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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三十八章 すべての恋はフィクションです

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第159話 異形の者とされた人

『それじゃあ行くわよ!スタート!』 


 アメリアの声に肩を寄せ合ってカウラと誠は手をつないでいかにもデートらしく歩いていた。秋の堤防沿いを歩く二人にやわらかい小春日和の風が吹いた。男と女が手をつないで歩く。東和では大体こういう二人連れは見合いの数日後の結婚を前提としたお付き合いをしている二人に決まっていた。


「久しぶりね、こうして二人で歩くの」 


 そう言いながらカウラは髪を掻き揚げた。誠は笑顔を浮かべながらカウラを見つめていた。


「そうだね、いつまでもこういう時間が続けばいいのにね」 


 そう言って歩く二人に高笑いが響いた。


 そう思いながら誠は身構えた。目の前に黒い渦が浮かび上がり、そこにいかにも悪な格好の機械魔女メイリーン将軍役の渡辺リン大尉と緑色の不気味な魔法怪人と言った姿の物体が現れた。


「逢瀬を楽しむとはずいぶん余裕があるじゃないか!マジックプリンス!そしてその思い人よ!ただ、その時がいつまでも続くと考えるとはよほどの間抜けとしか言いようがないな」 


 そう言って杖を振るうリンの顔がやたらうれしそうなのを見て噴出しそうになる誠だが、必死にこらえてカウラをかばうようにして立った。


「何を言っているんだ!僕は貴様の事など知らない!」 


 ここではカウラは誠の正体を知らないと言う設定なので、誠はうろたえたような演技でリンを見つめた。


「なに?どう言う事なの!誠二さん」 


 カウラが誠に尋ねてきた。しかし、そのカウラもリンの隣の魔法怪人が顔を上げたことでさらに驚いた表情を浮かべることになった。 


「お母さん……」 


 緑色の肌に棘を多く浮かべた肌、頭に薔薇の花のようなものを取り付け、その下に見えるのは青ざめた春子の顔だった。


「オカアサン……ウガー!」 


 そう言うと地面から薔薇の蔓を思わせるものが突き出てきて誠とカウラの体を縛り上げた。


「残念だな南條カウラ!貴様の母はもう死んだ!今ここにいるのは魔法怪人ローズクイーン!機械帝国の忠実な尖兵だ!心も体もすべてを機械帝国に捧げた戦士!忠実な(しもべ)の一人にしか過ぎん!」 


 いかにもうれしそうに叫ぶリンに呆れつつ誠はカウラを助けようと蔓を引っ張って抵抗して見せた。


「どういうことなの?誠二さん……キャア!」 


 実生活でも聞いたことが無いカウラの悲鳴に一瞬意識を持っていかれそうになる誠だが、やっとのことで役に入り込んで巻きついた蔓の中でもがいた。


「説明は後だ!とりあえず逃げよう!」


「誠二さん!本当なの!あの怪物が母さんだなんて……私は信じないわ!」 


 カウラはじっと誠を掴んで離れない。怯えて見えるその表情。これも逆の立場は実戦で何度か経験したが、抱きしめたら折れそうな繊細な表情を浮かべるカウラにはいつもには無い魅力を感じでしまった。


『ここがクライマックスよ!誠ちゃん、デート慣れしていない遼州人だからって手加減せずに駄目出しするからね!』


 アメリアの声で我に返った誠は真面目に演技に集中することにした。



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