第九話~街探索~
自然と目を覚ますことができた
まだ日が昇ったばかりで久しぶりにこの時間に起きる事が出来たと思う
街を回るにはちょうど良い時間ではないだろうか
そう思い廊下へ出るとそこでバッタリミーシャと会った
「お、おはようレン
昨日も結局寝ちゃってたよね
またレンが送ってくれたんでしょ?ごめんね」
耳がシュンと垂れて申し訳なさそうにこちらを見ていた
「別に気にしてないよ
ダンジョンに行って疲れてたんだろ、仕方ないさ
それよりもう朝は食べたのか?
まだなら一緒にいこうぜ」
「うん、私もそのつもりで来たんだ
一緒にいこ」
食堂でご飯を食べ終わると俺たちは鍛冶屋へ向かった
聴かれるとまずい事もあるのでミーシャには外で待っていてもらっている
別にミーシャなら構わないと思ったが念は入れるに越したことはないだろう
「あんたか、もう剣の方は出来ている
注文通り片刃の太刀だ
かなりの重量だがあのステータスなら片手でもなんなく振り回せる
強度に重点を置いては居るが切れ味も保証する」
目の前には110cmほどの太刀が置いてあった
主な素材は背骨を使ったのだろう
後は繋ぎとして鉱石を少々
「こっちがその太刀の鞘だ
2日後にまたこい
最高の鎧を作っておいてやる」
そういってドワーフはまた工房へと戻っていった
「待たせてゴメンな
次は魔道具店に行こうと思うんだが良いか?」
「いいよ、それがレンの武器なんだね
レンのことだからナックル系の武器だと思ってた
ちょっと以外かも」
「そういえばミーシャには殴る蹴るしか見せてなかったな
本来は剣の間合い以上に踏み込まれた時に使う技として覚えていたんだが」
この世界に来てから剣を触ったことはないが
おそらく「前の俺」は使っていたのだろう
剣を手に取るだけで使い方が分かる
話しながら歩いていると案外はやく魔道具店へ着くことができた
中へ入ると精神力を回復させる霊薬や指輪、腕輪、ブレスレット等が陳列されている
「いらっしゃい、二人とも剣士系に見えるが
レジスト系の魔道具をご所望かな?」
「いや、今日は魔道具と防具の鑑定を行ってもらいたいのだが
この店では魔道具の鑑定は行っているか?」
俺はそういってミーシャから預かった腕輪二つと手袋を出した
「魔道具の鑑定なら1個に付き銀貨5枚だ
合計で15枚になるが見たところ冒険者だね?
指輪で支払うかい?」
俺は指輪で払う事を選択して鑑定の結果を聴いた
この店員は商人、研究者、アルケミストの職業を持っているらしい
鑑定の技能を保持してる為、冒険者を引退した後はこの道を選んだんだとか
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鑑定結果
鬼神の腕輪+4 筋力上昇8% 耐久上昇5
硬化の腕輪+3 耐久上昇3% 耐久上昇12
魔導師の手袋+8 魔力上昇7% 魔防上昇5% 魔防上昇32
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「随分と良いものを見つけて来たね
割合上昇が付いてる品はうちでも不足気味でね
指輪二つは合わせて金貨25枚
手袋は単品で白金貨を出しても良い」
「これは彼女への贈り物だからな
悪いが売ることはできない」
「それは残念だ
またこういう品を入手できた時は是非内に立ち寄りなよ
鑑定値段も安くしとくからさ」
魔道具の鑑定が終わり少し店内の魔道具を見てから外へでた
丁度昼頃でここいらで休憩がてら昼食をとるのも良いだろう
ミーシャにオススメを聞いたところ、この近くでは酒場が良いらしい
酒場と言っても酒場になるのは夕方からで昼間はレストランとして経営してるらしい
レストランへ入り席につく、昼時で割と込み合っているようだ
ホールにランドドラゴンのステーキ、ミーシャはフルーツサラダとシチューを注文しいた
「ねぇレン
この後に行くところなんだけど一か所追加しても良いかな?」
「構わないよ
俺も一か所行くところが増えたしな」
「あ、やっぱり
それってきっと神殿だよね?
私は朝起きた時に見たら剣士をマスターしてたんだ
それでレンもそうなのかな?と思って」
「ミーシャもマスターしてたのか
じゃあ闘技場をみた後に神殿に向かおう」
運ばれてきた食事を食べ終わると闘技場へと足を運んだ
中に入ると受付の人が居てこちらに気が付くと小さく会釈をした
「すまないが闘技場の説明をお願いしたい」
「かしこまりました
現在は使われておりませんが月に一回、ギルド主催の闘技大会がございます
その大会で使われるのがこの闘技場です
また年に数回、宿屋対抗やチーム対抗大会等もございます
城下町の大規模な大会には勝てませんが
こちらの大会も毎年大きな賑わいを見せております」
「怪我とかは大丈夫なのか?
それに魔法をつかうやつもいるだろ?
そういうのはどう対処しているんだ?」
「怪我などはギルドが雇った高位の神官や錬金術師に治療をお願いしております
腕一本程度なら復元できるレベルですので万全と言っていいでしょう
どの大会でも殺したら即失格となるので死傷者はほぼゼロでございます
また魔法に関しては聖属性の結界を4重に張ることにより周囲への被害を押さえております」
「わかった
次開かれる一番近い大会は何かあるか?」
「次ですと8日後にチーム対抗の大会がございます
最高5人、最低2人でのパーティで参加する大会です
詳しい事は前日には発表されるでしょう」
8日後か・・・最低二人で出れるならミーシャとでるのも悪くないな
チラっとミーシャの方を見るとニコリと笑い返してくれた
「分かり易い説明だった
大会に参加するかどうか分からないがその時はよろしく頼む」
またお越しくださいという声を背中に聴きながら俺らは闘技場を後にした
どうでもいい事だが彼女は何もない日でもずっと此処にいるのだろうか?
「神殿へようこそ
お二人とも祝福を受けに来たのですか?」
神殿に入ると同時にまたあいつが声をかけてきた
「あぁ、あの扉へは同時に入っても良いのか?」
「構いませんよ
直ぐに開けますのでそのままお進みください」
扉が開かれ俺たちはそのまま扉を潜った
入ると同時にミーシャの姿が見えなくなる
空間系か時系の魔法でもかかているのだろうか
しばらく歩いているとまたあの声が頭に響いてきた
「遅いわ、私の加護を上げたのに3日もかかるなんて・・・加護の力が弱かったかしら?
まぁいいわ、貴方の祝福はもう決めてあるの
冒険者になりなさい
この祝福は一つだけ空間魔法を許してあげてるの
アイテムボックスと言ってレベルが上がれば入れれる種類と数が大きくなるわ
これからも頑張りなさい、少しだけ加護を強くしてあげる」
「あぁそれと・・・
貴方は部屋の数が多すぎるわ
全部の職業をマスターして、「奇跡」の為に魂を削ったとしても50以上の空きができる
そんなの勿体ないから譲渡できるようにしてあげる
気に入った人に渡してみなさい」
そういって声はぴたりと止んだ
魂の譲渡か
ミーシャが後どれくらい祝福を受けられるか分からないが
10回分渡したら最低でも後10回祝福を受けるまで一緒に居られる
「祝福おめでとうございます
もう一人の方はまだ御帰りになってないみたいですね
しばらくここでくつろいで行かれるとよいでしょう」
少し経つとミーシャも扉から無事に出てきたようだ
「あ、レンの方が速かったんだ
どんな職業になれたの?私は火の魔法使いだって
戦闘に向いてない職業も多いのに2回連続で戦闘向きとかラッキーだよ」
火属性って事は虫系の魔物にかなり強くなるな
下級職の中でも自分の属性を増やすことのできる各種魔法使いはかなり当たりな方だろう
特にミーシャは剣士からの魔法使いなので魔法使い特有の弱点も気にはならない
魔法剣士を一回マスターしてるやつよりも総合的には上なはずだ
「俺は冒険者の職業だな
これで換金部位やアイテムなんかの回収が楽になる」
「いいなぁ…冒険者の職業持ちってどこ行っても優遇されるよね
冒険者っていうよりもアイテムボックスが、だけど」
宿に戻りミーシャと今後の予定を話し合った
ダンジョンは著しく敵のレベルが上昇していることから明日はギルドで依頼を受ける事になった
魔の山でキラーエイプ辺りを狩るのが良いだろう
もう少し上に行ってシーカーを狩るのも有りだ
ここに飛ばされて初めて戦ったあの黒い獣が「シーカー」というらしい
魔の山はダンジョンと違いゴーストも居ないからかなり楽な筈だ
それにミーシャも魔法使い職に付き魔力も上がっているだろう
たとえゴースト系が居たとしても苦にならない筈だ
ミーシャには渡しておくか
違和感の後ちょっとした喪失感が俺を襲った
それも一瞬のことで俺の体はなんの問題も起こしていなかった
ミーシャを見てもニコニコとしているだけで普段と変わらないように見える
いつもの様に毛並をなでなでしてミーシャを送ると俺はベッドへ寝ころんだ
「カードオープン」
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名 前: レン
レベル: 38
ランク: E
職 業: 冒険者レベル13
属 性: 水
ポイント:11286
筋力558 B-
耐久860 B
魔力648 B-
退魔743 B-
俊敏409 C+
器用584 B-
装備
龍骨の太刀+5
称 号
ドラゴンキラー
アンデットキラー
森の支配者
天運
戦女神の加護LV2
技能
魔力操作+++
戦闘技術++++
生存術++
アイテムボックス (魔力分のアイテムを収納可能)
魂の譲渡
補 正
剣術補正++
水属性魔法の威力補正+++++
水属性魔法の精度補正*+
水属性魔法の詠唱短縮+++
マスター:水の魔法剣士
迷宮情報
変わらずの迷宮20F 攻略済み
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また忙しくなりそう
でも何とか更新して行けたらいいなぁ