百合娘の策略
侍女に避けられ憂鬱な日々を過ごしているととうとう
騎士様と食事をする日になってしまいました。
(こうなったら騎士様の家と共謀してこのお見合いをなくしてやる。)
ああなんてあきらめの悪い娘でしょう。
こうしたたくらみを持った中食事会は進んでいきました。
そしてあとはお若いのに任せてといい母親と騎士様の親が席を立ちました。
(チャンス!、本音を言うと騎士様の親と話したかったけど騎士様でもいいか)
「ねえあなた、このお見合いを望んでないようね。」
「いいえそんなことはありませんがすべては神のお導きですので」
騎士の家としては穏便に断りたいのであからさまにいうことはできません。
娘はこれならいけるかな~と思いながらこう言います。
「ねえ私としては結婚したくないからこの縁談をつぶしたいの、
そのためになんでこの縁談を避けているのか教えてくれないかしら」
この娘すごくあけすけです。貴族というのはもう少し言葉の中に本当に言いたいことを隠していうものなのですが非常にあけすけです。
こんな経験はなかったのでしょう騎士様はすごく困ってます。
それを見て娘はどう思ったのか、
(もうひと押しね)と思い
「大丈夫よ私は家の格とか気にしないから正直に言ってみなさい。」
娘があきらめることはないと分かった騎士様は観念していいました。
「私の家は昔から最初に生まれたのが女の子だったら男として育てる伝統があるんだ。
それで男が生まれなくても家は存続できるから。」
「ええまあありがちね。
でも確か弟さんがいなかったかしら。大体そういう時は成人した時に
実は女だったと発表しないかしら?」
「ああそうしようとしたんだが国王陛下から騎士団に入れと言われて断るに断れなくて。
ほら騎士団って男しか入れないだろうそれで」
「なるほどそれで明かせなくなったのね。」
「ああというわけだから縁談をなくすのに協力してくれないだろうか?」
「いやよ。」
「えっ」
かわいそうに騎士様
娘のほうから縁談をなくしたいと言ってきたのに、
縁談をなくそうとしたら断られるという。
それでなぜ娘は断ったのか?
それは百合だからです。
騎士様と結婚すれば母親からうるさく言われないし、
男と結婚しないですむし、何より娘の性癖を満たすことができます。
一石二鳥どころか一石三鳥です。ちなみに割合的にいうと1:2:7ぐらいです。
よく見ると騎士様は凛々しい顔をしており娘からしたらストライクでした。
この人と結婚しようと娘は決意しました。
言葉だけ聞くと娘が普通に見えてとても不思議です。
そうして娘は母親のところに行ってしまいました。
「えっ」
あとには状況が何もわかってない騎士様だけが残ったのです。