラーメンが熱すぎるのじゃ!!」

その様子にクロウは薄っすら笑うと

「いっそ、永久就職してもらえばいいのに。身長もお似合いですし」

「そこ、うるさい」

「……失礼しました」








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ