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希望


「大野さん!病院から電話だ!相島京子さん、意識を取り戻したそうだ!」


 課長は受話器を持って立ち上がって報告した。交通捜査課全員が歓声を上げて拍手をしている。黒田は泣き出し、片山が背中を擦っている。


「黒ちゃん、毎日相島さんのお見舞いに行ってたんだよね」


 そう言う片山も、ハンカチで目頭を押さえている。黒田と片山は、警察学校同期の女性コンビだ。


「あぁ、それともう一つ。逃走した村井を確保したラクビー部。部員の皆さんに今日、署長からの感謝状贈呈式だ」


「課長、そういうことはもう少し早く言ってくださいよ〜」


 小林が笑みを浮かべながら指摘した。


「小林君。行こうじゃないか、贈呈式。現場で彼らの雄姿を見たのは我々だけだ」


 大野は贈呈式の時間に合わせて、講堂へ向かった。そこで行われる。


「〇〇大学 ラクビー部殿…」


 署長が表彰状を読み上げ、主将に渡すと拍手とともにフラッシュが焚かれた。マスコミも取材に来ている。


 大野と小林は後ろでその様子を見ていた。


「小林君、街の治安を守っているのは我々警察だけじゃない。ラクビー部の彼ら、不当な介入に対峙した松村夫妻。法律や規則をきちんと守っている善良な市民だ。だからこそ、それを不当な力で壊す事は、絶対に許すわけにはいかないんだ」


「そうですね。僕たちは、正しい人たちの味方でなければなりません。だからこそ今回のヤマ…」


「あぁ、黒幕は別にいる。そいつは、開発利権を一手に握れる立場にいる奴だ」


「権力者…ってことですか。なら、もっと捜査すべきでした。何も捜査本部を解散しなくても…あの榊って管理官…」


 小林が悔しさを隠さなかった。


「榊さんにも上がいるんだよ。あの人、解散を告げた時、拳を握って無念な表情を浮かべていた。納得していないんだろう」


「必ず、捕まえましょう!本当の黒幕を」


「あぁ、必ずな」


 大野の携帯電話が振動した。


 講堂を出て通話すると、神戸鑑識課長だった。


「そろそろ奢れよ」


「課長、おしるこでもいきますか?」


「おしるこ!?いやいや、甘いものは勘弁!」


 大野と小林は笑いながら、刑事部屋へ戻った。




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