ガサ入れ
翌日、組対と捜査一課合同でジーアへ家宅捜索に入ることになった。
「大野さん、僕は何をすれば良いのでしょうか」
小林は家宅捜索も、捜査本部も初めてだった。大野は今回、小林に経験を積ませるために抜擢したのだった。
「俺たちは後ろで見ているんだ」
「え、そうなんですか?」
拍子抜けした表情を見せていた。
「あれは本庁の捜査員の役目なんだ」
「じゃあ、何もしないんですか??」
「違う。社員の動きを見るんだ。何か証拠を隠ぺいしたりする動きがないか」
ジーア本社前に警察のマイクロバスが横付けされ、捜査本部の刑事達が続々と社内へ入っていく。大野と小林も後に続いた。
「城戸真。相島京子殺人未遂の容疑で逮捕する」
島津が逮捕状を城戸へ突きつけた。
「なんだテメェらは!」
風貌の悪い社員たちが一課の捜査員へ凄んできた。後から入ってきた組対の捜査員が壁となる。
「穏便にやろうや、な」
組対の渡瀬が笑いながら間に入る。
「ざけんなポリ公!」
「何だと?今何て言った」
渡瀬の顔から笑みが消えた。それだけで十分だった。
一課と組対の捜査員は、城戸が村井へ何らかの脅迫及び殺人を依頼したと思われる証拠探しに取り掛かっている。
捜査員は次々に書類やUSBを箱に詰めていく。大野と小林は部屋の隅でその光景を見ていた。
ふいに、一人の男性社員がゆっくり動き出したのを、大野は見逃さなかった。
「動かないでください」
大野が声をかけると、突然走り出した。
「捕まえろ!」
大野が声を上げると、捜査員が一斉にその男の方へ振り向いた。小林が後ろから飛びかかると転倒し、その男は手に持っていたSDカードを口に入れた。
「大野さん、こいつ!」
捜査員が口をこじ開けると、噛んで折れ曲がったSDカードが出てきた。
「証拠隠滅しやがったな!」
捜査員が声を上げる。
大野が言う
「島津さん、現逮してください」
「〇〇時〇〇分、証拠隠滅等の現行犯で逮捕する」
男はその場で島津に手錠をかけられ、捜査員とともに退出した。折れたカードはこの後鑑識に渡し、復元を試みる。
「小林君、怪我は無いか」
「大丈夫です。まさか、本当にこんな事が…」
数時間経ち、証拠と思われる資料を全て押収した。同時に、社長の笠原を重要参考人として署へ同行させた。




