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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第四十四章 法術師と言う存在

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第189話 悪夢の実験部隊

「取りあえず叔父貴はそう簡単に怪我するほど鈍くは無いけどな。けどあのボケは、前の戦争の遼南戦線で法術について非常に高い関心を持っている組織に投降をするという失態を犯した。結果、不完全で制御ができないまま法術能力の増幅がその組織で行われたってわけだ」 


 静かに語るかなめ。誠もラーナが置いたカップを静かに手に取った。


「アメリカ陸軍第423実験大隊」 


 うつむき加減のカウラが吐いた言葉。その意味を誠は理解できなかった。そんな誠を仕方ないと言う顔をしたかなめが眺めていた。


「そんなこと言ってもこいつに分かるわけねえだろ?アメリカさんの法術関連の実験部隊の名称だ。生きたまま法術適正者を使って人体実験した人道と言うものを知らない悪魔の部隊。まあ科学万能主義の地球人らしい部隊じゃねえか。だからアメリカ軍は連中が『魔法』と呼んでいる法術についてアタシ等より多くの知見を持っている。アタシ等が二の足を踏むような実験もエイリアンを解剖する調子でやってのけたんだからな」


 かなめは皮肉を込めた調子でそう言うと苦笑いを浮かべた。 


「推測でものを言うのは感心できることではなくてよ。そのような部隊の存在は地球の国連も否定しているのですから。それにすべての地球人が悪いと言い出したらそれこそ『廃帝ハド』と言ってることが同じじゃないですか。支配する側になれば実験材料にされる危険は無くなる……そう言う理由で『廃帝』に協力している法術師が居るのも私は存じ上げています」 


 紅茶を一口飲んで落ち着いたというように茜が口を開いた。


「ともかく言える事は遼帝国における捕虜虐待、民間人虐殺容疑で逮捕された嵯峨惟基憲兵中佐をネバダ砂漠の実験施設内に収監していたと言うことは記録で残ってますわね」 


 茜は優雅に紅茶を口にしながら誠に目をやった。実際雛人形のように見える彼女に見られると誠はいつものようにただ頭を掻いて愛想笑いを浮かべるしかなかった。


「そしてその実験大隊の施設があると目されていた基地が収監3年目に蒸発した。このことは隣接していた核兵器の封印作業をしていたロシアの技術部隊の証言から裏がとれていますわ。そしてその98日後に甲武のお屋敷にお父様が帰ってこられた。このことも嵯峨家の監視をしていた甲武陸軍憲兵隊の記録に残っていますから」 


 それだけ言うと茜は再び紅茶に手を伸ばした。


「蒸発?」 


 誠の言葉にかなめと茜が頷いた。隣に座っているカウラもあいまいな笑みを浮かべるだけだった。


「現在でも空間のゆがみが見られるということで跡地は周囲半径30kmにわたって立ち入り禁止になっているそうだ。空間干渉を繰り返し展開した跡に酷似しているそうだ。恐らく隊長が起こしたんだろうな、その爆発を。隊長の法術師としての能力はアメリカ軍によって破壊されたが、それでもまだそれだけの力を隊長は持っている。つまりそう言うことだ」 


 カウラの一言に誠は唖然とした。


「それは……凄いですね。僕の『光の(つるぎ)』の比じゃないですよ」 


 誠は嵯峨は自分を『最弱の法術師』と呼ぶが、それが間違いであることを改めて確認した。



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