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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第四十二章 場面も押し迫ってきて

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171/201

第171話 嫌がらせのアドリブ

「やだ!」 


 嵯峨ははっきりとそう言い切った。


「そうですか!ありがとうございます!」 


 明石が別の撮影だったことがすぐに分かる展開が繰り広げられた。そしてにんまりと笑う嵯峨に誠は呆れていた。


『隊長!』 


 そこでシーンが止まりアメリアの叫び声が響いた。


「え?何?俺普通に思ったことを口にしただけだけど」 


 明らかに狙っていましたと言う表情の嵯峨に別撮りの明石以外の面々は冷たい視線を送った。嵯峨の持ち前のひねくれた根性は誰もが知るところだった。


「俺だって人の親やってるんだぜ。こんな禿の怪しい親父やいかがわしい探偵もどきや居候の自称娘の恋人の言うことなんて聞けるわけないじゃん。人の親をやったことが無い連中はこういう時にご都合主義で協力を逆に持ち掛けたりするんだよな。でも、俺なら断るな。当然の話だよ。それが人の道だよ。伊達にシングルファーザー歴が長いわけじゃ無いんだよ?舐めないでくれるかな」 


 そう言って嵯峨はふんぞり返った。


『あの、これ物語ですから。そんな人道とか、人の親になった事が有るか無いかとか関係の無い話ですから。私にも会ったことは無いですけど子供を産んだことはあるんで』 


 慌ててそう言うアメリアだが、完全に面白がっている嵯峨にはまるで無意味な言葉だった。


「アメリアの場合は誰の子か分からなかったし本人も望んでいなかったことだからしょうがないとしてだ。やっぱり時にはシュールな展開も良いんじゃないの?こういうあからさまに食い違っている台詞って結構新鮮だろ?」 


 嵯峨はにやにやしながらそう言って食い下がった。


『別にポスト・モダンとか目指してるわけじゃないんですが……おい、アメリア。いっそのことここから脱構造の新機軸映画にするってのはどうだ?そうすればお前の矛盾だらけの台本もそのまま生かせる。きっとその方が映画の分かる観客には受けがいいぞ』 


 新藤の一言だが、アメリアがそれに同意しないことは誠にも分かった。


『隊長。もう一度。お願いします。真面目にやってください』 


 はっきりとした言葉でアメリアが言った。


「だってこっちの方が面白そうじゃないの。プロも認めてるんだし、この方向でこれからは進んでいこうよ」 


『もう一度。お願いします!こちらも真剣にお願いしているんで』 


 今度は怒気を含んだ声でアメリアがそう言った。


「冗談の分からない奴だな。そんなだからお見合い百件も断られるんだよ」 


 嵯峨はそうつぶやくと大きく深呼吸をした。


『ああ、今のところ編集と合成でどうにかしますから続きで大丈夫ですよ』 


 新藤の明らかに事務的な言葉を聞いて、誠は止まったままの姿の明石の顔を見つめて満面の笑みを浮かべた。


 ようやく話は台本どおり進んだ。とりあえずシュール展開を希望してアドリブを飛ばしまくる嵯峨を誠とカウラが本題へと引き戻す繰り返しの末、小夏とサラは誠達と戦うことを嵯峨が許した。



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