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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十三章 それでもやってくる日常

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第68話 アメリアの勝利宣言

「それよりなんで……って僕がなぜ全裸か……はいつものことだからいいんですけど、なんでお三方が僕の部屋に……」 


「そんなことは重要なことじゃないの!ついに我々は勝利したのよ!」 


 アメリアは高らかにそう宣言すると携帯端末を高く掲げた。カウラと誠は何のことかわからず呆然と目の前で今にも踊りだしそうな様子のアメリアを眺めていた。


「勝ったって……何がです?」 


 誠の記憶には昨日『図書館』で馬鹿騒ぎをした記憶しかなかった。勝利と言う文字はその事実からは一言も出てきそうになかった。


「誠ちゃん、ボケたの?昨日あんだけ騒いだのは何のためだか忘れたわけ?」


 誠の間抜けな質問にアメリアは呆れてそう言った。カウラもようやくジーンズと現在放映中の深夜枠の魔法少女のTシャツを着た誠の肩に手を乗せた。


「こいつのわがままが通ったってことだ」 


 カウラはあきれ果てたように誠に向けてそう言った。


「わがままなんて言わないの!これは夢よ!ドリームよ!」 


 そう言ってアメリアは大きく天に両手を広げ自分の紺色の携帯端末をかざしてみせた。まだ誠は訳がわからず二枚目のシャツのボタンをはめるながら得意満面のアメリアを眺めていた。


「夢って……?なんです?それ。僕は別に夢なんて持ってないですけど」


 誠は相変わらずアメリアのテンションについて行けず寝ぼけたままそう答えた。 


「私達は昨日なんで大騒ぎしたんだ?神前、いい加減目を覚ませ、何度も同じことを言わせるな」 


 カウラに言われて誠はようやく思い出した。アメリアのオリジナル魔法少女映画化計画に巻き込まれてキャラクターの絵を描きなぐった昨日を。そして合体ロボ推進派のサラと島田の連合と支持層を求めてあちらこちらのサーバーに進入を繰り返した菰田達の戦いを。


「アレって本当だった……でも島田先輩そう簡単には引かないと思うんですけど」 


 誠はあの馬鹿騒ぎの結果、アメリアの魔法少女案がサラの合体ロボ案に勝利したらしいことを思い出し、サラの為なら命も捨てかねない自称『彼氏』の島田の執念がそう簡単に消えるものとは考えられずに首をひねった。


「お前はまだまだだな。島田の奴はヤンキーだから極端に飽きっぽいんだ。ヤンキーは仕事にしてもスポーツにしても何をしても長続きしないだろ?それにサラに神前の描いた絵を見せたらはじめは色々文句を垂れていたみたいだが……」 


 そう言いながらカウラはアメリアの端末を奪い取って誠に見えるようにして画面を開く。そこには島田の『飽きたからよろしく!』という言葉が踊っていた。


「本当に飽きっぽいんですね。でもなんで僕はかなめさんに蹴られたんですか?」 


 そう言ったとたんアメリアの目が輝いた。同時にカウラの顔に影が差した。


「さっきかなめちゃんが言ってたじゃないの。寝ぼけて誠ちゃんがかなめちゃんの胸を揉んでアレをその間に挟もうとしたからに決まってるじゃない」


 誠は寝ぼけていたとはいえ、とんでもないことをしていた自分に後悔していた。 


「そんなことよりだ!貴様が今日の朝食当番だったろ!さっさと行け!」 


 カウラが顔を真っ赤にして突然そう言うとそのまま誠は部屋を追い出された。


「なんで……ここ僕の部屋なんですよ……」 


 そう言いながら未練タラタラで自分の部屋の扉から目を放すとそこには島田がいた。日差しの当たらない寮の廊下は暗く誠からは島田の表情がよく見えなかった。


「おはようございます?」 


 誠は恐る恐る切り出した。誠達の東塔ではなく西塔の住人島田が目の前にいるのには訳があるに違いないと誠は思った。島田はこの寮の寮長である。お調子者だが締めるところは締めてかかる島田がこの状況をどう考えるか、誠はそれを考えると頭の中が真っ白になった。


「大変だな。お前も……」 


 島田の顔は同情に染まっていた。そのまま大きくため息をついてくるりと方向を変え、そのまま廊下を階段へと向かう。誠はとりあえず怒鳴られることも無かったということで彼の後ろについて行った。


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