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武の国の物語  作者: なみ
第一章
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(9) 地図の行方

「ふむ、そういうことであったか」

「シシタカ、地図はほんとにあったのかい?」

 ジロウが聞いた。

「あ、それだ、見つからないんだよ」

シシタカは行李を開けた。

「ほら、どこにも地図なんてないんだよ」


 狩人は行李をつぶさに調べ始めた。

「どうやらこの行李は二重底になっているようだな」

「二重底?」

「うむ、見てみよ、外側のここはへこんでいるのに、中にはへこみがみつからない」

「ほんとだ……」

「おい、シシタカ、開けてみようぜ。おばちゃん、包丁を借りるぜ」

 ジロウが喜び勇んでいる。

「まてまて、そなた、地図を手に入れてどうしようというのだ」

「決まってるぜ!宝探しにでかけるんだ!」

「そなた1人でか?」

「ん? そ、そら、シシタカと2人で…… さ、さすがに無理か」

「それに、下手に地図を手に入れてしまうとまた海賊どもに追われる危険もある」

「そうか……」

「ど、どうすんだよ! 地図が、お宝が、目の前にあるってのによ!」


「ふむ…… 信頼できるかたに託すしかあるまいよ。海賊にも対抗できる武力をもち、宝探しにでかける財力も持ったかたに」

「そ、そんなやつこのへんにはいねぇよ、ちくしょう!」

 3人は押し黙ってしまった。



「ご領主様を頼るしかありますまい」

 それまで黙っていた母が口を開いた。

「ほう、領主どのは信頼できるおかたですか」

「はい、それは大丈夫だと思います。わたしも考えていました。水主さまとのお約束をどのようにしたらよいかと。我らやハマの村の者では、あの大勢に海賊に太刀打ちすることはかないませぬ。狩人さま、助けていただいた上に重ね重ねのお願いではございますが、この行李をシシタカとともに、ご領主様に届けていただけぬでしょうか」


「わかり申した。あの海賊ども、またいつ襲ってくるやもしれませぬ。すぐにでも発ちましょう。して母上殿はいかがされまする。この家にお一人では危険です」

「はて…… いかがいたしましょうか」

「おばちゃん、網元様の家に行こう! おらが頼んでやるよ」


 こうして、母とジロウは網元の家へ行き、狩人とシシタカは領主様のもとへ向かうこととなった。

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