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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第七章 巻き込まれていく人々

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第38話 完全に傍観を決め込む人

 菰田とアメリアが密談をしている間も隣からはランの怒鳴り声が響いてきた。


「おい、君達。君達はその紙を配りに来たんだろ?だったら人数分俺が預かるから隣の騒ぎを止めてきてくれよ。あの声に一日中責め立てられるとこちらの神経が参ってしまう。今日のクバルカ中佐の説教はいつものそれに増してきつそうだ。一体何が有ったんだ?知ってるなら教えてくれないかな?」 


 管理部部長の肩書きの高梨が誠に手を伸ばす。誠は用紙を高梨に渡すと部屋を見回した。白石さんをはじめとするパートのおばちゃん達は年末の業務に夢中で今回の騒ぎとは関わり合いになりたくないと言う意図が丸見えだった。


「かえでさんの演じるアンドレ。見てみたいわよね……凛々しくて素敵……」


「そうね、オスカル役のリンさんと二人でなんて素敵じゃない。私好きなのよ、少女歌劇」


「それにしてもマリー・アントワネットが西園寺さんと言うのはどうかしら?あの人粗暴すぎるじゃないの。確かにあの人は甲武のお姫様だけど、身分は相応だけど人格が違いすぎるわよね。演じきれるのかしら?」


「そうよね。似合わないわよね。まあ、あっさりギロチンに賭けられる神前君はそのまんまいつものように普通にしていればいいだけだから良いけど」


 おばちゃん達は先ほどの会議室でのかえでの発言をどこからか入手していたらしくその配役に一々文句を言っていた。


「あのー白石さん。ベルばらに決まったわけじゃ無いんですけど。それとそんなに僕がギロチンにかけられるところを見たいんですか?やっぱり僕って影が薄いんですかね?」


 誠は恐る恐る、この管理部の事実上の主であるパートリーダーの白石さんに声をかけた。


「いいのよ、好きに言わせておけば。それにかえでさんの事だから絶対リンさんとキスシーンとか甘いシーンがあるでしょ?私としてもそこらあたりを期待してるのよ。かえでさんは女心をつかむのが上手いからたぶん映画としても成功すると思うのよね」


 パートのおばちゃん達はすでにベルばらに決まったことを前提にして話を進めている。その事実を知った誠は少し焦っていた。


「僕としてはどれに決まろうが仕事に支障が無ければそれで良いんだけどね。まあしばらく俺もまとめておきたい資料とかあるから。とりあえず隣の騒ぎを沈めてくれればそれで良い。それだけが僕のお願いだ」 


 高梨はそう言いながら苦笑いを浮かべた。エリート官僚である高梨にとってこの馬鹿騒ぎは仕事の邪魔にさえならなければ別にどうでも良いことの様だった。



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