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重要参考人

大野は捜査本部の席で一人、後ろ手を組んで考えていた。組対の成川班長が隣に来た。


「ジーアはほぼ壊滅だろうな。国際建設も、あんな反社会的な会社と関係があった事が判明した。ダメージは免れん」


「班長。問題はその先ですよ。もしかしたら…アンタッチャブルなのかもしれない」


「管理官の言葉か、『慎重に』って」


 その後、沈黙の時間が流れた。ふいに後ろから缶コーヒーが二本、目の前に置かれた。小林だった。


「一息入れませんか」


 三人で缶コーヒーを開けた。少し甘めのコーヒーは、疲れた身体に癒やしを与えた。


「俺はブラック派だったけど、これうまいな」


 成川が言うと、小林は笑って答えた。


「疲れているんですよ。こういう時は甘さが大事です」 


「班長、このヤマが片付いたら、おしるこでもいきますか。小林君、甘味処予約しておいてよ」


 大野は酒が飲めず、甘党だった。


「まぁ、捜一がどう考えているかわからんが、檜垣って専務は調べないとなぁ」


 そう言うと、成川は部屋を出て行った。翌日、捜査本部の方針が決まった。捜査一課主導で国際建設の檜垣を、重要参考人として取り調べを行う。


 組対は引き続き、国際建設とジーア他、反社会的勢力との繋がりの洗い出しとなった。


捜査本部取調室


 島津主任が取り調べにあたる。大野も同行が許された。檜垣には、ジーアの幹部から檜垣の名が上がっていることを伝えた。檜垣は、社長の笠原とは仕事上の繋がり以上の関係性はないと答える。  


 松村呉服店一帯の再開発事業についても、きちんと認可を受けたものであり、疚しいところは何もないとの一点張りだ。


「檜垣さん、事実としてジーアが非合法な手段で周辺住民一帯を立ち退かせたのは事実だ」


「それは申し訳ないと思います。ジーアさんがまさか、その様な会社だったとは…全くもって、弊社が至りませんでした」


 言葉とは裏腹に、全く温度感のない口調だった。


「スタジアム建設に因んだ周辺の再開発。いくら担当者があなたでも、一人で描ける画じゃないはずだ」


 大野が言うと、島津が書類を見せた。SDカードから復元された、国際建設からジーアへの金逃れが示されたものだ。


「これ、何の金です?この金は、地上げのために動いたジーアへの軍資金ではないですか?」


 島津が強い口調で迫った。檜垣は視線が落ち着かなくなり、やがて顔を紅潮させた。


「私は関係ない!ジーアとはあくまでビジネスパートナーだ!反社会的勢力なら、今後は付き合いを絶ちます。それで良いでしょ!」


「檜垣さん、あなたの後ろに画を描いている奴が必ずいるはずだ。ジーアの連中も、そしてあなたも、誰かの目的のために動かされている。それで良いんですか?」  


 大野が静かに、強く詰めた。


「知らん、何も知らん。これ以上聞くなら弁護士を通せ」


 そう言うと、檜垣は取調室を出て行った。任意である以上、これ以上の拘束は出来なかった。



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