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第3話 誤解する『外人』

「アメリア。『日の本一の兵』と呼ばれた真田幸村に憧れるのは良いが、おめえ、ちっとは空気読めよ……アイツ完全に誤解してるぜ。歴史知識ゼロの神前より、学校そのものに行ったことのないアイツの方が知識がねえんだ。後でその辺の知識の訂正もしておけよ」 


 かなめはそう言って胴丸姿の浅黒い肌の中性的な顔の少年とも少女ともつかない顔の人物を指さした。


 混迷を極めるベルルカン大陸の元民兵のアン・ナン・パク軍曹は慣れた調子で笑いかけてくる隊の若手である西高志兵長と談笑しながらアメリアの姿をちらちらと覗き見ていた。


 時代行列では全員が鎧兜姿なので分からないが、アンは男だが、普段は女装して暮らしている『男の()』だった。隊では最年少の18歳で元民兵と言うこともあり、学校に通ったことが無いと言うことで夜間中学に通う日常を送っていた。


 モテないことで知られる遼州人の中にあってアンは彼氏持ちで、夜間中学の後には必ずラブホテルに寄って甘い夜を過ごすと言う、モテない人間だらけの『特殊な部隊』では稀有(けう)な存在だった。


「いいじゃないの、どうせあのアン君にはサムライはみんなサムライでひとくくりなんだから。それにこれは私の趣味よ。真田幸村を選んだのは何となく幸村って美少年のイメージが有るじゃない?実際、真田幸村が赤備えで戦った時は50に手が届くおじさんだったって言うのに。だから、アタシとしてはこの格好で時代行列に参加しているの。ちゃんと歴史の勉強にもなるでしょ?」 


 そう言ってアメリアは自分本位の妙な知識をひけらかしながら鎧をガチャガチャとゆすらせながら誠に近づいた。


「まあ趣味は趣味でいいんですけどね。どうせそれはアメリアさんのは自前なんでしょ?僕達のは隊長の荘園からの収入で作った奴ですから自腹は切って無いですけど、そんな本格的な鎧兜作ったら高いんじゃないですか?」


 誠は苦笑いを浮かべながらつぶやいた。


「そうよ!全部自前!隊長の顔で安くなったと言ってもボーナス半期分吹っ飛んだんだから!趣味の為には命を懸ける!それが私のポリシーよ!」


 アメリアはまた訳の分からないことを絶叫した。


「そんなの自慢になるかよ。そう言うのを無駄遣いって言うんだよ」


 自分の金使いの荒さを自慢するアメリアをかなめはあきらめたように見つめていた。誠は酒とタバコには常に最高級のものを求めて金を惜しまないかなめにそんなことを言う資格は無いと思ってはいたが、それを口にすると後で射殺されるので黙っていた。



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