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揺さぶり
車に取り付けられてきたドライブレコーダーの映像から、意図的に仕組んだ事故の疑いが出てきた。容疑者の狙いは何か。大野は男に揺さぶりをかける
「誰かに頼まれた、なんて言うなよな」
「関係ねぇよ、あれは事故だ」
「お前赤信号で停止してから、わざわざ交差点に突っ込んでるよな。脇見の信号無視によるものじゃない」
大野は加害車両のドライブレコーダーを解析していた。出合い頭の事故ではないことを映像が証明していた。
「さあどう説明するんだ?ずっと被害車両をつけ回してただろ。全部残っているんだよ」
村井は黙秘を続けているが、呼吸が荒くなり、完全に冷静さを失っている。
「ま、吐かねぇならそれでも良い。お前さんは結局、捨て駒だったってことだ」
「捨て駒って何だよ!」
村井が机を叩いて立ち上がった。小林がすぐに回り込む。大野は挑発的な笑みを浮かべた。村井が大野へ掴みかかろうとするのを小林が抑え込む。
「いいか、被害者の女性にもしもの事があったら、こんなもんじゃ済まさんぞ」
大野の威圧感の前に、村井は座り込んだ。
「お前さんの素性はもう分かってる」
村井が驚いた目で大野を見る。何か言いかけるのを大野は手で制した。
「今日はここまでだ」
大野と小林は取調室を出た。留置係が村井を留置場へと連行して行った。




