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第3話
上司に頼まれた資料を差し出したとき、嫌な予感はしていた。数分後、呼ばれて、静かな声でミスを指摘される。大したことじゃない。そう分かっているのに、頭の中が真っ白になる。「次から気をつけて」それだけの言葉が、胸の奥に突き刺さった。
ごめんなさい、と何度も口にする。仕事のミスなのに、私自身が間違っているみたいに感じてしまう。ちゃんとしなきゃ。そう思えば思うほど、息が浅くなる。
中学の教室が一瞬よぎった。名前を呼ばれて、理由も分からないまま笑われたあの感じ。空気が一斉に私を見る。今は大人なのに、身体だけが昔に戻ってしまう。
大丈夫なふりをして席に戻る。周りは誰も気にしていない。それが正しいのに、少しだけ苦しい。否定されたわけじゃない。それでも、全部を否定された気がして、胸の奥がじくじく痛んだ。




