第五話~依頼、魔法~
神殿で祝福を受け、無事職業を得ることに成功したあと
結局朝を迎えるまで図書館で俺は過ごしていた
ちなみに今読んでいるのは希少鉱石に関する書物
希少な鉱石というのは大抵魔力を帯びているものらしい
オリハルコンと呼ばれる鉱石には魔力を弾く効果があり
おもに防具に使われるそうだ
希少よばれるだけあってその絶対数は少ない
一度発見されれば白金貨数百枚という値段で取りされる
そして、格竜種の最上位種の牙がこのオリハルコンと
似たような性質をもっているらしいのだ
つまり俺の持っている雷煌龍の牙はオリハルコンと同等という事だ
俺は重要な点を押さえ記憶するとこの本を閉じた
本を戻し、軽くストレッチをした後ギルドに向かうべく準備を始めた
読んだ本の内容はこの通りだ
・この辺りに生息する魔物の換金部位
・魔物の種類
・水の基本魔法書
・魔法の基本的な考え
・この世界の歴史
・迷宮について
・職業、祝福について
・薬草、霊薬について
・霊薬と希少鉱石の関係
これくらい頭に叩き込んでおけば暫くは困らないだろう
薬草の種類や鉱石の種類も覚えたから採取系の依頼にも答えられる筈だ
~人は元々生まれながらにして使える属性が決まっている~
これは魔法に関する本を読んでいた時に何度も出てきたフレーズだ
人は元々使える属性が決まっている
そしてその属性は基本増えることがない
例外として職業を得た時に魔法職であれば新たな属性を得る事ができる
つまり最低でも俺は水の属性が一つ
他に使える属性があれば良いのだがそれを調べる為には世界に5つしかない魔法ギルドで
調べてもらわないといけないらしい
ここから一番近いのはエルウィスの城下町だ
この街の迷宮や闘技場である程度の結果を残したらそこに向かうの悪くない
まずは武器と防具だ
それから霊薬関係の店も見ておいた方が良いだろう
「武器を打ってもらいたい」
俺は鍛冶屋へ行きドワーフに頼み込んだ
ドワーフを俺を一目見ると顔をそらしてこういった
「断る、ボロボロな見た目に軽装すぎる
見たところまだまだ駆け出しの冒険者って所だろ
最初の内に武器の性能に頼るとロクな事にはならん
それに素材は持ってるのか?最低でも銀クラス以上のものじゃなきゃ打つ気に慣れん」
随分な言われようだがその言い分も分かる
武器は良ければ良い程いい
だが性能の高すぎる武器は使用者を酔わす
武器の力が自分の力と錯覚する
「これで作ってほしい。出し惜しみはしない
俺の持ってる中で最高の素材だ」
俺はそういって袋から鱗、爪、背骨、牙を取り出した
それらを見た瞬間ドワーフの顔つきが一気に変わる
「お前・・・これをどこで手に入れた?
いや、質問を間違えてるな
お前はどうやってコレを倒した?少なくても高ランクの冒険者がパーティを組んで倒せるかどうかって代物だ
駆け出しの冒険者が持ってて良いものじゃない」
「何を言っているんだ?これはもらい物だ
死んだ知人からのな」
「その知人はいつ死んだんだ?」
「半年も前の話だ。俺があいつの最後に偶然 「いや、もういい」」
俺が話している間にドワーフが強制的に割り込んできた
「ここまで新鮮な雷煌龍の素材は今まで見たことがねぇ
討伐されてからまだ一か月もたってないだろ?
この素材をもってるって事はお前倒したことの証明でもある
ステータスをみせてみろ、見せない事には武具は打たん」
そういってドワーフは情報を見せるように催促してくる
正直この情報は見せたくないのだがこの際仕方ない
「あぁ情報なら俺は絶対もらさねぇ、そこ安心してもらっても良い
あんたはもう俺の客だ
それにここまでの素材を打てる機会なんざこの先あるかどうか…」
「分かった。カードオープン」
俺は自分の実力が分かる最低限度の情報を提示した
_____________________________________________________________
名 前: レン
レベル: 1
職 業: 水の魔法戦士レベル1
属 性: 水
筋力417 C+
耐久796 B-
魔力500 B-
退魔632 B-
俊敏335 C+
器用473 C+
称 号
ドラゴンキラー
森の支配者
天運
戦女神の加護
技能
魔力操作++
戦闘技術+++
生存術++
補 正
剣術補正+
水属性魔法の威力補正+
水属性魔法の精度補正+
マスター:無し
_____________________________________________________________
「こ、これは想像以上だ
レベル1って文字がこうやって見てる今でも信じられねぇ
しかも職業レベルも一って事は職業の補正なして倒したって事だ
それに技能と称号・・・ドラゴンキラーは恐らく雷煌龍を倒した時か」
ふぅっとため息をついた後ドワーフは顔を上げた
それはもう完全に職人の顔つきであり
俺は此処の鍛冶屋に来たことが失敗ではない事を確信した
「剣術補正が入ってるのなら当然刀剣類だな
両刃にするか?それとも片刃か?
それと聞き手はどっちだ?魔法剣士なら空いたもう片方の手に杖を持つのも良いだろう」
「聞き手は右だ、剣は片刃でお願いしたい
杖の事は考えてなかったがいずれ持つことになるだろうな」
「聞き手が右で片刃だな
って事は刀を意識して作ればいいって事だ
ここにある素材は全部作って良いのか?
オプションとして鎧を作ってやっても良い
作るとしたら軽鎧だろ?」
「是非お願いする、鎧の方は素材が余ったらで良い
それで?料金はいくらだ?」
正直料金が一番の問題だ
素材があっても金が無ければ話にならない
「これだけの素材を使わせてくれるんだ
恐らく俺の人生の中で最高の品になる
俺の方で鉱石類はだすから・・・金貨18枚で良い」
破格の値段だろう
白金貨を要求される覚悟もしていたが
これはかなりの貸しができてしまった
「感謝する、今度から鉱石類を見つけたら必ずここに持ってくる
支払いは指輪からで良いか?」
そういうとドワーフは豪快に笑い始めた
「がっはっは、鉱石は安く買ってやるから覚悟しとけよ
指輪をそこの水晶に近づけてくれ」
ギルドと似たような水晶に指輪を近づけると淡く光を放ち、2~3秒で光は収まった
「3日で剣ならできる。鎧の方はその2日後だ」
そういってドワーフは表へでで看板をひっくり返した後に素材を持って工房へと姿を消した
_____________________________________________________________________________________________
俺は今ギルド内の討伐系の掲示板の前で一つ一つ依頼を確認していた
スライム20匹の討伐
銅貨20枚
相対ランクG+
場所 平原
ハウンドの討伐
討伐数×銅貨2枚
相対ランクG+
場所 魔の山 入り口付近
キラーエイプの討伐
銀貨2枚
相対ランクD
場所 魔の山 一合目
・
・
・
・
・
・
・
サイクロプス討伐
金貨3枚
相対ランクA
場所 魔の山 中腹
翼竜の捕獲
金貨10枚
相対ランクA+
場所 竜の谷
パーティ推奨
一通りランクに合った依頼がそこには並んでいた
最初の依頼という事もあり、肩慣らしも兼ねて俺はハウンドの討伐の紙を剥がした
この魔物は獣種で犬に近い体をしている
牙と毛皮は換金部位らしいが今回は刃物を持っていないし牙だけになるだろうな
俺は前と同じ緑色の髪をもつ受付嬢にこの紙を渡した
「ハウンドの討伐ですね
…失礼ですがその格好で行かれるのでしょうか?」
受付嬢は俺の格好をみて呆れたような顔を向けてくる
「こいつもしかしてアホなんじゃね?」というような雰囲気が滲み出ている
「まぁ大丈夫だろ
一応戦いについても分かっているつもりだ」
すると彼女は真剣な顔をして俺に危険性を説明しだした
「いえ、分かっておりません
一対多というのがどれほど簡単に命を落とすものなのか
今回のハウンドに至っては特にそうです
一度攻撃を受けて体制を崩したら何匹ものハウンドが襲いかかり
抵抗する暇もなく命を落とすでしょう」
「それに場所は魔の山です
血の匂いの誘われて上から降りてくる魔物が居てもおかしくありません
キラーエイプ、場合によってはソルジャーウルフすら相手にしなければならない状況に陥る場合もあるんですよ?
考え直してみてはどうですか?」
「随分熱心に引き留めるんだな
魔の山がどのような場所か一度確認しておきたかったし
この依頼なら例え1匹でも達成したことになるだろう?
問題ないさ」
ここまで言うと受付嬢は深いため息とついた
「死ぬ可能性の高い依頼を受けようとする人には忠告をする義務があるのですが…
最後は本人次第、危なくなったら直ぐに逃げる事をオススメします
人が亡くなるというのは余り気持ちの良いものではありません」
そういいながら彼女は紙に判を押した
「いってらっしゃいませ
貴方の幸運をお祈りしています」
~魔の山~
魔の山に入ると途端に感じる複数の気配
こちらの動きを警戒するような視線
おそらくハウンドだろう
奴らは複数で狩りをする
少し道を進み俺はわざとらしく気配に背を向けた
背を向けた途端に茂みから飛びかかってくるハウンド
俺は振り向き様に首へめがけて蹴りを繰り出した
ゴキリというニブイ感触が足から伝わってくる
蹴りを受けたハウンドは声を上げる暇もなく衝撃で木に激突した
確かめるまでもなく即死
これが合図となったのか次々とハウンド達が飛びかかってきた
時には拳、時には肘、時には足を使い一体一体確実に仕留めていく
一度腕に噛みつかれたが力任せにその場に振り落すとピクリとも動かなくなった
基本的にすれ違い様にカウンターを入れる
一対一が連続して行われると考えれば一対多もそれほど苦戦するものではない
到底魔法戦士の戦い方ではなく
格闘家そのものの戦い方だが仕方ない
一対多では詠唱している時間もなければ狙いを定めている時間もない
俺はまだ魔法を使ったことがないのでそんな不確定要素に頼りたくなかった
最後の一匹だろうか?
他のハウンドとは違い体が二回り程大きい
毛も茶色ではなく、赤黒く変色している
ハウンドのボスだろうか?
確かにリーダーとなるハウンドはいるが
赤黒く変色してるものは知識として頭に入っていない
一際大きな声で吠えたあと、奴は口から炎弾を噴きだした
「っち!!」
俺はその場から大きく飛び退き近くにあったら木の枝の上に退避する
避けたことにより炎弾は俺の延長線上にあった木にぶつかり激しく燃えだした
赤黒い毛並、体の大きさ
そしてあの炎
ヘルハウンドしかいない
本来こんな入口付近にはまず生息していない生物
もっと上の中腹を超えた辺りに生息する魔物の筈だ
「水よ、降り注げ」
俺は燃えている木に向かって初めて魔法を詠唱した
燃えている木だけに大量の水が降り注ぐ
初歩的な魔法だが使えると分かっただけで十分だ
これで酸素の心配はなくなった
ヘルハウンドは警戒するように回りを見渡している
この際だ、魔法を試してみる事にしよう
「水よ、俺に加護を与えてくれ」
~水の衣~
初級魔法もクリア
各属性に一つある属性防御魔法
火に高い耐性をもち物理的な耐久も少し上昇させる
俺は周りに薄い膜をまとった事を確認すると枝の上から
ヘルハウンド目掛けて襲いかかった
やつもこちらに気が付きここぞとばかりに炎弾を放ってくる
だが薄い膜に阻まれて俺に届くことはなかった
そこからの戦闘は一方的なものだった
炎弾が効かないと分かったのか他のハウンド同様に飛びかかってくる
すれ違い様に上方へ飛ぶように蹴りを食らわせる
浮いた所へその足を戻すよう垂直に踵を下に振り落した
脊髄を折られ即死
それがヘルハウンドの最後だった
お俺は一息つくと辺りの状況を確認した
辺り一面死体、死体、死体、死体
どの死体も骨が曲がっており口から何か吐き出しているやつもいた
そして強烈な血の匂い
これは直ぐに牙をはぎ取ってこの場から離れないと次の襲撃があるな
俺はまず先にヘルハウンドの一際長い2本の牙を引っこ抜くと袋へと詰めた
その後他のハウンド達の牙を力任せに引っこ抜いては袋へ詰めていった
中には顔の原型をとどめていないやつも居たのでそいつは諦めた
次やるときは素材を剥ぎ取る時のことも考えて戦闘を行わないとな
ハウンドの牙が57本にヘルハウンドの牙が2本
最初の依頼でこれなら上出来なんじゃないかな
俺はこの結果に満足しながらギルド本部へ戻った
「依頼達成の報告をしたいのだが」
俺はいつも通り緑色の髪をした受付嬢に依頼達成を申し出た
「意外と速かったですね
では指輪を水晶に近づけてください」
水色の水晶が差し出された
俺は言われた通り水晶にその指輪を近づけた
俺が水晶に指輪を近づけた途端に淡い水色だったのが濃い青へ変化した
その中に何かが文字のようなものが映り水晶の上にはカードが浮かび上がった
_____________________________
ハウンド討伐数 31匹 ポイント加算 310
ヘルハウンド討伐数 1匹 ポイント加算 800
_____________________________
これを見た瞬間、受付嬢は一瞬瞳を大きく見開いた
「なるほど
新人ではなく、期待の新人だったというわけですね
魔法があったとはいえ無手でヘルハウンドを討伐できる方の数は限られるでしょう
換金部位はございますか?
よろしければこちらで買い取ります」
「あぁ頼む
この袋の中の中身を確認してくれ」
俺は大きく膨れ上がった袋を二つ机の上に置いた
置いた時に鳴ったゴトっという音がそれなりの重量であることを示している
彼女は袋を開けると牙の本数の確認を行い始めた
「バウントの牙が57本
ヘルハウンドの牙が2本ですか
依頼の報酬も全部含めて銀貨5枚と銅貨47枚です
前の様に指輪に振り込みますか?」
俺は手持ちに銀貨2枚を手元に残し、残りは全て指輪に振り込んだ
日没までかなりの時間があるが今日はこれくらいにしておくか
「申し遅れましたが私の名前はエレーヌです
困った事が合ったら相談しに来てください
ギルドは将来性のある人材を優遇します」
そういって受付嬢、もといエレーヌはそういって頭を下げた
俺は冒険者ギルドを後にし、あの少女がいる宿へ向かった
「あ、お兄さんいらっしゃい」
宿屋に入るとあの少女が店の番をしていた
「今日は宿を取りに来た
飯付きで銀貨2枚だと何日泊まることができる?」
「そうだねぇ、銀貨2枚なら10日かな
それにしても一日でそこまで稼いじゃうなんてお兄さんやりてだね」
俺は前払いで銀貨2枚を手渡した
「さっそくで悪いが今日はもう休む
今日だけは俺の飯は用意してくれなくていいから
飯の時間になっても起こしにこなくて構わない
ただ、明日の朝には起こしに来てくれ」
少女は頷くと俺に鍵を手渡した
「二階の221号室だよ
上がってつきあたりにあるから」
俺は鍵を受け取ると2階へと上がった
ベットへ倒れ込むと案外自分の体が疲れていたのが分かる
徹夜して図書館で調べものをしてから討伐依頼
体に疲労が蓄積していたのだろう
まともな寝具で寝るのはこの世界に来てから始めてた
俺はベットに寝転がりながらギルドカードを確認した
_______________________________
_____________________________________________________________
名 前: レン
レベル: 13
ランク:G+
職 業: 水の魔法戦士レベル18
属 性: 水
ポイント:1110
筋力453 C+
耐久810 B
魔力548 B-
退魔668 B-
俊敏359 C+
器用509 B-
称 号
ドラゴンキラー
森の支配者
天運
戦女神の加護
技能
魔力操作++
戦闘技術+++
生存術++
補 正
剣術補正+
水属性魔法の威力補正++
水属性魔法の精度補正+++
水属性魔法の詠唱短縮
マスター:無し
_____________________________________________________________
ランクが上がっていることに満足し
俺は静かにまぶたを閉じた
なんか話が薄い
もうペラペラってレベルじゃない
上手くなったら最初から書き直したいな
でも俺TUEEEできてるのでとりあえず満足
魔法も加わったし俺の妄想が膨れ上がるぜ!