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解散

「檜垣にまで捜査が及んでいます」


「そこまでは想定済みだ」


「しかし、檜垣で止められるでしょうか」


「止められる?止めることを考えるんだ。スタジアムは必ず造る。君はそれだけを考えるんだ」


「先生、私は何を…」


「君もいずれ、人を動かす立場になりたいだろう。宜しく頼むよ」



 数日後の朝、大野が急いで出勤してきてた。刑事部屋に入ると、交通課長が二度首を横に振った。大野の手には新聞があった。


[国際建設専務・意識不明] 

[スタジアム建設を巡る利権が裏に!?]



捜査本部会議室


 捜査員の前で、榊管理官がマイクを取った。それは、捜査本部の解散を伝えるものだった。本部内にざわめきが広がる


「重要参考人の檜垣氏が服毒自殺を図りました。現在意識不明の重体ですが、状況から他殺を疑う証拠はありません」


「また、弁護士から、数日前の取調べに関しての抗議もありましたが、適正に行われたと説明しています。よって、本件は檜垣氏が、スタジアム建設の利権を巡り、非合法な手段を用いて再開発を企てたということに帰結します」


 一人の捜査員から手が挙がった。


「国際建設の様な大手が、たった一人の社員の企てでここまでやるでしょうか。もっと裏があると考えるのが普通では…」


「証拠がありません。檜垣氏のバックに誰かという話は、憶測に過ぎません。これ以上は追えないんです…神戸鑑識課長が復元して下さった、使途不明の金の流れに関しては、二課が引き継ぎます」


「皆様、ここまで本当にお疲れ様でした。本部長として、礼を申し上げます」


 榊は深く頭を下げ、手には拳が握られていた。


 捜査本部は解散した。部屋から捜査員が散り散りに出ていく。署員たちが机や椅子、電話など事務用品を一斉に片付け始めた。


 島津主任と成川班長が大野のところへ来た。


「皆、同じこと思ってるんだろ」


 成川の言葉に、大野と島津は頷いた。交通捜査課の部屋へ戻りながら、小林は大野へ尋ねた。


「こんな幕切れ…松村夫妻にとても報告出来ません」


「仕方ない。俺達が出来るのはここまでだ。幸い、二課が金の流れを追うらしい。国際建設の牙城を崩せるかもしれん」


「自殺なんて…嘘ですよね」


「幸い檜垣は死んではいない。話が聞けるようになれば、まだ希望はあるさ」



〇〇警察本部



 警察本部の幹部が集まっている。


「榊君、大変ご苦労だった。事件の大きさにしては、いささか黒幕が小物だった感はあるが…自殺するとはなぁ…」


「檜垣はまだ死んでいません。現場の捜査員は、檜垣の後ろにいる存在に気付いています。彼らの嗅覚は、誤魔化せるものではありません」


「君の正義感は警察官として立派だ。だが、官僚として政治も覚えることだ。今回は君の意向も踏まえ、二課の継続捜査だけは認めたつもりだよ」


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