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生きるのも死ぬのも怖い  作者: 青葉 星


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第16話


スマホを握ったまま、画面を見つめていた。誰かに連絡するなんて、ずっとしてこなかった。声を出すのも、説明するのも、今はどれも重すぎた。どうせ死ぬなら、いいや。そんな投げやりな気持ちで、一人の名前をタップする。

仲が良かった友達。今も、たまに近況だけはやりとりしている人。「久しぶり」その一言を送るまでに、何分もかかった。

少しして、返信が来る。「久しぶり!どうしたの?」

指が震える。考えすぎないようにして、短い文章を送る。

「最近、しんどくて」「仕事もきつくて」「死にたいって思うことが増えてる」

送信したあと、胸の奥がざわざわして、スマホを置きたくなる。でも、目が離せなかった。

しばらくして、画面に文字が浮かぶ。

「実は私も、同じようなことで悩んでる」「毎日つらいし、消えたいって思うこともある」

その文を読んだ瞬間、涙が落ちた。一人じゃなかった。それだけで、胸の奥が少しだけ緩む。

「こんなこと言ってごめん」そう送ると、すぐに返ってくる。

「謝らなくていいよ」「話してくれてありがとう」

解決策は出てこない。元気づける言葉もない。ただ、しんどいよね、という文字が続く。それが、今の私にはちょうどよかった。

スマホ越しに、誰かが同じ場所で苦しんでいる。それを知っただけで、今すぐ終わらせなきゃ、という気持ちは、少しだけ後ろに下がった。

やりとりが落ち着いて、スマホを胸の上に置く。死にたい気持ちは、まだある。未来が明るくなったわけでもない。でも、この気持ちを知っている人が、確かに一人いる。

それだけで、今日は、ここまででいい気がした。


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