三年後 前編 *騎士様視点
結婚してから三年がたった。
その間いろいろあった。
娘から剣についての指導を受けたり出世したり。
そうそう出世したことで覚えなければいけないことが増えてしまった。
まあグチはおいといて。
娘から剣について指導を受けたときは衝撃的だった。
「こうしたらどう」
と伸び悩んでた時に娘から軽い調子で言われたのが始まりだった。
その通りにやってみると思いのほかうまくいったのだ。
それからは娘が訓練のたびについてきてあれこれと口出しするようになった
はじめは抵抗しようともしたけれどやっていくうちに娘が正しいことが証明されていく。
私は娘にどうしてそう正確に指摘できるのかと聞いたことがある。
そのときの答えはこうだった。
「んー、何となく?」
という適当なものだった。
当然私はもっと詳しい説明を求めた。
もしほんとにそうなら私は素人の娘に負けたことになる。
私はどうすればいいのか分からなかったのだから。
「昔会った女騎士にあこがれてね
それで剣について練習しようと思ったんだけどね、
私の体じゃ無理だとわかってね。
他の人の練習をみてどうやって動いたらいいのかとか想像してたからなんとなくわかるんだよ。」
つまり見稽古ということか。
しかしそれだけで実際に動いたわけでもないだろうに剣のことがあんなにわかっているなんて・・・
剣の天才だな。
まあ娘は剣を振り回すような筋肉もないだろうからどうしようもなかっただろうけど。
そうやって娘の指摘を受けて練習をしているうちに実力がメキメキ伸び出世したというわけだ。
ただ上の立場になると頭を使うことも増えてくる。
私は自分で言うのもなんだが脳筋だからこれ以上、上がるのは大変だな。