もう一人のセラム
「一回考えさせて、、、」俺はそう言い残しガレージを去った。
「バタン!!」思いきっりドアを閉めた、物に当たってもストレスは無くならない。
「ああ、どうすればいいの!?もしこのまま作れなかったら私達は死んでしまう。
何個か策はある、だけど!!それを実現すると違う問題が発生するか実現できない、、、」
ミラ、今はこの状況を嘆くんじゃない。嘆く暇があるなら打開策を考えろ!!
俺は羊皮紙とインクを大量に錬成して今ある案を書き出した。
「一個目の案がこのまま行っても案外そのまま機械は動くかも?
これは絶対無理だから、無しで、、、
二個目はタンク内の圧力を上げて昇華して水蒸気になった水を全て液体に戻す。
これは一見現実味がありそうだけど、圧力を持続するのに魔力を喰うし
圧力を調整できるような機械は持ち合わせていない!!」
圧力を調整させる機構を組み込んだ動力源の設計図も一応書いてみたが
どっからどう見てもコストオーバーだ。
「三個目が一番現実的だけど、これを実現させようとすると
私達の技術じゃ作る事は出来ない!!ドン!!」机を力任せに叩いた。
俺が羊皮紙に乱暴に設計図や案などを書き込んでいると後ろから肩を叩かれた。
「ミラ様、凄いですねまだ一時間も経ってないのにこの量の考えと設計図を
書き出すなんて。この設計図とか見方を変えると猫みたいです。
あ、後これ作業大変かもしれないからハーブティーです。」
ハーブティーを俺に渡した後セラムはまた設計図を見て
これが猫に見えるだの犬に見えるだの、呑気な事を言いながら楽しんでいる。
「何か、俺がワーワー言いながら考えていたのが馬鹿みたいだな。
よくよく考えてみれば、ただのアニメ会社の社員がここまで
ノーミスでやってこれたのが凄いだけで本当はこういう事がもっとあったはずなんだけどな。
どうせまだ一年あるんだもうちょっと冷静に考えてみよう。」
「あれ、ミラ様どうしたんですか?凄いニコニコしてますけど、、、
何かいいことありました?死ぬかもしれないのに凄い精神力ですね。」
気の抜けた声で尋ねて来た。
「貴女だって自分も巻き込まれて死ぬ可能性あるに呑気ね。」
「だって私はミラ様と死ねるなら本望ですよ?それに私は何回も死んでますからね」
「それって言っても大丈夫なの?前はゲーム関連の事が出ただけで発狂してたのに、、、」
セラムの顔をすみずみまでよく見ても特に体調が悪そうな様子はない。
「ミラ様の皆を死なせないための本気の作業を一時間近く見てたら
自分が少しでも死にそうになったらヒステリックになって
喚きちらす自分が恥ずかしくなっただけですよ。」
うん?一時間前、、、
「セラムもしかして最初から私の作業見てたでしょ!?」
「ちゃんと戸締りしていない人が悪いんですよ?」
「メイドが扉を開けて勝手に入ってくるな!!」
「良いじゃないですか、私達は結婚してるんですから。
どうしたんですか顔赤くなってますよ。」
俺の顔を指差しながらセラムは笑いながら言った。
「そのことで話さないといけないことがあるんだけどいい?」
「何?」セラムは相変わらずニコニコしている。
これを話したら多分セラムに嫌われるだろう。
「あの、私、、、」俺が後の言葉をいおうと思った瞬間にセラムの声が聞こえた。
「男なんだよね、でしょ?気付いていないと思いましたミラ様?」
「え、いつ頃から気付いていたの?」顎が外れそうなくらい驚いた。
「そうですね~まずディスプレイ見てる時点で転生者って事は
分かったので、その後の行動を注意してみたら男性って気づいたんですよ。」
「私何処か変な所合った?」何か変な所は合っただろうか?
「最近ですと自分で髪飾りを留められないは凄く怪しいですし
赤ちゃんの頃だと洋服に興味を示さなかったとかでしょうか?」
「何でそれで女性じゃないかもって思うの?」髪飾りを留められないのは分かるけど
洋服に興味がないから男性?
「まずこの世界で死んだ人は大体前世に未練がある人なんですよ。
そして女性の未練多いのが子育てで、受験が忙しくてオシャレできなかったとか
が多いんですよ。その人たちが人の金で好きにオシャレできるのに
それに興味を示さない時点でおかしいんです!!」セラムは自信満々に語っている。
「でも男性だってオシャレが未練の人がいるかもしれないよ?」
「それを言ったら何でもありになっちゃいますよ、
それに男性の未練は大体会社とか、恋愛とか、性欲ばっかですよ?」
「え、待ってそれじゃあ私がセラムと結婚した時に男性かもって思ったの?」
俺はもしかして変態やろうだと思われている、、、
「最初はそう思いましたけどすぐに違うなって分かりましたよ、ミラ様の目死んでましたから。
魔王と何度も戦った時の目になってましたからね」
「でも、男性って予想がついているのに何で私と結婚しようと思ったんだ?」
普通は気持ち悪がらないか?
「思いませんよ、だって私ミラ様好きですもん!!」
セラムから飛んできたのはど直球の告白だった。
「それは何と言うかありがとう。
というかそうなると貴女子供にわざと結婚させようと仕向けたの!?」
「あれは成り行きでそうなっただけです!!」
セラムが顔を赤らめながら返した。
「なんていうか今日のセラム、キャラ違くないか?」
セラムってここまでハキハキと喋るっけ?
「私は異世界で生まれたセラムです。
精神崩壊しそうになった時私がもう一人の私を励まし続けたんです。
もしかしてこういうキャラ嫌いですか?」
すごく悲しそうな顔で俺に聞いてきた。
「そういうわけじゃないよ。
でもセラムも大変なんだね、いつものセラムは今どうしてるの?」
このテンションが作り物なら作った本人は今大丈夫なのだろうか?
「さっきまでヒステリックになりかけてましたけど、異世界の事向き合って悲しみを受け入れてします。
今は告白した事の恥ずかしさで死にかけてます。」
可愛いな〜。
「もっと、前世の事とか教えてよセラム。」
「それは、車が作り終わったら話してあげますよ〜」
能天気な答えが返ってきた。
「それじゃあちゃんと私の動力源の設計図の作るの手伝ってね」
「私そんなに頭良くないですよ〜」
【三時間後】
「やっと出来た!!セラムのおかげ出来たよ!!
あれセラム?何だ寝てるのか、、、」
なんていうか今日は感情の起伏が追いつかなかったな、朝は絶望して、昼は好きな人から告られて楽しくて夜はこんなにもセラムが愛おしいなんて。
俺は設計図に涙が落ちないように目を拭った。
今回は珍しく恋愛の展開ですね、セラムの愛の重さが伺えました。
いつかセラムが好きになった時も書きたいですね。
何とか設計図と書くの間に合って良かった
読んでくれてありがとございました




