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三年後 後編  *騎士様視点


娘から「今日母親に私が女だということをばらすから早く帰ってきてねー」と言われた。


確かに出世したかもしれないがまだ早いのではないかと思ったが娘の事だいろいろなことを考えて今日話すことにしたのだろう。

娘はとても聡明だ。

結婚のことだって私の事と娘のことすべてを考えての提案だった。

まあ私に説明をしていなかったというポカをやらかしたりもしたけど。


それに対して私は脳筋だ。

男のいる騎士団の中で平均以上になるには強くならなければいけなかった。

だから訓練の事ばかり考えてきた。

正直政治のことなどさっぱりだ。


だから娘の言うことにはだいたい従うことにしている。

だから今回も従って早めに訓練を切り上げて帰ってきた。



「ああ、私の旦那様準備は良い?

 いいならすぐに話しに行こうと思うんだけど。」

娘は出迎えてすぐに話しかけてきた。

急だな。こんなすぐにいくなんて。

「わかった、すぐ。行こう」


そうして私と娘は母親の目の前にいる。

ここがどこかというと本館の応接間と思わしきところだ。

「ではお母様。人払いは十分してありますか?」

「ええしていますよ。

 なんですか?改まって話したいことって。」

「実はですね、お母様に隠していることがあって。それをお話ししようと思って。」

娘は緊張している様子はありません。

頼もしいものです。

「隠していること?なんですか。話してちょうだい。」


「ええ、実は騎士様って女なんです。」


「ええっとなんて言ったのかしら?

 ありえないことが聞こえた気がするのですけど。」


「じゃあもう一回言いますね。騎士様は女です。」

娘よ直球すぎやしませんかね。

あなたの母上がぽかーんとしていますよ。

母親がぽかーんとしているのを好機とみなしたのか娘はたたみかけます。

「それと対外的には私と騎士様は仲のいい夫婦っていう噂は知ってるでしょ。

 だから今騎士様が女だってことを公表したら私が百合だってこともばれるんじゃないかな。」

母親はまだフリーズしてます。


「それと騎士様は性別のことをのぞいたらかなりの優良物件だよ。

 これからもまだまだ出世するだろうし。だからこのままでいいんじゃないかな。」


ここまで言ったところで母親はやっとフリーズから復帰したようです。


「はぁー、何かおかしいと思ってたわ。

 あなたが急に男の人と結婚するっていいだしたから。それがこんな理由だったとはね。」

そう言って娘の母親は私の方を見てくる。

ちょっとこわい。

「いえ、あのですね。

 これにはいろいろ事情がありまして。」

あわてて事情を説明しようと思いましたが手で遮ってきます。


「いえ、いいのよ。

 たぶんうちの娘が強引に進めたことでしょうから。

 あなたの家は何とか結婚を回避しようとしてたし、強引に結婚を進めた私の責任でもあるんだしね。」そういえば結婚はこの家からのいろいろな圧力によって強引に進められたのでした。 

とはいえかなり悩んでいるであろうという顔を見ると罪悪感がふつふつとわいてきます。


それから娘の母親はしばらく無言で悩んでいました。

ちなみに娘はのんびりと、私は小さくなっていました。


そうして結論が出たのか私に向かってこう言いました。


「この子は悪い子ではないのよ。

 結構優しい子なの。どうかよろしくね。」


それは母親の顔でした。娘の幸せを祈る。

だから私はこういうのです。


「はい、わかりました。」

娘を幸せにしようという決意とともに。






と話も終わったので私は帰ろうとしましたが帰してくれません。

「ねえ、ところであなたと娘はしたの?」

「ん?何がですか?」

私は意味が分からず思わず聞き返します。

「だから初夜の時ふたりでしたの?」

と言われさすがに意味が分かり私の顔が真っ赤になったことがわかります。

それだけでわかったようで娘の母親は何とも言えない顔をしていました。


私は恥ずかしく足早で部屋から出ていきました。


っと娘が出てきません。

母親に止められたのでしょうか?

少し耳を澄ましてみると中から娘の母親の怒っている声がかすかに聞こえました。


「あなたはっ、そういう・・・・・・・・・」 

「だって・・・・かわい・・たんだもん」


話の内容が分かったので私は足早にというより半分駆けるように部屋の前から去っていきました。


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