第六話~迷宮~
ゆさゆさと俺の体が揺さぶられている
なんだ?とは思いつつも俺はまだこのベットに包まって居たかった
「………さん………いさん!」
だんだんと意識が覚醒してくる
うっすらと目を開けると少女が俺の体を揺さぶっている事が分かった
「お兄さんってば!…あ、やっと起きた?
意外とお寝坊さんなんだね
もう朝のご飯できてるからさっさと下りてきてね
昨日食べてないんだからペコペコでしょ?」
少女はそういってはにかんだあと部屋を出て行った
久しぶりの寝具は恐ろしいほどの魔力があった
ずっと横になって居たいという欲望をなんとか押さえつつ俺はベッドから体を起こした
確かに俺の体は空腹と喉の渇きを訴えてくる
空腹と喉の渇きを満たすべく俺は下の階へと降りた
朝食はパンとシチュー、そしてサラダだった
「…美味いな」
今思えばずっと干し肉や果実などだった
一口食べればシチューの濃厚な味がいっぱいに広がってくる
人の手が入った料理というのはこんなにも暖かいものだったのか
俺は改めてその事気が付き一口一口味わいながら全て完食した
俺は朝食のあと、一階でゆったりとしていた
他のお客はまだ寝てるかもう何処かへ出かけたらしい
「お兄さん、今日は何処かに行く予定はあるのかな?」
朝食で使った皿を洗い終わったのか少女は俺の隣に座った
「今日は迷宮へ行ってみようと思う
迷宮での宝をあてにするのも悪くない」
「じゃぁ昼はいらないのかな?
ここの宿は冒険者しかいないから昼を抜く人が多いんだよね
たまに昼頃に起きてきてご飯要求する人もいるけど」
そういえばここの宿は誰の宿なのだろうか?
俺は昨日から今日にかけてこの少女以外を見たことがない
「ところでここの宿は誰が運営しているんだ?
俺は君以外ここで見たことないし
ほかに従業員がいるところも目撃していない」
「え?何言ってるの?ここは私の宿だよ?」
驚きの発言だった
この少女は今の今まで一人でこの宿を経営していたのだろうか
「大変じゃないのか?
従業員も雇わないで一人でここを運営するというのは」
「ん~さっきも言ったけどここのお客さんは
お兄さんも含めてみんな冒険者。
だからご飯とお掃除さえ終わらせちゃえば意外と暇な時間が多いんだよね」
「危険はないのか?
少女しかいない宿なんて格好のマトだろう」
「ここは余り儲かってないし忍びこむならもっと良い所があるんだよね
それに此処って何故か常連さんしかいなくて愛着持ってくれてる冒険者さんが多いから
何かあっても助けてくれるんだよね
…実は過去にも助けてもらったことが合ったり
お兄さんも私に何かあったら助けてくれるでしょ?」
ニコニコと少女が笑顔を向けてくる
「まぁあの飯が食べられなくなるのは正直いやだな
確かに君になにかあったら俺は助けに向かうだろう」
「そうそう、いつまでも「君」なんて呼ばないで
私はルシエルド
みんなルーシィって呼んでるからお兄さんもそう呼んでよ」
「分かったルーシィ
・・・ちょっと話過ぎたかな
迷宮に出かけてくる」
俺はそういって立ち上がった
「うん、いってらっしゃい
夜のご飯までには帰ってきてくれるとうれしいな
迷宮の場所は知ってるよね?
街の外れの方にある建物だよ」
~迷宮案内所~
俺は案内所へ入ると周りを見渡した
冒険者ギルドに雰囲気が似ており受付の人が3人ほどいる
「迷宮探索への許可がほしい」
「初めての方ですね?
迷宮探索の許可は冒険者ギルドの指輪
もしくは魔法使いギルドの指輪
または推薦書が必要です
どれかお持ちですか?」
俺は右手にはめてある指輪を自分の顔の前に掲げた
「冒険者ギルドの方ですね
ではこちらの水晶へ指輪を近づけてください
指輪の情報がアップデートされ迷宮の情報が表示されるはずです」
俺が指輪を近づけると黄色い宝石の付いた指輪の宝石部分が
淡い赤色に変化した
「これで迷宮への許可がおりました
念のため確認することをオススメします」
カードオープン
俺が心の中でそう呟くと指輪の上にカードが浮かび上がった
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名 前: レン
レベル: 13
職 業: 水の魔法戦士レベル18
属 性: 水
筋力453 C+
耐久810 B
魔力548 B-
退魔668 B-
俊敏359 C+
器用509 B-
称 号
ドラゴンキラー
森の支配者
天運
戦女神の加護
技能
魔力操作++
戦闘技術+++
生存術++
補 正
剣術補正+
水属性魔法の威力補正++
水属性魔法の精度補正+++
水属性魔法の詠唱短縮
マスター:無し
迷宮情報
特になし
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「情報が追加されているようですね
各街にある迷宮案内所では迷宮へのワープ装置があります
ランクや迷宮探索の結果に応じて順次迷宮への扉が解放される仕組みです
G+ランクでは最初の迷宮だけが解放されています
迷宮へは左手になる大きな水晶へ指輪をかざしてください
今行ける迷宮が表示されるはずです
宜しければ迷宮内の大まかなシステムもご説明致しますがどうしますか?」
「お願いする」
「わかりました
まず迷宮内は10階層ごとにエリアボスが存在します
このエリアボスを倒すことにより次回からの迷宮探索は10階から始める事ができます
エリアボスはその迷宮にあったボスがランダムに選ばれ挑戦した人の数だけのボスが存在します
また、まれにモンスターだけが大量に表れるモンスターエリア
大量のモンスターと宝箱が表れる秘宝エリアがございます
モンスターエリアは秘宝エリアのハズレ版と考えてください
一度迷宮へ入ってしまうと帰還ポイントを発見するかエリアボスを倒すまで戻れないのでお気を付けください
帰還ポイントは魔法陣が描かれているので分かり易いでしょう
ここまでで何か質問はございますか?」
「いや特にない
分かり易い説明だった」
俺はそういって左手にある水晶へ指輪をかざした
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変わりゆく迷宮 到達階層0
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俺は「変わりゆく迷宮」を選択すると光に包まれた
光が晴れるとそこは迷宮の中だった
周りの壁は石でできており、まさに迷宮といった感じ
俺は目の前にいるスライム2匹を水で破壊したのち
換金部位である核を拾い袋へ詰めた
ある程度予想していたことだが
やはり最初の迷宮だけあって周りの魔物が脆い
1~3階層まではスライムしか出てこなかった
もちろん宝箱なんかは一度も見つからない
これはさっさとエリアボスを倒した方が良いな
俺は速足で4階層へと続くワープ装置へ乗った
4階層ではスライムは相変わらずだがそれに加えて芋虫のような魔物も現れた
確か名前はベビーワーム
虫族の最下位種族
肉食でありその体格とは似あわず顎の力は鉄を難なく砕く
動きは鈍いのでまず噛みつかれる心配はないが稀に数百を超える群れになることもある
そうなればただの最下位種族ではない
広範囲攻撃を得意とする魔法使いかA+以上のパーティによる依頼となるはずだ
完全に成虫と化すと虫族最強となりえる
そのまえに殆どのベビーワームは命を落とすが
ちなみに換金部位は無い
完全な成虫か一歩手前まで行けば羽などが換金部位となるのだが
流石に素手で殴りたくはなかったので水の魔法に頼る事にした
10匹程いるとあまりの気持ち悪さに洗い流したくなる
「水よ、かの者達を一掃しろ」
~打ち付ける滝~
勢いを持った水をイメージしベビーワームどもを一掃する
殆どが窒息、または壁に打ち付けられて即死だった
さっさと次の階層を目指すとするか
宝箱を見つけたが予想通り大したものは入っていなかった
5~8階層
もうスライムは出てこないらしい
迷宮は石で出来た空間からベビーワームや
新しく現れたプラントに適した森へと変貌していた
だが森での戦闘が得意なのはやつらだけではない
フィールドが森という事もあり俺は水属性の防御魔法を身にまとった
「水よ、全てを弾く盾となれ」
~水の障壁~
「水の衣」とは違いこちらは物理防御に力を入れた魔法である
半端な攻撃は全て弾き、例え攻撃が通ったとしても威力を下げる事ができる
水の膜につつまれたことを確認すると俺は行動を開始した
木から木へ移動しながら魔法でベビーワームを落とす
こいつとの戦闘で一番困るのは上からの奇襲
森で戦う事があれば常に気をつけなければならない
熟練した冒険者でもこいつのせいで命を落とす可能性もある
プラントを水の刃で両断し、換金部位であるプラントの葉をもぎ取った
プラントは植物系統の最下位
動きが鈍く攻撃もミツを飛ばすだけという最下位の中ではスライムと並ぶ弱さ
こいつも成長すると植物系統の中堅程になる
全部燃やせればどんなに楽な事か
俺はこの森の一角をすべて燃やしたい衝動に駆られながら
次階層へと急いだ
9階層
フィールドは森からまた最初の石畳のフィールドへと戻った
出現する魔物はおもにバウンドとプラント、まれにベビーワームと言ったところか
フィールドのせいでバウンドの声が反響してとても耳障りだ
声で場所を特定させない意味合いが強いのかもしれないが
四方八方から反響してくる声は非常に煩い
俺はバウンドの牙を抜きベビーワームは水の刃で切り裂く
宝箱を開け解毒草を3つ頂くと俺は次の部屋を移動した
部屋を移動すると大きな空間になっており
入口と向こうにある出口が石によって塞がれた
目の前には3つの魔法陣がありここが小モンスターエリアであることが分かる
面倒くさいがそうも言ってられないな
それぞれの魔法陣からバウンド、プラント、ベビーワームが10匹ほど
召喚されるのを確認した俺はすぐさま詠唱に取り掛かった
「水よ、全てを圧殺する波となり
かの者たちへ襲いかかれ」
~大瀑布~
上位の魔法を唱えたことにより少し体から力が抜けたが戦闘に問題はない
巻き添えを避けるために天上の四角コーナーへ跳び体を固定した
水の暴力ともいえる波が次々に魔物へ襲いかかっていた
魔法陣から召喚される魔物もこの波に捕われ窒息、または圧死していた
大瀑布が終わると一面水浸しで出口を塞ぐ石が無くなっていた
換金部位は絶望的だな
出口を出ると宝箱と次の階層へ繋がるワープ装置
宝箱から体力回復の霊薬を頂くとワープ装置を使い次へ進んだ
10階層
大部屋のような空間が広がっていた
出口は見当たらなく目の前には魔法陣
俺はボスが召喚されるのをじっと待っていた
30秒ほどたった時、魔法陣が輝きだし死霊系のスケルトンが3体召喚された
胸の部分に紫光を放つ石をそれぞれ持っている
あれが骨を動かしてる動力部分であり換金部位
それぞれに剣、弓、杖を持っている
恐らくは連携による攻撃が主体の3人パーティ(スケルトン)
まず最初に弓による牽制
俺はその場で体を横に反り弓をよけるとすでに目の前に迫ってきたスケルトン(剣)の攻撃を飛び退き回避した
そしてその丁度着地した所で闇の刃が降り注ぐ
杖を持っているスケルトンが詠唱したのだろう
思った以上に連携が取れているその攻撃に俺は下を巻いた
足に力を込めてその場から緊急脱出する
スケルトンには俺が一瞬で消えたように見えただろう
光学的に俺を見ているか分からないが少なくとも高速で移動したように感じた筈だ
俺がそのままの勢いでスケルトン(剣)け蹴りを食らわせようとした所に弓が3連射される
既に攻撃体制だった俺は無理やり地についている足を使いバックステップを行う
ちょっとよろけ気味に着地した所へ畳み掛けるように剣が飛んでくる
「調子にのるなよ!」
剣を右へ避けると既に密着した状態のため払うように俺は右足で蹴りを出した
太もも辺りで払うように蹴りを出したため致命傷には至っていないが8メートル程ふきとばす
吹き飛ばしたため弓から俺が丸見えになり雨のように矢が飛んでくる
回避経路にも矢が飛んでいるのを俺は横眼で確認した
上に逃げるのは的になるようなもの
俺は多少の被弾は覚悟ですぐさま魔法を詠唱した
「水よ、全てを弾く盾となれ」
~水の障壁~
こんな事なら待ってる間に防御魔法をかけておくべきだった
3本の矢を両足に受け何とか魔法を完成させる
これで矢は怖くなくなった
スケルトン(剣)へ攻撃を仕掛けようとした時に体に違和感を感じた
足の反応が恐ろしいほど鈍い
先ほどの矢に毒が塗られていたのだろう
しかも痺れさせる神経毒
俺は全身に毒が回る前に新たに魔法を詠唱した
「水よ、我が体内の流れを正常に戻せ」
~浄化の水~
余計な時間を喰ったが今は目の前の敵に集中するしかない
起き上がりこちらへ向かっているスケルトン(剣)にカウンターを入れるべく身構えたら
フィールドが一段と暗くなった
~奈落への道~
魔属性の結界
その場にいるだけで体力と魔力を相手に奪われる攻撃的な結界魔法
結界系の魔法は総じて詠唱が長いのだがこのパーティに一杯喰わされた
おそらくこのパーティの必勝パターンなのだろう
早い所決めなければどんどん不利になっていく
矢がこちらへ放たれたが障壁により弾かれた
まずはスケルトン(杖)
この結界があるということは次第に水の障壁の効果も切れるだろう
その前に何としてでも杖だけは倒しておきたい
俺は足に力を込めて一気に距離を詰めた
だが俺の魔力を奪った為か敵の詠唱速度が恐ろしいほど早かった
~蝕む闇~
魔法の完成と俺の蹴りがスケルトン(杖)の体を叩き割るのはほぼ同時だった
蝕む闇の効果で俺の防御魔法が途切る
スケルトン(杖)は倒れたがこの結界は使用者が死んでもある程度続く
俺の魔力を吸っているのだから当然
俺は弓に向き直りジグザグに進みながら距離詰める
杖を倒されて焦ったのか先ほどの精度はない
体力を奪われている感覚が徐々にはっきりし始めていた
あと一歩の所でスケルトン(剣)が
俺の体を両断せんとばかりに剣を振り下ろしてくる
毒の塗ってある可能性が大いにあるそれを容易に受けるわけにはいかない
俺は紙一重で剣を避けたあと体をぐるりと回転させて足払い
威力が高すぎてスケルトンの足がぶっ飛んだように見えたが
気にする必要はない
そのまま背後を取るように弓へ回り込み胸の位置へ手を差し込んだ
動力部分を手に感じとると一気に引き抜いた
糸の切れた人形のようにガラガラと崩れ落ち弓と骨だけがここに残った
後ろを振り向くと足を破壊されもがいているスケルトン(剣)が一体
俺は頭を踏み潰し動力部分を剥ぎ取った
奥からガラっと音が聞こえ出口が開けるのを確認
体力回復の霊薬を飲んだ後急いでその場から移動した
流石にここは結界の範囲ではないようだ
部屋を移動すると宝箱が一つに次の階層へワープする装置
そして帰還の魔法陣が描かれていた
宝箱を開けると篭手の様な物が入っていた
銀製のもので不死系の魔物にもダメージを与える事が出来るようになる
流石に魔力と体力を喰われ過ぎた
俺は今日の戦闘を反省しながら篭手を身に着け帰還の魔法陣を使用した
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迷宮での戦利品
解毒草×3
体力回復の霊薬(小)×2
換金部位
スライムの核×20
バウンドの牙×31
プラントの葉×20
スケルトンの剣×1
スケルトンの弓×1
スケルトンの杖×1
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~冒険者ギルド~
「換金部位を持ってきた
あとポイントの確認を行いたい」
俺はエレーヌのもとへ行き袋を二つ机の上に置いた
「わかりました
今回も大量ですね
数えますのでその間にポイントの確認をお願いします」
俺は水晶へ指輪を近づけ情報を表示させた
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スライム討伐数 35匹 ポイント加算 0
バウンド討伐数 64匹 ポイント加算 320
ベビーワーム討伐数 43匹 ポイント加算 86
スケルトンパーティ討伐数 1グループ ポイント加算 1200
変わらずの迷宮 10階層到達 ポイント加算 1000
合計 2606ポイント
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「今回はスケルトンパーティの討伐ですか
変わらずの迷宮10階層でこのレベルのボスを見るのは初めてです
各一体づつとはいえ洗練された連携には苦労したのではないですか?」
「あぁ、最初に杖を倒しておくべきだったな
剣に応戦してしまった事がここまで状況を悪くしてしまった」
「次に戦闘する時はその様子だと大丈夫そうですね
やはり期待の新人で間違いなさそうです」
エレーヌは和らげに笑った後に小さな袋を机の上に置いた
「今回は全て合わせて銀貨4枚と銅貨95枚です
指輪へ振り込みますか?」
「そうだな、銀貨3枚は手元に残しておこう
あとは振り込んでくれ」
「かしこまりました
また何かあったらいらしてください」
「あ、お兄さん良い所に帰ってきたね
丁度夜のご飯時だよ
今日は魚と東方の方で取れた米っていう食べ物
それとコレも東方の方で使われてる味噌ってやつをお湯で溶かしたやつ
案外グットな組み合わせだからお兄さんも食べてみて」
俺は食堂へ移動すると数人の冒険者が既に食べ始めていた
獣人の女の子、人間と変わらない見た目だが瞳が赤い事からみて魔人の青年
黄色い瞳を持つ龍人の男性、翼を綺麗に折りたたんでいる翼人の女性
ここは人外魔境か
各種族にはそれぞれ特徴がある
獣人は素早い身のこなしと力
魔人は高い魔力に各属性耐性
龍人は高い物理防御、各属性耐性
翼人は見た目通りに空を飛べる、風の魔法を種族的に得意とするようだ
それぞれの種族の中にまた細かい種族がいるのだが詳しくは分からない
人間が俺しかいない事に驚きつつも席について食事を始めた
ルーシィの言うとおり魚と米が見事にあっている
そしてこの味噌のお吸い物も相性抜群
腹が減っていたこともありあっという間に平らげてしまった
食事が終わり休憩していると先ほどの獣人の子が俺の隣へ座った
淡い青色の髪を首もとまで伸ばしている
「私ミーシャっていうの
見ての通り白狼族の獣人
ルーシィが新人さんって言ってたから
同じ新人同士仲良くしよう?」
そういってミーシャは俺の顔を覗き込んでくる
大きなクリクリした瞳が特徴的だった
「こちらからも宜しく頼む
俺の名前はレン
白浪族って別に髪の毛が白い訳じゃないんだな」
そういって俺はマジマジと青い髪をみた
枝毛がなく手入れの行き届いた髪をしてる
「やっ、別に髪の毛が白いって訳じゃないんだよね
でもほら、この尻尾とか耳とか見てみて」
しっぽを手にとり目の前でフリフリしだした
真っ白で綺麗な毛並が目に映った
「綺麗な毛並だな
少し耳に触っていいか?」
「ありがと、やっぱ毛並は獣人の命だからね
触るのは別に良いけど痛くしたら引っ掻くからね!」
そういうとミーシャは俺の胸に頭を預けた
最初は優しく毛並に逆らわないようにしながらゆっくり撫でていく
耳の先まで撫でた手はそのまま横に落として頭を撫でる
そしてまた耳へ戻しゆっくりと撫でていく
「…っん、ちょっと気持ちいいかも」
ミーシャは目を細めて体をピクピクと動かした
そうこうしてる内にミーシャの目は完全に閉じられ寝息が聞こえてくる
「寝ちゃったか
流石に起こすのは可哀そうだしどうするかな」
俺は胸に寄りかかっている頭をまず手で受け止めた
その後腕をヒザの裏へもぐりこませ
頭を受け止めていた手を首もとへ移動させる
そして起こさないようにゆっくりとミーシャの体を抱きかかえた
「ルーシィ、ミーシャの部屋はどこか分かるか?」
丁度食堂から出てきたルーシィを俺は捕まえた
「えっ?えっ?なに?二人ってそういう関係なの?」
興味深々と言わんばかりに尋ねてくる
なにがそういう関係なんだがコイツは
「きっと疲れてたんだろ
寝てたから俺が運んできた
部屋を教えてくれれば俺が運んでくる」
「一階の114号室だよ
もしかしてお兄さんオオカミタイム?」
ルーシィはニヤニヤしてマスターキーを俺に預けた
なんだオオカミタイムって
狼なのはミーシャだろ
俺は器用にヒザを支えている方の手で鍵を開けた後
ミーシャをベッドへ横にした
すぅすぅと可愛い寝息を立てていて起きる様子ない
俺は鍵をルーシィに返したあと自分の部屋へ戻った
ベットの上にゴロンと転がり横になると
俺はギルドカードを表示した
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名 前: レン
レベル: 18
ランク: F
職 業: 水の魔法戦士レベル35
属 性: 水
ポイント:3716
筋力468 C+
耐久820 B
魔力568 B-
退魔683 B-
俊敏369 C+
器用524 B-
称 号
ドラゴンキラー
森の支配者
天運
戦女神の加護
技能
魔力操作++
戦闘技術+++
生存術++
補 正
剣術補正+
水属性魔法の威力補正++
水属性魔法の精度補正+++
水属性魔法の詠唱短縮
マスター:無し
迷宮情報
変わらずの迷宮10F 攻略済み
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明日はミーシャを誘ってみるのも悪くないな
この回は結構長くなっちゃったなぁ
でもこれくらいの方がむしろ丁度いいのかな?
ヒロイン候補も増えてきて脳内妄想爆発
相変わらず薄い感じの描写で申し訳ありません
しかもギルドカードの表示ミスってるし;;
迷宮行ってきたのに迷宮情報が無いとか頭湧いてる
それでも見てくれてる人がいるならうれしいです