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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第四十四章 法術師と言う存在

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第188話 遼帝家の言い伝え

「遼南帝室にはこんな言い伝えがありますの。遼州の民の頂上に立つ人物、皇帝に即位する地位にある者が法術の素養に恵まれていれば国が乱れると。そのため当時の女帝、武帝はお父様の力を封印されたんです」 


 話題の重さの割に落ち着いた様子で茜はそう話した。


「まあ先日のスポーツ選手の法術発動が不公平になるとか言うことで公開された法術封印技術と言う奴だ。急にいくら地球の親切な人達がいるからってすぐに見付かる方法じゃねえのはわかるだろ?臨床心理学的方法と生理学的方法を駆使して法術の発生の元である大脳旧皮質に刺激を与えて機能を低下させると言うあれだ」 


 そう言って胸のポケットのタバコに手をやったかなめを茜は非難する調子で見つめた。


「そしてそのような先進技術ではありませんが、能力の発動そのものを抑えてしまう外科的技術が遼南帝室には有るんですの」 


「外科的技術?」 


 茜の言葉にカウラが怪訝な顔をする。


「そう、脳内に何本か針を打ち込む方法です」 


 茜の言うことに誠は痛そうだなあと言う感想しか持てなかった。


「おい、大丈夫なのかよそんな民間療法……ってあの叔父貴がそんなもんで死ぬわけも無いか。あれは不死人だからな」 


 やけになったようなかなめの声。無視して茜は話を続けた。


「本来はそれにより成長過程で次第に法術の発動が阻害されて力を使えないようになるはずだったのですが……」 


「普通の法術適正者だったらな。だが違った……叔父貴の力はあまりに強大過ぎた」 


 ポツリとかなめがつぶやいた。『普通』とは明らかに違う行動パターンの嵯峨を思い出し笑いそうになる誠だが、かなめと茜の顔には笑顔など無かった。


「ご存知ですよね、『不死人』の存在は?不老不死……例えばクバルカ中佐みたいに」 


 突然、茜の口から出た言葉、ランを指す言葉に誠は静かに頷いた。


「お父様は意識がある限り体細胞が再生してしまう体質なんです」 


 その言葉に誠は一瞬思考が止まるのを感じた。


「再生?だったら法術の封印も……」 


「不完全だったんですの。それで法術の多くは封印されましたが再生能力だけが突出して発動する体質になってしまったんです」 


 茜の言葉が暗いことが誠に不審に思えた。


「再生能力が早いってことは便利じゃないですか。怪我をしてもすぐに直るんですよね?」 


 そう言った誠の言葉にかなめと茜は目を合わせた。そして少し悲しげな面持ちで茜が話を続けた。


「その能力の制御ができればと言う前提がつきますわね、再生能力が役に立つ状況であるには……まあクバルカ中佐は完全に制御できていますけど。あの人のは能力的には法術師ですが、遼州人ではありません。遼州人がこの星に定着したのは1億年前。クバルカ中佐がこの星に来たのはそのはるか以前の4億年前です。ですので、クバルカ中佐は遼州人ではありません」 


 そしてラーナが運んできた紅茶がテーブルに置かれた。先ほど拒否したはずだと言うのにかなめはラーナからカップを受け取った。



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