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被疑者確保
衝突したSUVには誰も乗っていない。前部が大破し、シートベルトが未装着だったのだろう。運転席側のフロントガラスに頭をぶつけた跡があり、血液も付着している。
「おまわりさん!」
声がした方を振り向くと、屈強な男性二名が男の両腕をおさえて歩いてきた。金色に染めた短髪のその男は、頭から血を流している。
「こいつ、この車に乗っていた奴です!」
彼らは近隣にある大学のラグビー部の学生だった。男が事故後に現場から逃走するのを見つけ、追跡の末に確保したのだった。
「あんたが運転してたのは間違いねぇか?」
「うぜぇ」
「この野郎!」
学生が男の腕をさらに締め上げた。
「うっ……!」
「ありがとう、もうここからは我々の仕事です」
小林が学生に伝えると、腕を離した。所轄の捜査員が彼らに事情を聴き始めた。
「〇〇時〇〇分、過失運転致傷及び救護義務違反の現行犯で逮捕する」
大野が伝え、小林が手錠をかけた。
「めんどくせぇな」
男が唾を吐いた。大野が男に詰め寄った。
「このあとが楽しみだな」
大野の圧力に、男は視線を外した。この男は堅気じゃない。元組対の勘が働いた。




