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レジ打ち少女は世界を救う、らしい。

作者:万年筆太郎
「いらっしゃいませ。お次の方、どうぞ」――今日も、とある街の雑貨屋のレジでは、少女が完璧な笑顔で客を迎える。彼女は、ごく普通のレジ係。剣も魔法も使えないし、冒険とは縁遠い毎日だ。

けれど、彼女の頭の中は、誰にも真似できないほど正確な「世界の帳簿」になっていた。金欠の駆け出しの旅人が買う回復薬の数、魔法の道具を扱う者が持ち込む奇妙な素材の価格、そして、滅多に現れない"人ならざる"客がそっと置いていく、意味不明な支払い――彼女は、それら全てを完璧に記憶し、無意識のうちに世界の経済の歪みや、魔力の乱れを調整していたのだ。

国の機関の者たちが、影からその日常を見守っていることなど、少女は知る由もない。彼女にとっての「世界を救う」とは、レジの合計金額を間違えず、適切な在庫を確保し、お客さんの感謝の言葉を受け取ること。

しかし、そんな彼女の地味な日常こそが、かつての大戦の後もなお残る世界の不穏な均衡を、ただ一人で保っていた。

これは、あなたが知るどんな冒険物語よりも地味で、そして誰よりも壮大な、レジ打ち少女の物語。彼女の無意識の一歩が、今日も世界を救っている。たぶん。
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