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第9話
また、いつもと変わらない毎日。満員電車にのって、会社に着いて、自分の席に座る。特別つらい出来事があるわけじゃない。それなのに、体の奥だけが重い。
メールを確認して、資料を開く。指はちゃんと動いている。周りから見たら、いつも通り働いていると思う。自分でも、そう思おうとしていた。
昼前、簡単な作業をしているときだった。画面を見つめていたら、急に視界がにじんだ。理由が分からないまま、涙が頬をたたっていた。
泣いてる。なにか悲しいわけじゃない。怒られてもいない。失敗してもない。
勝手に涙が溢れ出てきた。
泣くな!止まれ!そう頭の中で確認するほど、涙は余計止まらなくなる。
トイレに立つ理由も見つからなくて、ただ席で息を整える。誰かに気づかれたらどうしよう。弱いと思われたらどうしよう。そんなことばかり考えて、また画面に目を戻す。
午後も、同じように過ぎていく。仕事は終わる。ちゃんと一日をこなしたはずなのに、達成感はない。ただ、すり減った感じだけが残る。
自分が限界に近いことを、私はまだ気づいていなかった。。まだ大丈夫。まだ頑張れる。そう言い聞かせる癖だけが、静かに続いていた。




