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生きるのも死ぬのも怖い  作者: 青葉 星


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17/18

第17話

次の日も、会社を休んだ。理由を深く考えずに、昨日と同じ文面を送る。送信してから、胸の奥が少しだけ軽くなる。逃げている気もするけど、今は、それでいいと思えた。

昨日、あの子にLINEを送ったことを思い出す。全部が解決したわけじゃない。死にたい気持ちが消えたわけでもない。それでも、一人じゃなかった、という感覚が残っている。これからも、何かあったら話そう。お互いに、そういう約束をした。

少しだけ、外に出てみようと思った。部屋にいると、考えすぎてしまうから。寒くて、コンビニに寄って、ホットミルクティーを買った。手に伝わる温かさが、じんわりと広がる。

夜の公園は、人が居なかった。

ベンチに座って、ミルクティーを飲みながら、ぼーっと空を見上げる。星は多くないけれど、それでも、ちゃんとそこにあった。

しばらくして、ふと視界の端に、電灯に照らされた桜の木が入る。何気なく近づいて、枝を見上げた。何もないように見えたその先に、小さな、小さな蕾が膨らんでいる気がした。

まだ冬なのに。こんなところで、もう準備をしているんだと思う。

そのとき、今死んだら、桜は見られないな、と思った。満開の桜を、今年は見ないまま終わるんだな、と。

不思議と、その考えが、胸の奥に静かに落ちてきた。死ぬなら、桜を見てからにしよう。そう思った。

いつでも死ぬことはできる。だから、今じゃなくてもいい。そう考えると、少しだけ、息がしやすくなる。

先延ばしでもいい。自分が楽になるための考えでもいい。誰にどう言われても、これは私の人生だ。

桜が咲くまで。それまでは、生きていよう。ベンチに座ったまま、私は、そう決めた。


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